「フルスペック、フリーダム、フジロック!」という声が響く。<FUJI ROCK FESTIVAL 2023(以下、フジロック)>DAY 2のGREEN STAGE、トップバッターを務めるGEZAN with Million Wish Collectiveの登場前にMCが口にしたスローガンらしきそれは、苗場のお祭りが完全に復活したことを端的に言い表していた。大勢の赤色の集団が姿を表し、そよ風ひとつも寄せ付けない狂騒的なダンスミュージックを奏ではじめたのは、それから間も無くのことだった。

ヘッドライナーを務めたストロークス(The Strokes)、フー・ファイターズ(Foo Fighters)、リゾ(Lizzo)の3組をはじめ、どの時間帯にもバラエティ豊かな面々が登場していた<FUJI ROCK FESTIVAL 2023>。暑さこそ厳しかったが、今年も荒天に見舞われることもなく、前夜祭も合わせて4日間で延べ114,000人もの来場者を記録。一部ステージでは入場規制がかけられるなど、在りし日の音楽フェスティバルの光景がそこには広がっていた。

ついに帰ってきた眠らぬ苗場の冒険──<FUJI ROCK FESTIVAL '23>総括レポート music230807-fujirockfestival2023-4
ついに帰ってきた眠らぬ苗場の冒険──<FUJI ROCK FESTIVAL '23>総括レポート music230807-fujirockfestival2023-5
ついに帰ってきた眠らぬ苗場の冒険──<FUJI ROCK FESTIVAL '23>総括レポート music230807-fujirockfestival2023-18
ついに帰ってきた眠らぬ苗場の冒険──<FUJI ROCK FESTIVAL '23>総括レポート music230807-fujirockfestival2023-7
ついに帰ってきた眠らぬ苗場の冒険──<FUJI ROCK FESTIVAL '23>総括レポート music230807-fujirockfestival2023-6
ついに帰ってきた眠らぬ苗場の冒険──<FUJI ROCK FESTIVAL '23>総括レポート music230807-fujirockfestival2023-19
ついに帰ってきた眠らぬ苗場の冒険──<FUJI ROCK FESTIVAL '23>総括レポート music230807-fujirockfestival2023-12
ついに帰ってきた眠らぬ苗場の冒険──<FUJI ROCK FESTIVAL '23>総括レポート music230807-fujirockfestival2023-8
ついに帰ってきた眠らぬ苗場の冒険──<FUJI ROCK FESTIVAL '23>総括レポート music230807-fujirockfestival2023-20
ついに帰ってきた眠らぬ苗場の冒険──<FUJI ROCK FESTIVAL '23>総括レポート music230807-fujirockfestival2023-3

フルスペックでの開催ともなると、選択の幅は膨大だ。2ステージほどの小規模なイベントならともかく、ここは国内最大級の野外音楽フェスティバルで全てのアクトを観るのは原理的に不可能。例えば会場の最深部に近いFIELD OF HEAVENからキャンプサイト内のPYRAMID GARDENまで、少なく見積もっても1時間弱のウォーキングが必要になる。体力や天候を考えると、制約はさらに多くなる。

しかし、これは決してネガティブな要素ではない。全てのアクトを観るのは原理的に不可能。そう悟ってから、冒険のようなフジロック体験がようやく始まる。

ついに帰ってきた眠らぬ苗場の冒険──<FUJI ROCK FESTIVAL '23>総括レポート music230807-fujirockfestival2023-13

WHITE STAGEへと渡る橋の下を流れる川に足を浸しながら、スーダン・アーカイブス(Sudan Archives)のバイオリンの音を聞く。起き抜けに森の中のハンモックに寝転がり、微かに聞こえるHomecomingsの演奏で癒される。FIELD OF HEAVENへと至るボードウォークに設置されたピアノで、誰かがほろほろと旋律を奏でている(時間帯によっては原田郁子やケロポンズの増田裕子によるゲリラライブも行われていたらしい。見たかった……)。

ついに帰ってきた眠らぬ苗場の冒険──<FUJI ROCK FESTIVAL '23>総括レポート music230807-fujirockfestival2023-21
ついに帰ってきた眠らぬ苗場の冒険──<FUJI ROCK FESTIVAL '23>総括レポート music230807-fujirockfestival2023-23
ついに帰ってきた眠らぬ苗場の冒険──<FUJI ROCK FESTIVAL '23>総括レポート music230807-fujirockfestival2023-17
ついに帰ってきた眠らぬ苗場の冒険──<FUJI ROCK FESTIVAL '23>総括レポート music230807-fujirockfestival2023-22
ついに帰ってきた眠らぬ苗場の冒険──<FUJI ROCK FESTIVAL '23>総括レポート music230807-fujirockfestival2023-15
ついに帰ってきた眠らぬ苗場の冒険──<FUJI ROCK FESTIVAL '23>総括レポート music230807-fujirockfestival2023-16
ついに帰ってきた眠らぬ苗場の冒険──<FUJI ROCK FESTIVAL '23>総括レポート music230807-fujirockfestival2023-24
ついに帰ってきた眠らぬ苗場の冒険──<FUJI ROCK FESTIVAL '23>総括レポート music230807-fujirockfestival2023-38
ついに帰ってきた眠らぬ苗場の冒険──<FUJI ROCK FESTIVAL '23>総括レポート music230807-fujirockfestival2023-25
ついに帰ってきた眠らぬ苗場の冒険──<FUJI ROCK FESTIVAL '23>総括レポート music230807-fujirockfestival2023-33
ついに帰ってきた眠らぬ苗場の冒険──<FUJI ROCK FESTIVAL '23>総括レポート music230807-fujirockfestival2023-30
ついに帰ってきた眠らぬ苗場の冒険──<FUJI ROCK FESTIVAL '23>総括レポート music230807-fujirockfestival2023-29

