1月25日(土)・26日(日)に埼玉・さいたまスーパーアリーナにて、国内最大規模のダンスミュージックフェスティバル<GMO SONIC 2025>が開催された。
<GMO SONIC>は、GMOインターネットグループとクリエイティブマンプロダクションが主催する、ダンスミュージックフェスティバル。「和」をキーワードにさまざまな趣向を取り入れ、日本文化とエンターテインメントが融合した”これまでにない音楽フェスティバル”を目指す日本発の大型音楽イベントとして、過去2回開催されている。
3回目となる今回は、2日間でのべ3万7000人の観客を動員。1万7000人を動員したイベント初日にはSkrillex、Anyma、Peggy Gou、Hamdiといったダンスミュージック界のスターたちに加え、国内からはm-flo、ALAN SHIRAHAMA&SO-SO、REXY=DEXYが出演した。
一方、2日目はMartin Garrix、R3HABといった人気DJやヒップホッププロデューサーのMetro Boomin、グローバルポップスターのROSÉが出演。国内からは川西拓実・河野純喜・與那城奨 from JO1、NOA、WILYWNKA、MFS、DJ YUTOが出演した。
本稿ではその中でも特に記憶に残るパフォーマンスで観客を魅了した4組のアーティストに焦点を当て、そのライブの模様を振り返りながら紹介する。
“見せて踊らせるショー”を体現した、Anymaの圧倒的なA/Vライブ



<GMO SONIC2025>において、最も注目が集まっていたと言っても過言ではないAnymaのライブでは、ファンの期待に応える圧巻のA/Vセットが披露された。このA/Vセットでは、巨大なヒューマノイドキャラクター「EVA」の映像がステージ後方のスクリーンに映し出され、メロディックテクノに合わせてダイナミックに躍動していたが、その創世記をモチーフにした映像演出は、実際に高い没入感を与えてくれるものだった。
また、Anymaは、FKA twigsやEllie Gouldingといったポップスターとの最新コラボ曲をSNSで話題になったサイボーグ化した本人たちの映像付きで披露。この映像演出は、会場に集まったファンの満足度を大きく高める要因となった。
一方、このような映像演出は、確かに印象的だったが、実際に体験してみると新たな発見もあった。それは、このA/Vセットが単なる”見せるショー”ではなく、あくまでも”見せて踊らせるショー”として巧みに構築されていたということだ。
正直なところ、AnymaのA/Vセットは映像が派手なため、どうしてもそこに目を奪われる時間が多い。実際、SNSに投稿されているA/Vセットの映像の多くは、映像を撮影する観客を含めて、”AnymaのA/Vセット”という印象を受けることは少ない。
しかし、Anymaの音楽は、あくまでもダンスミュージックであり、フロアで踊るための音楽だ。そのことを証明するかのように、パフォーマンスの中では、派手な映像を控えめにし、観客の意識をそこから逸らし、踊らせることに重点を置いた時間帯も設けられていた。このようにダンスミュージックとしてのAnymaのA/Vセットの魅力の真髄は、実際に体験してみないときっとわからなかったに違いない。そうした気づきを得たことは、筆者にとって、大きな収穫となった。
グラミー賞受賞曲から往年のEDMアンセムまで! 最新モードで魅せたSkrillex



ダンスミュージックの楽しさという意味では、初日のヘッドライナーを務めたSkrillexは、DJセットの序盤から昨年グラミー賞を受賞した人気曲「Rumble」やキャリア初期の代表曲「Scary Monsters and Nice Sprites」といった新旧の自身の代表曲を惜しげもなくフロアに投下し、ダブステップ中心の選曲で会場をいきなり沸かせた。
また、近年のトレンドであるジャージークラブやBoyz Noizeとのテッキーなコラボ曲「Fine Day Anthem」などテックハウス、さらには「Xena」や「Taka」などクロスオーバーな人気を誇る楽曲までを網羅した、幅広い選曲も最近のSkrillexの”モード”を感じさせるという意味で印象的だった。
そして、最新のトレンドを押さえつつも、Avicii「Levels」やJack Ü「Where Are Ü Now 」、自身によるBenny Benassi「Cinema」のリミックスといった往年のEDMアンセムも披露するパーティー感のある選曲も、世界中のクラバーを虜にしてきたスーパースターDJならではのズバ抜けた選曲センスを感じさせた。
選曲とレーザー演出が織りなす極上のステージ、世界No.1 DJの真価を示したMartin Garrix



