「フジロックには行ってみたいけれど、宿の予約は激戦だし、かといってキャンプは過酷そう……」。そんな理由で参戦をためらっている人は少なくないはずだ。
確かにひと昔前の野外フェスのキャンプといえば、「重い荷物を背負い、雨風に耐えるサバイバル」というイメージがあったかもしれない。しかし、現在の<FUJI ROCK FESTIVAL(以下、フジロック)>のキャンプサイトは進化を遂げており、実は「最もカジュアルで、自由度の高い滞在スタイル」と言えるほどハードルが下がっている。
今回は、キャンプ未経験者や初心者に向けて、フジロックでのキャンプがいかに手軽で魅力的か、その理由と快適に過ごすためのアドバイスをお届けする。

なぜ「ハードルが低い」と言えるのか?3つの理由
1. 荷物は「送る」か「借りる」!手ぶら参戦も可能
キャンプ最大の関門である「大量の重いギアの運搬」。これがフジロックでは不要になる。
事前に会場のキャンプサイト宛に宅急便でテントや寝袋を送り、帰りもそのまま発送できるシステムが確立されているからだ。さらに、近年はテントが最初から設営されている「レンタルテントプラン(今年はすでに受付終了)」など、レンタルサービスも充実している。これらを活用すれば、いつものフェス服装+リュック1つでキャンプインが可能だ。
2. 女性一人でも安心な充実の設備とエリア分け
「お風呂やトイレが心配」「セキュリティが不安」という人も安心だ。キャンプサイト内には24時間利用可能なシャワーや温泉(苗場プリンスホテル等の近隣施設)があり、トイレの数も十分に確保されている。また、女性専用のキャンプエリア(レディースサイト)も用意されているため、女性同士やソロ参加でも安心して夜を過ごすことができる。
さらに心強いのが、現地でのサポート体制だ。全国各地の野外フェスやイベントに出張するアウトドアの専門家集団「キャンプよろず相談所」が今年も出店しており、テントの設営方法からトラブル対処まで、キャンプにまつわる様々な相談が可能となっている。

なお、レディースサイトは予約制ではなく、前夜祭のある木曜正午に一斉オープンするため、人気エリアは争奪戦は免れない。開場前には毎年待機列ができるため、狙っている人は早めに現地入りして備えよう。
3. 圧倒的なコスパと、時間に縛られない自由度
周辺のホテルや民宿に泊まる場合、何ヶ月も前から激しい予約争奪戦に勝つ必要があり、宿泊費もそれなりにかさむ。一方、キャンプサイト券は非常にリーズナブルだ。
さらに、深夜まで続くステージを観た後、シャトルバスや徒歩での長い移動をすることなく、数分で自分のテントに帰って眠れるという「タイパ(タイムパフォーマンス)」の高さも、カジュアルにフェスを楽しむための大きなメリットである。

これだけでOK!カジュアルキャンプを成功させる最低限の準備
「カジュアルに楽しむ」ためのコツは、完璧なキャンプをしようとしないことだ。最低限の備えさえしておけば、十分快適に楽しめるのがフジロックのキャンプ!そこでキャンプ経験が豊富な編集部メンバーが独自の視点でそのコツを伝授する。
◉ テントと寝具にこだわる
フジロックではキャンプサイトでの火気の使用は禁止となっており、食事はフードエリアでフェス飯を楽しむのが鉄則。となると、キャンプサイトは「睡眠と休憩の場」と割り切って備えるのが正解だ。
注意したいのは、キャンプサイトでは限られたスペースを活用するため、タープの使用が禁止されている点。そこで日よけや雨よけも兼ねて、テントはいわゆる「前室(入り口前の屋根になるスペース)」があるモデルを選ぶと、その中で一時的に休んだり、着替えたりすることができて便利だ。
また、寝具として個人的に強くおすすめしたいのが「コット」と呼ばれる、キャンプ用の折り畳み式簡易ベッドである。フジロックのキャンプサイトはスキー場のゲレンデを利用しているため、傾斜のあるエリアがほとんどだ。しかし、傾斜に合わせてコットの前後の脚の長さを変えることで、ある程度フラットな寝床を確保することができる。また、地面からの距離が保てるため、万が一テント内が浸水しても安心だ。「濡れずに快適に眠れる空間」さえ確保できれば合格点だろう。さらに寝心地にこだわりたい人は、比較的安価に手に入る空気注入式のエアマットなどを重ねるのもおすすめだ。
◉ 雨対策は万全に!同時に暑さ対策も
山の天気は本当に変わりやすい。予報が晴れであっても、レインウェアや長靴、サンダル等を用意して、必ず雨対策はしていこう。
キャンプをする上で気をつけるべきは「テントを張る位置」だ。周囲と比べてくぼんでいるような場所は、雨が降った際に雨水の通り道になったり、水たまりになったりするので避けたい。
濡らしたくない荷物は防水バッグに入れると安心だが、持っていない人はジップロックやビニール袋、ゴミ袋などでも十分に代用できるので、多めに持っておこう。
正直、大雨が降ってしまえば誰しも少なからず濡れるし、もはや「濡れるのもフェスの醍醐味」だ。スマホなどの電子機器を守れる対策と、風邪を引かないための着替えさえ確保しておけば大丈夫。そんなタフな状況すらもエンターテインメントとして楽しんでしまおう。

また逆に、快晴の日は日の出とともにかなりの気温になる。日中の暑い時間帯に休むのであれば、テントではなく会場内を流れる「浅貝川」がおすすめ。サンダルやタオルを持ってぜひ涼みにいこう。

◉ 水はちょっと多めに!その他持っていくと便利なアイテムを紹介
キャンプサイトの中でも、トイレや洗面台に近いエリアは人気ですぐ埋まりがち。そのため水(ミネラルウォーター)を事前に多めにサイトに準備しておくと、ちょっと手を洗ったり、口をゆすいだり、顔を洗ったりと便利。
その他、あると便利なアイテムをリストアップしてみた。
– テントにつける目印
キャンプサイトには、自分のものと似たような(あるいはまったく同じ)テントが山ほど並ぶ。すぐに見つけられるよう、何かしらの目印があると便利だ。風船やペナントをつけたテントもあり、みな思い思いに楽しみながら工夫している。
– かゆみ止め
虫除けはもちろん、刺された時のためにかゆみ止めもあるとなお安心だ。
– フェイスパック
化粧水などをボトルで持ち込むと嵩張るため、パックがおすすめ。
– モバイルバッテリー
もはや日常的に持ち歩くことも多くなったが、キャンプ泊となるとなおさら電源にアクセスできない。全日程参加する場合は、大容量のものを複数個用意しておきたい。
– 耳栓とアイマスク
キャンプ泊に慣れていない人は普段とはまったく異なる環境でなかなか寝付けないかもしれない。深夜までステージの音が心地よく響くこともあるため、気になる人は耳栓やアイマスクを持参するのが賢明だ。
一歩踏み出せば、そこは自分だけの特別な「拠点」になる
「キャンプ道具を持っていないから」「キャンプをしたことがないから」という理由で、フジロックのキャンプを選択肢から外してしまうのはもったいない。
現在のフジロックは、初心者を受け入れるインフラやサービスが本当に充実している。一歩踏み出して、苗場の山肌に自分だけのささやかな「拠点」を構えてしまえば、朝から晩まで、いや朝方に鳴り響く音楽まで、フジロックのすべてを120%遊び尽くすことができるはずだ。
今年の夏は、ぜひカジュアルにキャンプデビューを飾り、苗場の地で最高の音楽体験をアップデートしてみてほしい。

Text & Edit by Qetic編集部