フジロックの冒険は日が沈んでも終わらない。ついに復活した「大人の遊び場」THE PALACE OF WONDERでは、予想だにしていなかった出会いがそこかしこに転がっている。若きアーティストたちがフレッシュかつエッジのある演奏を響かせるROOKIE A GO-GOステージに、美麗な装飾を凝らした移動式テント・CRYSTAL PALACE。エリア内のVEGAS in MILKではMoneyHorseとゆるふわギャングがシークレットライブを開催、真っ白な空間を即座にカオスな狂騒へと誘った(らしい。またも出会えず……)。

4年ぶりとなったTHE PALACE OF WONDER。FUJIROCK EXPRESSによると当初は開催見送りの可能性すらあったものの、本エリアの熱烈なファンである野村訓市が尽力、CASIOの「G-SHOCK」がパートナーとして参加する形で実現したそう。オーバーモノ(Overmono)やロミー(Romy)といったビッグアーティストたちによって彩られた深夜帯のRED MARQUEEと併せて、ようやく派手な苗場の夜遊びがカムバックしたように感じられた。

ついに帰ってきた眠らぬ苗場の冒険──<FUJI ROCK FESTIVAL '23>総括レポート music230807-fujirockfestival2023-35
ついに帰ってきた眠らぬ苗場の冒険──<FUJI ROCK FESTIVAL '23>総括レポート music230807-fujirockfestival2023-34
ついに帰ってきた眠らぬ苗場の冒険──<FUJI ROCK FESTIVAL '23>総括レポート music230807-fujirockfestival2023-36
ついに帰ってきた眠らぬ苗場の冒険──<FUJI ROCK FESTIVAL '23>総括レポート music230807-fujirockfestival2023-39
ついに帰ってきた眠らぬ苗場の冒険──<FUJI ROCK FESTIVAL '23>総括レポート music230807-fujirockfestival2023-26
ついに帰ってきた眠らぬ苗場の冒険──<FUJI ROCK FESTIVAL '23>総括レポート music230807-fujirockfestival2023-27

全ての場所へ同時に足を運べないように、自分の胃袋は一つしかない。入場ゲート手前のYELLOW CLIFFからFIELD OF HEAVENのさらに奥にあるORANGE CAFÉまで、世界中のフードと地元・新潟の名産が並ぶ様子はグローカルそのものだった。それは韓国のバーミング・タイガー(Balming Tiger)やスペイン・カタルーニャのイタカ・バンド(Itaca Band)などのアクトが熱狂を呼んだ光景にも近い、ワールドワイドなフェスティバルの醍醐味を感じさせてくれた。

ついに帰ってきた眠らぬ苗場の冒険──<FUJI ROCK FESTIVAL '23>総括レポート music230807-fujirockfestival2023-10
ついに帰ってきた眠らぬ苗場の冒険──<FUJI ROCK FESTIVAL '23>総括レポート music230807-fujirockfestival2023-9

2020年以降、フジロックはその開催規模や運営方針を段階的に回復させようと模索していた。だからこそ、パンデミック以前と同規模・同条件での開催となった<FUJI ROCK FESTIVAL 2023>の成功は、単なる音楽フェスの開催以上の意味を持つ。

イベントの在り方に真摯に向き合い、ステージを提供する意味に直面したフジロックは、数多の忘れ難い瞬間を残しつつ、総勢212組のアーティストと共に堂々たるウイニングランを披露してみせた。心地良い疲労感に覆われた足から3日間の余韻を感じつつ、来年のさらなる冒険に最大限の期待をしたい。

ついに帰ってきた眠らぬ苗場の冒険──<FUJI ROCK FESTIVAL '23>総括レポート music230807-fujirockfestival2023-2-1
ついに帰ってきた眠らぬ苗場の冒険──<FUJI ROCK FESTIVAL '23>総括レポート music230807-fujirockfestival2023-40
ついに帰ってきた眠らぬ苗場の冒険──<FUJI ROCK FESTIVAL '23>総括レポート music230807-fujirockfestival2023-14

DAY 1 Highlight:FUJI ROCK FESTIVAL’23

DAY 2 Highlight:FUJI ROCK FESTIVAL’23

DAY 3 Highlight:FUJI ROCK FESTIVAL’23

INFORMATION

ついに帰ってきた眠らぬ苗場の冒険──<FUJI ROCK FESTIVAL '23>総括レポート music230801_fujirockfestival2023-fashionsnap-018

FUJI ROCK FESTIVAL ’23

2023.07.28(金), 29(土), 30(日)
新潟県 湯沢町 苗場スキー場

詳細はこちら