2013年6月21日、今年2回目となる<Hennessy artistry>が渋谷のSound Museum Visionにて盛大に開催された。この日はUSヒップホップ界が誇る屈指の知性派にしてテクニシャン、タリブ・クウェリを筆頭に、日本からは鎮座DOPENESS&DOPING BAND、DJ KRUSH、DJ MITSU THE BEATS、DJ MAYUMI、sauce81など“超”が付く豪華ライナップが出演。午前3時頃まで入場者が絶えず、超満員となった会場は朝まで最高の盛り上がりとなった。
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<Hennessy artistry>と言えば、“THE ART OF BLENDING” をテーマに、2006年よりHennessyが世界的に発信している音楽プラットフォーム。海外ではザ・ストロークス、コールドプレイ、アリシア・キーズ、ザ・ルーツ、カニエ・ウエスト……など最高峰のミュージシャン、バンドたちが出演。Hennessyの提唱するこのコンセプトに賛同し、ジャンルやスタイルの垣根を越えたプレミアムなコラボレーション=BLENDINGを各地で実現させてきた。ここ日本でもこの流れを受け、2010年よりHennessy artistry Japanが発足。海外に負けない豪華出演者たちが登場し、すでに数々の伝説的なパーティーを残している。6月21日はその最新回。さっそくその模様を振り返っていこう。
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12時をまわった頃には会場は早くも鮨詰め状態。<DEEP SPACE>では人気フィメールDJ、DJ SARASAがアグレッシヴなビート・ミュージックを投下、ガツンガツンにフロアを揺さぶり、隣の<D-LOUNGE>ではsauce81ら新世代のビートメイカーたちがフューチャリスティックなビートを響かせている。1時過ぎ、メイン・フロア<GAIA>に鎮座DOPENESS&DOPING BANDが登場。MC&女性ヴォーカル&生バンド&DJという総勢7人が叩きだすファンキーなグルーヴに一気にフロアが熱くなる。鎮座DOPENESSといえば現在の日本のヒップホップ・シーンにおいて間違いなく最高峰のスキルを持ったMCのひとり。US屈指の実力派、タリブ・クウェリを迎え撃つには最高の人選だ。パフォーマンスの途中に、Hennessyをラッパ飲みして、「くぅ~、大人~」という発言もあったが、もともと彼のフロウはどこか酩酊したような不思議な味わいがある。Hennessyの注入により切れ味を増した鎮座DOPENESSのフロウは、ファンはもちろん、はじめて彼のパフォーマンスを見ただろうオーディエンス(外国人客もかなり多かった)も巻き込み最高の盛り上がり生み出した。
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そして、この熱い盛り上がりを受けて、タリブ・クウェリがステージに現れる。会場はこの夜最高の沸点に達する。あまりの盛り上がりに、あのクールなタリブ・クウェリがほんのり嬉しそうな顔(ご満悦顔)をしていたのが印象的。天才的とも言える間の取り方、言葉のデリバリー、それらはやはりどれも一級品。パフォーマンスの後半では鎮座DOPENESSを迎えてのセッションあり、(昨年、フリーのミックス・テープを出して話題になったが)自らDJブースに入り、オーディエンスをステージに挙げてのパーティタイム(?)もありというてんこ盛りの内容。圧巻のステージだった。
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さらに<DEEP SPACE>ではスペシャル・ゲストのDJ KRUSHが激渋なヒップホップ・セットを披露。90年代半ば~後半くらいにかけてのアンダーグラウンド・ヒップホップ~アブストラクトなテイストを感じさせるプレイでオーディエンスを魅了した。また抜群のセンスとスキルでコズミックなグルーヴを生み出したメインフロアのDJ MITSU THE BEATSのプレイも素晴らしかった。それにしてもタリブ・ウウェリから鎮座DOPENESS&DOPING BAND、DJ KRUSH、DJ MITSU THE BEATS、grooveman Spotまでをひと晩で観れるなんて、あまりに豪華だ。盛り上がりもすさまじかったが、ヒップホップ・カルチャーの過去、現在、未来を一気に体感したような意味深さも感じるパーティだった。
THE ART OF BLENDINGの名の通り、音楽を通じ、さまざまなジャンル、スタイル、文化、才能をブレンドし、新たなアートが生み出される<Hennessy artistry>。今回の素晴らしい成功を経て、次はいったいどんなパーティを生み出してくれるのか? 次回もぜひ楽しみにしたい。
text by Naohiro Kato
photo by Tadamasa Iguchi[INFOCUS]/ 横山マサト