フェスやポール・マッカートニーの来日公演といったビッグ・イベントを経て、約半年ぶりに<Hostess Club Weekender(以下、HCW)>が開催された。6度目となる今回も、お馴染み恵比寿ガーデンホールが舞台。<HCW>には第1回目より皆勤賞で足を運んでいるが、ニュートラル・ミルク・ホテルがヘッドライナーを務めた初日は、おそらく過去最高にインターナショナルな客層だったのではないだろうか。

ジャンルと国境を越えた挑戦的かつバランスの取れたラインナップは、やはり<HCW>の醍醐味なのだ。欧米のライヴハウスのような空気も味わえた、胸熱なパフォーマンスの数々を振り返ってみたい。

Report:Hostess Club Weekender(1日目)

2013.11.30(SAT)@恵比寿ガーデンホール

新人離れした演奏力と人気を見せつけたテンプルズ、
気分はもう60年代?

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トップバッターに抜擢されたのはUK代表のテンプルズ。新人バンドながら、ノエル・ギャラガーやジョニー・マーが猛プッシュしていることもあって、破格の注目を浴びている4人組だ。グラマラスな佇まいから繰り出されるそのサウンドは、モロにヤードバーズやピンク・フロイド、あるいは中期ビートルズを思わせるサイケデリック/アシッド・フォークに接近したもので、全盛期の桑名正博をも彷彿とさせるカーリーヘアのフロントマン=ジェームズがエコーがかった声で歌い出せば、気分は60年代にタイムスリップ。

しかし、日本限定の『シェルター・ソング e.p.』などを聴けば明らかなように、彼らの楽曲はあくまでシンプル&キャッチーなのが特徴で、ポップ・ソングとしての強度は折り紙つき。来年2月にリリース予定のデビュー・アルバム『サン・ストラクチャーズ』からの新曲“Mesmerise”や“Sand Dance”も披露され、ピタリと息の合ったアンサンブルとコーラスワークは素晴らしいの一言に尽きる。前夜にタワーレコード渋谷店で行われたアコースティック・ライヴ+撮影会ではすでに多くの女性ファンを獲得しており、これほどアイドル的人気を誇るUKバンドというのも久しぶりかも(サイン会の整理券も即完)。今後の動向も要チェックです。

ガーデンホールを多幸感たっぷりのダンスフロアに変えたデロレアン

カーテンが開くなり「トーキョーに戻って来られて嬉しいよ!」と告げていたデロレアンは、9月リリース(日本盤は10月リリース)の4thアルバム『アパー』を引っさげて3年ぶりのカムバック。一足先に地元スペインで開催された<プリマヴェーラ・サウンド>でのライヴも見ているのだけど、潮風が吹く野外であろうと、熱気ムンムンの屋内であろうとあっという間に多幸感たっぷりのダンスフロアに変えてしまう手腕は、インディー・ロック・ファンのみならずクラバーにも愛される所以だろう。

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ひたすら浮遊感を高めていくシンセのレイヤーに、歌うようにメロディアスなギターとリズム隊、そしてエキ・ロペテギによるリヴァーブの効いたヴォーカルが、ほぼチューニング無しで畳み掛ける様はDJプレイさながらで、リミキサーとしても定評のある彼らの底力を思い知った。また、シタールの旋律がサイケなグルーヴを描いていく“Dominion”はテンプルズからの流れにバッチリとハマっていたし、グラッサーのヴォーカルをフィーチャーした“Destitute Time”におけるダイナミズムは、そんじょそこらの宅録バンドとは比べ物にならないほど壮絶(んで、悶絶)。今のデロレアンなら、<BIG BEACH FESTIVAL>のような巨大フェスでも歓迎されそうだ。

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