2013.02.02(SAT) DAY 1 @ Zepp DiverCity

米インディー・シーンの最良のスナップショット。フレッシュな新人から、中堅どころのキャリアを迎えつつあるバンドまで2日間10バンドのコンセプトの元、2012年2月から開催してきた<Hostess Club Weekender(以下:HCW)>は正にそんなイベントと呼ぶのがピッタリだろう。4回目の開催となった今回は、ヴァンパイア・ウィークエンドとダーティー・プロジェクターズというNYブルックリン出身で、元バンドメイト兼ルームメイトの両雄をヘッドライナーに据えた間違いなく過去最高のラインナップ。それを反映するかのように2DAYSチケットは瞬く間に売り切れた。

昨今はフェスも大小含めてかなりの数が開催されているが、海外アクトだけでラインアップを固め、英米の構成比のバランスもほぼ半々、そしてどのアクトも新作のリリースが開催の前後にあるという<今この瞬間>をパッケージ出来ているのはこの<HCW>の他にはない。「なんか最近英米のインディーってあれこれ居て何がなんだか良く分かんねーんだよなー」な~んて感じている人こそザクッと「現在形」を掴むために足を運ぶべきイベントである。アクト毎の持ち時間もインターバルも余裕を持って設定され、会場は出入り自由という室内型のイベントを快適に過ごすのに程良くアジャストされた運営も実はこのイベントの魅力のひとつ。6月には古巣・恵比寿ガーデンホールにて第5回の開催も決定しているので、二の足を踏んでいる人が居たら今度こそ一歩踏み出すことをオススメします。お台場より踏み出し易い立地ですしね(笑)。

それでは前置きが長くなりましたが早速、今回も充実の内容となった2日間に渡る祭典の模様を定金(初日)と上野氏(2日目)でお届けします。

Report:Hostess Club Weekender DAY 1

英米インディー・シーンで今観たいバンドが勢ぞろいした<Hostess Club Weekender>1日目のレポートが到着! event130207_hcw_fidlar-1

Fidlar

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Unknown Mortal Orchestra

初日のオープナー・アクトを務めたのはLA出身の4人組、フィドラー。一言で言うとまるで小学生が木の枝にウ○コを刺してキャッキャ騒いでる感じですかね。しかもボーカルのザックはランニングに短パンだ。小学校に必ず居ましたよね、こういう奴。音楽の方はファスト、ラウドでポップなガレージ。演奏は当然勢い一発で巧くなんか全くない。「起きろ! キメろ! スケート!」と基本的にはドラッグとスケボーのことを歌っている(笑)。ピクシーズやニルヴァーナにインスパイアされてバンドを始めたなんていう話もあるけど、マッドハニーっていう方がしっくり来るなという印象。そして所々見え隠れするメロディ・センスは極めてキャッチーでそれこそラモーンズやハイヴスの匂いもする。ベスト・コーストと同じ〈ウィチタ〉というレーベル所属なので、なるほどな!と感心し始めた矢先、予定より10分ほど巻きでとっとと終演(笑)。しかも去り際の挨拶は「オ○ッコシテキマース!」・・・。

さてオ○ッコも済ませ、気を取り直しまして2組目のアクトは米西海岸のインディー・シーンが歴史的に根付く街、ポートランドの3人組=アンノウン・モータル・オーケストラ(以下:UMO)。このバンドの中心人物、ルーバン・ニールソンは実はミント・チックスというノイジーなポップ・バンドをやっていた人物。飽きたのか嫌気が差したのかは定かではないが、ミント・チックスからしばしのインターバルを経て始動させたこのUMOはバリバリのヴィンテージ・サウンドで覆われた60’Sサイケデリック、ファンクといった趣で、かなり玄人好みの音作りだ。しかし、ライヴでの演奏はアルバムよりもずっと骨太かつグルーヴィーでフィジカルに訴えってくる仕様。ボン・イヴェールも所属するレーベル〈Jagjaguwar〉からリリースされた目下の最新作『Ⅱ』の1曲目”ファニー・フレンズ”のスウィングするリズムとメロディはソウル/R&B的なテイストもあり、かなり気持ち良い。個人的には初日最大の収穫はこのまどろむサイケデリック・ソウルっぷりを観せてくれたこのUMO。

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Palma Violets

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Band Of Horses

続いて3組目は、かの〈ラフ・トレード〉が1曲だけ聴いてサインしたという触れ込みで「ネクスト・リバティーンズ」的なハイプを背負った初日唯一のイギリス勢となるパーマ・ヴァイオレッツ。そんな触れ込みもあってか、一層会場も混雑し始めフロアはパンパンの状態。期待値は高い。自惚れ屋っぽくて、ラフなベース&ボーカルのチリと、繊細で影のあるギター&ボーカルのサムのダブル・ソングライター/シンガーという構成もザ・リバティーンズを彷彿とさせるのだろうが、個人的にはリバよりもザ・クラッシュを思い起こさせる。ピート&カールのようなフラジャイルさや同性愛的妖艶さはパーマ・ヴァイオレッツにはなく、ナイーヴな勢いのほうが魅力だ。音楽的にもリバティーンズがロック以前の大衆音楽などにインスパイアされていたのに比べると、もう少しストレートに粗野なパンクを演っている。現在のイギリスのポップチャートの中心はアーバン・ソウルやダンス・ミュージックであり、ロックは極度にインテリジェントかやたらと情緒的なバンドが目立つ中、ジェイク・バグとは別の形で、シンプルかつラフなロックが今後の潮流になるのかも、と思ったり。“ベスト・オブ・フレンズ”ではファンの男の子達がステージに上り、コアなリスナー層が多く、どちらかと言うと落ち着いた雰囲気になりがちな<HCW>もこの時ばかりはプリミティブな熱狂に包まれた。

そして4番手は10年近くのキャリアを持つこの日一番のベテランであるバンド・オブ・ホーセズ。サウンド的には昨今フォークやカントリー、オーセンティックなブルーズへと次第に接近してきており、<HCW>の2日間を通して最も異質。バンドは2004年に結成され、ここ日本でもつい1月末に最新作『ミラージュ・ロック』をリリースしたばかりだ。本国アメリカでは売れに売れており、スタジアム・クラスに近いハコでも演奏できるゆえ、スケール感と安定感が頼もしい。冒頭3組で一気に駆け抜けてきた会場のムードを今一度整え直すような説得力すらある。ヴァンパイア・ウィークエンドへのインタビューの為、冒頭の15分ほどしか観られなかったが、セットリストを振り返ると過去2作の代表曲から新作随一のメロディを誇る“ノック・ノック”まで満遍なく披露したようで、この日のベストに挙げる声も多い充実のパフォーマンスになったのではないだろうか。

次はいよいよDAY1のトリ、ヴァンパイア・ウィークエンドのレポート!
各アーティストのセットリストも公開!!
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