過去最高に国際色豊かなラインナップ
すっかりNMH贔屓な記事になってしまったが、もちろん他の9組も「いま見たい!/見たかった!」と思わせてくれる豪華絢爛なラインナップだ。NMHがヘッドラインを飾る初日のニューカマー枠はUKのサイケ・ロック・バンド、テンプルズ。ピンク・フロイドからテーム・インパラまでを結ぶ新時代のサイケデリアはノエル・ギャラガー兄さんも大絶賛しており、フロントマン=ジェイムズ君の60年代まっしぐら! なカーリー・ヘアとドラッギーなヴォーカルはシラフでも飛べること間違いなし。およそ3年ぶりの来日となるバルセロナの浮遊系ダンス・ロック・バンドことデロレアンも新作『アパー』を引っさげて帰って来るし、第3回の<HCW>でトリを務めたダイナソーJr.のベーシスト、ルー・バーロウ率いるセバドーはなんと約14年ぶりとなるフル・アルバム『ディフェンド・ユアセルフ』のリリース直後という素晴らしいタイミング(セバドーは先述のATP by ジェフ・マンガムでも共演)。オースティンの歌心オッカーヴィル・リヴァーの初来日ライヴには外国人客もきっと感涙だし、NMHで大団円を迎える珠玉のタイムテーブルは、アメリカ現地のフェスでもそうそう実現しないハズ。
オッカーヴィル・リヴァー “ It Was My Season”
ディアハンターが大トリに抜擢された2日目は、実験的なサウンドやパフォーマンスが満載となるであろう異色の組み合わせ。過去に<HCW>にも出演したオーウェン・パレットや、ファックド・アップとも仲良しなカナダ・トロント出身の歌姫ケイティ・ステルマニス擁するアウストラも見逃せないし、民族舞踏をダンス・ミュージックにまで昇華させた「ダブケ」という新ジャンルを生み出し、ビョークの『バイオフィリア』(11年)プロジェクトではリミキサーにも起用された中東シリアのスーパー・スター=オマー・スリマンは、ガーデンホールを暴動寸前のダンスフロアへと変貌させるだろう。そんなオマーの新作をプロデュースしているキエラン・ヘブデンことフォー・テットは、ちょうど1年ぶりとなる日本でのステージ。両者のコラボレーションにも期待が高まるが、フェスでの来日が多い彼のライヴをフル・セットで見られる機会は少ないため、貴重な一夜となりそうだ。さらに、2009年の<フジロック>では3つのステージに出演、続いて2年後にはコンゴトロニクス VS ロッカーズのメンバーとしても来日し、その才能と存在感を印象づけたファナ・モリーナが初登場。「アルゼンチン音響派」云々を抜きにしても、またもや我々の想像をあっさりと超える驚愕のプレイを披露してくれるに違いない。そして、初回の<HCW>ではソロ名義のアトラス・サウンドとして出演したブラッドフォード・コックスが、満を持してバンド編成でのカムバック。最新アルバム『モノマニア』からの楽曲を含むセット・リストも楽しみだが、メンバーの女装やラモーンズ・コスプレが日本でも見られるかも?
アウストラ “Lose It”
再結成組から期待の新人までスキのない采配ではあるが、UKサイケにUSインディー、南米、あるいは中東に至るまで過去最高に国際色豊かなラインナップは、もはや<Hostess Club Weekender>が<ピッチフォーク・ミュージック・フェスティヴァル>や<ATP>といった欧米諸国の音楽イベントにも肩を並べる存在となりつつあることの証明だ(フード&ドリンクのクオリティやホスピタリティではむしろ超えている)。恒例のサイン会やシークレット・セッションなどの詳細はまだ明らかになっていないが、冒頭で述べたようにアーティストとオーディエンスの距離感をグッと縮めてくれる仕掛けやプランが、今回もたっぷり用意される予定だとか。前夜の<エレクトラグライド>参加組の読者も、レッド●ル注入して駆けつけましょう!
(text by Kohei Ueno)
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