ヘンテコでマイペースで、絶望も笑い飛ばすほどユーモラス。ある世代の一部の人間にとって、スーパー・ファーリー・アニマルズ(以下、SFA)は特別なバンドだろう。かくいう自分も、特に2001年の名曲“It’s Not The End Of The World?”は今でもよくリピートしている。《頭は白髪まじりになったけど/何もかもOKというにはほど遠い》とシニカルに嗤いつつ、《ただ少なくとも、世界の終わりはまだじゃない?》と微笑むロマンティックなサビは、窮屈な強迫観念がしんどい昨今だけにことさら沁みるのだ。
スーパー・ファーリー・アニマルズ – “It’s Not The End Of The World?”
そんなSFAも最後にアルバムが出たのは2009年まで遡るが、空白を感じさせないのは中心人物のグリフ・リースが、ソロ名義やエレポップ・ユニットのネオン・ネオンで活発に動いているから。思えばSFAでも、アルバム全編を出身地のウェールズ語で歌ったり(『mwng』)、狼に育てられた少年が飼っている亀の名前をテニスのウィリアムス姉妹から拝借したりと(“Venus And Serena”の歌詞)風変わりなコンセプトが光っていたが、近年の作品も設定フェチ垂涎の内容となっている。