3月19日(水)に、<FUJI ROCK FESTIVAL ’25>のプレイベント<SMASH go round FUJI ROCK NIGHTS>が東京・CLUB QUATTROにて開催された。
2024年に続き、<フジロック>にまつわる様々な催しやデコレーション、そしてスペシャルライブが開催された<SMASH go round FUJI ROCK NIGHTS>。フジロックを身近に感じられる特別なイベントと、一夜限りのスペシャルライブで、今年も<フジロック’25>に向けて、渋谷からキックオフ!
4Fエリアは17時から無料開放され、<フジロック>の歴史を彩る伝説的なライブ写真やポスターが展示された。OASIS、今月ツアーを行っていたJACK WHITEのバンドTHE WHITE STRIPES、PHISHといったアーティストの貴重な資料が並び、<フジロック>の歩みを振り返る空間に。
さらに、苗場食堂の出張「とろろ飯」の販売や、iichikoによる特製「いい茶こ」の提供など、フジロックならではのフード&ドリンクも楽しめた。
また、今年の<フジロック>のチケットやオフィシャルグッズも販売され、限定のアーリーラインナップTシャツが注目を集めた。
18時からは5Fで、2025年の<フジロック>を盛り上げる2組のアーティストとDJによるスペシャルライブが開催された。ライブは19時にスタート。
トップバッターはヒップホップアーティストKID FRESINOのDJセット。インディーフォークやラテンのリズムを取り入れたダンスミュージックが展開され、終盤のDuval Timothyの「Wood」では鳥の鳴き声のサンプリングが響き、まるで自然の中にいるかのような雰囲気を感じた。
特にNina Simoneの「Feeling Good」 では、フロアから大きな歓声が上がった。セット全体としては、クールで落ち着いた雰囲気の中、じわじわとテンションを引き上げるような流れが印象的だった。ステージの去り際もスマートで、音楽と空間そのものを堪能してもらうという意志が感じられるパフォーマンスだった。
続いて登場したのは、国内外で精力的に活動を続けるおとぼけビ〜バ〜。昨年はRed Hot Chili Peppersの北米ツアーのゲストアクトに抜擢され、今年もJack White、Green Day、IDLESなどのビッグアーティストとの共演を果たしている。ハードコアパンクをベースにした彼女たちのライブは、曲ごとに短くも圧倒的な勢いで展開。40分間のセットで17曲を披露し、観客を完全に引き込んだ。
MCでは、ギターのよよよしえがJack Whiteとの共演時にプレゼントされたギターがステージに飾られていたエピソードを語り、会場を沸かせた。ユーモアのある演出に包まれながらも、純度の高いロック、パンク、ハードコアを体現するライブは、「サラダ取り分けませんことよ」で客席が最高潮に達し、最後の「あなたわたし抱いたあとよめのめし」では爆発的なエネルギーを放出し、ボーカルマイクを投げて去ったあと、よよよしえの「次はカネコアヤノ!!」という叫び声と共に、次にバトンを渡した。
ライブの合間には、フェス専門メディア〈FESTIVAL LIFE〉の津田昌太郎によるトークショーが行われた。<フジロック>の歴史や魅力を解説し、来場者にとってフェスへの理解を深める時間となった。
さらに、ライブ終了直後のおとぼけビ〜バ〜のよよよしえも登場し、津田とともにフジロックの思い出や海外フェスの経験を語った。レッチリとの対バンでのフリーとのやりとり、<フジロック’97>の過酷な環境(アンソニー・キーディスが腕を骨折したままのライブ、台風直撃でメインステージが水浸し)、ジャック・ホワイトとの思い出など、貴重なエピソードが続く。坂本慎太郎の大ファンであることも明かし、「しんちゃん」と親しげに呼ぶ場面も。
また、<フジロック>と<グラストンベリー>の比較、アジアのアーティストの盛り上がり、<ロラパルーザ>出演についてなど、フェス愛あふれるトークが繰り広げられた。
3組目に登場したのはカネコアヤノ。昨年からバンドセットの名義を“kanekoayano”に変更し、バンドとしての活動に思い入れを持っている彼女だが、この日は急遽弾き語りでの出演となった。メンバーの体調不良による変更ではあったものの、シンプルな編成だからこそ、彼女の歌と言葉がダイレクトに響き、その本質を際立たせる特別な一夜となった。
1曲目の「さびしくない」では、繰り返される「さびしくない」という言葉そのものに滲む寂しさを、彼女は静かに、しかし力強く歌い上げた。そのあとは新曲「ノイズ」や代表曲「わたしたちへ」、「ごあいさつ」など、客席は熱量の高い演奏に呼応するように演奏中は静かに聴き入っていたが、曲が終わると大きな拍手と歓声が上がった。
終盤の3曲ではアコースティックギターからエレキギターに持ち替え、歪んだ音を駆使した弾き語りを披露した。最後の曲「気分」では、轟音と共に魂のこもった歌声を響かせた。その音は弾き語りでありながらも、彼女のバンドセットを彷彿とさせるものだった。
最後のMCでは、静かに「フジロック今年も出るのでお願いします。おとぼけビ〜バ〜ともずっとやりたかったので、スマッシュありがとうございます。」と語り、そのままステージを後にした。彼女の音楽の世界観を強く印象づけるものとなった。
<SMASH go round FUJI ROCK NIGHTS>は、音楽、トーク、展示、フードと、<フジロック>を感じられるコンテンツが盛りだくさんのイベントだった。予想外の雪が舞う中、出演者と観客の熱気が渋谷の街を包み込んだこの夜は、まさに<フジロック2025>に向けた華々しい幕開けとなった。
Photo:Taio Konishi
EVENT INFORMATION
SMASH go round FUJI ROCK NIGHTS
2025.3.19(水)*公演終了
東京・CLUB QUATTRO
SMASH go round FUJI ROCK NIGHTS @心斎橋パルコ supported by いいちこ
2025.4.5(土)6(日)
大阪・心斎橋パルコ
4.5(土)13:00-15:00 SAMO
4.6(日)13:00-14:00 Cwondo [DJ set]
詳細はこちらFUJI ROCK FESTIVAL ’25オフィシャルグッズ