2日目のヘッドライナーとして登場したMartin Garrixは、世界的人気DJランキング「DJ Mag Top 100」で5度の1位を獲得しているだけに、ステージに姿を現した瞬間から大きな歓声が会場の至るところで巻き起こった。
約100分のDJセットでは、昨年の<GMO SONIC>のヘッドライナーZEDDとのコラボ曲「Follow」やLewis Capaldiの特大ヒット曲「Someone You Loved」のリミックス、そして自身の代表曲「Animals」など、アップリフティングなクラブヒット曲を惜しげもなく連発。さらにEDMの伝説的アンセムのひとつであるDimitri Vegas & Like Mikeとのコラボ曲「Tremor」とAviciiの「Waiting For Love」のマッシュアップも披露するなど、サービス精神満載の選曲で観客を魅了した。
近年のEDM界隈でトレンドとなっているドラムンベースも積極的に取り入れ、”EDMの最新モード”を日本のファンに提示していたことも特筆すべき点だ。特にDua Lipaとのコラボ人気曲「Scared to Be Lonely」からドラムンベース曲へのシームレスなミックスは、会場に集まったダンスミュージック通を唸らせ、こうしたキラーチューンをここぞという時に投下する選曲センスからも世界No.1 DJの実力が感じ取れた。
<GMO SONIC>といえば、国内屈指のLED映像演出を誇ることで知られるが、それに劣らない存在感を放っていたのが「致死量」と形容されるほど派手なレーザー演出だ。この会場の雰囲気を最高潮に高めるレーザーは、初日のSkrillexのDJセットでも遺憾なく効果を発揮していた。しかし、2日間の日程の大トリを務めたMartin Garrixのステージでは、この「致死量」級とも言える圧倒的なレーザー演出がさらにゴージャスになったかのように思えた。
世界的ポップアンセムて「APT.」で観客の興奮を最高潮に導いたROSÉ



<GMO SONIC 2025>は、世界的DJ/プロデューサーの出演に注目が集まった一方で、K-POPの枠を超え世界的ポップスターとして活躍するROSÉの出演も開催前から大きな話題となっていた。
BLACKPINKのメンバーとしても知られるROSÉは、昨年リリースしたソロ1stスタジオアルバム『rosie』のリードシングル「APT.」が世界中で大ヒット。日本でも社会現象となるほどの記録的なセールスを記録しており、当日は同曲の披露を期待するファンも多かったことだろう。
そんなファンの期待が寄せられる中、バンドを従え、2日目に登場したROSÉは、『rosie』収録曲のチルなシンセポップ「toxic till the end」でライブをスタート。続いて、フォーキーな「3am」、そして「1年以上前に眠れない夜を過ごした後に書いた」と制作秘話を明かしたバラード「Vampirehollie」をエモーショナルに歌い上げた。
また、ライブ後半では壮大なシンセポップ「Two Years」、軽快なリズムとメロディーが印象的な「drinks or coffee」を披露した後、満を持して「APT.」を熱唱。お馴染みの〈아파트, 아파트, 아파트, 아파트, 아파트, 아파트, uh, uh-huh, uh-huh〉というコーラスのフレーズで会場が大合唱となったほか、ステージを降りてファンとハイタッチを交わすだけなく、ステージ前方に設けられた花道にも姿を現すファンサービスで観客の興奮を最高潮に導いた。約30分という短いライブながら、その圧倒的な盛り上がりは、今回の<GMO SONIC>における最大のハイライトのひとつとなった。
さらなる進化を遂げた”これまでにない音楽フェスティバル”



今回の<GMO SONIC>は、初日がこれまでにない程にダンスミュージックに特化し、最先端のサウンドを存分に楽しめる構成となった。一方、2日目はダンスミュージックを軸としながらも、従来の<GMO SONIC>の魅力を継承し、ヒップホップやポップスまで、ジャンルの垣根を越えて音楽を楽しめる構成となった。
“冬の風物詩”として定着しつつある<GMO SONIC>は、今回、このように日程ごとに特色あるラインナップを打ち出すことで、新たな進化を遂げた姿を示した。次回開催は現時点で未定だが、今回の大成功を受けて、来年の開催を望む声は既に高まっている。
Text:Jun Fukunaga
Photo:masanori naruse(ANYMA、Skrillex、Martin Garrix、ROSÉ)、skinny(ANYMA)、yukubo(Other)
INFORMATION
GMO SONIC 2025
2025.1.25(土)・26(日)*公演終了
埼玉・さいたまスーパーアリーナ
主催・企画:
GMOインターネットグループ株式会社/株式会社クリエイティブマンプロダクション
制作・運営・招聘:株式会社クリエイティブマンプロダクション
協力:さいたまスーパーアリーナ
詳細はこちら