12月のMTVは、『Heavy Metal SPECIAL』と題してヘヴィメタルを大特集! <Download Feastival>や<KNOTFEST 2014>といったメタルフェスのハイライトに、メタルの歴史をドキュメンタリーで紐解く『Metal Evolution』。更に、『World Wide Metal Bout!』特集では、アメリカ、イギリス、ドイツ、北欧というヘヴィメタルシーンをリードする各国の代表的バンドのMVをまとめてオンエアするなど、ヘヴィメタルに様々な角度からフォーカスし、年末を熱く盛り上げます!
インディーロックのファンは、ヘヴィメタルをどう見てるの?
ところで、音楽専門チャンネルや雑誌で、ヘヴィメタルの特集が組まれる度にメタラーとして気になるのが、インディーロックやオルタナティヴロックのファンは、ヘヴィメタルをどう捉えているのかな? ということ。
Ozzy Osbourne – “Bark at the Moon”
とりわけ、アイアン・メイデンやスコーピオンズやモトリー・クルー、あるいは、オジー・オズボーンといった、いわばHR/HMの“王道”バンドに対して、80年代のメタル黄金期を知らない若きインディーファンは、どういったイメージを持っているのでしょうか? もしかしたら、バンド名は知っていてもキチンとアルバムを聴いたことはない、そもそも興味が持ちづらいという方もいるかもしれません。しかしながら、実は、インディーロックが好きな人にこそ、聴いていただきたいのが、こうした”王道”のヘヴィメタルなのです。その楽しみ方をご紹介したいと思います!
王道ヘヴィメタルの素晴らしさは、そのメロディにある!
インディーロックファンとヘヴィメタル……こうして文字にしてみても確かに余りピンとこない組み合わせです。もしかしたら、先ほど名前を挙げたようなメジャーなヘヴィメタルバンドをインディーロックシーンの対極に存在している音楽だと位置付けている方もいるかもしれません。そうしたバンドは余りにも巨大で、余りにもラウドだからです。
しかし、“食わず嫌い”ならぬ“聴かず嫌い”で、王道のヘヴィメタルに触れないのは、ちょっと勿体ないと思います。何故なら、そうした楽曲は、とにかくメロディが良いからです! そのメロディは、音楽が好きな人ならば、問答無用で心に突き刺さるに違いありません。つまり、シンプルに“曲が良い”のです。
HR/HMは、その過激なサウンドやビジュアルが第一に取り沙汰されがちですが、そのことばかりに気を取られてしまうと、本質を見逃してしまいます。華美な見た目やギターにかけられた極端なディストーションに気を取られることなく、純粋な気持ちでガツンと王道のHR/HMを聴いてみてください。
例えば、モトリー・クルーについて改めて考えてみましょう。ド派手なルックスで猥雑な音を鳴らす“LAメタル”シーンを代表するバンドですが、モトリーの一番の魅力は、ポップでキャッチーな楽曲と美しいバラードを生み出すソングライティングスキルの高さにあります。
Motley Crue – “Kickstart My Heart” – Official 2011 Tour Version
“Kick Start My Heart”、”Dr.Feelgood”といった定番ナンバーや彼等の必殺名バラード”Home Sweet Home”といった名曲を聴いてみれば、その完成度の高さは一目……いや、一聴瞭然。歪みまくったギターや高速ドラミングでコーティングされていますが、ロックな曲は、どこまでもポップかつキャッチーに、泣かせるナンバーは、ひたすらに感傷的で胸を打つ。どの楽曲も素晴らしいメロディによって構築されていることに改めて気付かされます。
インディーロックファンにも胸を張ってオススメできるグッドメロディの数々!
ポップな楽曲といえば、超絶技巧のギタリストを有するバンドサウンドに大胆にシンセサイザーを取り入れ、“Jump”という不朽のロックアンセムを世に送り出したヴァン・ヘイレンや、先日の来日公演を大成功に収めたデフ・レパードといったバンドの楽曲も名曲揃い。
DEF LEPPARD – “Pour Some Sugar On Me” (Official Music Video)
ヴァン・ヘイレンの『1984』やデフ・レパードの『ヒステリア』といった大ヒットアルバムは、HR/HMの枠組みを超えて普遍的なポップ・ミュージック、ロック・ミュージックとして、ジャンルを超越して聴き継がれるべき作品です。
“メロディ”という部分に着目してみると、アイアン・メイデンやスコーピオンズといったヘヴィメタル界のゴッドファーザー的な存在もまた、その楽曲の完成度で新鮮な驚きを与えてくれます。
Iron Maiden –“The Trooper”(Official Video)
アイアン・メイデンは、メロディアスで問答無用に人を高揚させる力を持ったハードな楽曲と、プログレッシブな叙情性で情感に力強く訴え掛けてくるナンバーを巧みに使い分けてきたバンドであり、こちらも是非ともアルバムを一枚手に取って、ジックリとその旨味を味わっていただきたいバンド。絡み合うギターサウンドの快楽性に、一度、その身を任せてみてください。
Scorpions –“Wind Of Change”
“蠍団”の愛称で日本にもファンが多いドイツのスコーピオンズは、叙情性に満ちたナンバーを歌わせればダントツの実力を誇ります。ヴォーカリストであるクラウス・マイネのエモーショナルな歌声は、独特の憂いを含んでおり、その歌を盛り上げる”泣き”のギターが生み出す旋律はリスナーの心を掴んで離しません。
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