99年のNMH解散後はソロ・プロジェクトをスタートさせるメンバーもいたが、ジェフが本格的に表舞台にカムバックしたのはつい最近のこと。それまでもアップルズ・イン・ステレオやサーキュレイトリー・システムといった同胞バンドのレコーディングへ単発的に顔を出してはいたものの、2008年にUSレキシントンで行われた<エレファント6>のサプライズ・ツアーではおよそ7年ぶりにNMHの楽曲をファンの前で演奏。2009年には難病を患ったニュージーランドのマルチ・アーティスト=クリス・ノックス(トール・ドワーフス)のトリビュート・アルバム『Stroke』(09年)に本人名義でカヴァー曲を提供し、翌年NYで開催されたベネフィット・ショーではNMHのナンバーを含む25分のアコースティック・セットを披露した。限定的かと思われた彼のライヴは2011年〜2012年にはれっきとしたツアー形式で行われ、LAの<コーチェラ>やスペイン・バルセロナの〈プリマヴェーラ〉をはじめ大型フェスへの出演や、ほぼ「エレファント6祭り」と化した<オール・トゥモローズ・パーティーズ(ATP)>のキュレーターも任されるなど大忙し。筆者は2011年9月にニュージャージーのアズベリー・パークで開催された<アイル・ビー・ユア・ミラー(ATPのスピンオフ)>にてジェフのステージを見ているのだが、フェスにも関わらず別途チケットを発行して全席入替制、撮影・録音・録画一切禁止という超厳戒態勢で始まったライヴは、アコースティック・セットとは思えぬほど全曲シンガロングの嵐。1ミリも衰えていないジェフの歌声も相まって、とても感動的な体験だった。この度の再結成&ワールド・ツアーを決心したのは、<エレファント6>創立時からの幼馴染みにしてオリヴィア・トレマー・コントロールの頭脳ビル・ドスが、昨年7月に43歳という若さで急逝したことも少なからず影響を与えているのだろう。
すでに来年度の<プリマヴェーラ>における第1弾ラインナップとしても発表されているけれど、2014年に世界中のフェスティバルでヘッドライン級の待遇を受けるであろうニュートラル・ミルク・ホテルが、完璧なタイミングとシチュエーションで拝めるというのはまさに事件。日本全国のUSインディー・ファンが“The King of Carrot Flowers Pts. Two & Three”や“Two-Headed Boy”といった名曲と共に大合唱する光景が、今から脳裏に浮かびます。
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