岩間俊樹(SANABAGUN.)がプロデュースする3⼈組ダンスミュージックバンド・IN-KYA in Canadaが、〈slugger PRODUCTION〉より初のフルアルバム『TROPOSITE』を7月17日(土)にリリースする。今回、バンドメンバーである観音/かんのん(シンセ・ボーカル)、 凪月/なつき(エレキギター)、ろんぽー(ベース)の3名へのインタビューが到着。メンバー全員が作詞作曲を行い、それぞれの音楽性が混ざり合った完成度の高い楽曲に定評のある彼らだが、今回のインタビューでは、その音楽的ルーツからバンド名の由来まで語っている。
インタビュー:IN-KYA In Canada
──今までどのような音楽を聴いてきましたか? 影響を受けたひとを教えてください。
観音 親から洋楽の影響を受けました。高専入ってからジャズ系を聴くようになりました。ピアノを5歳くらいから始めました。元々姉がやっていたので始めたんですけど、練習は嫌いだったんで……。今ちゃんと練習していればすごいピアニストになれたかもしれないですね(笑)。
ろんぽー 親の車だと80年台のJ-POPがすごい流れていて。今でもながれているんですよ。自分が生きている四半世紀の間ずっと同じ音楽が流れていて。飽き飽きしてくるんです、全部バラードなので。その反動で、車の中で流れていなかったロックとかダンスミュージックとか好きになっている気がします。楽器は、4〜5歳くらいにエレクトーンを友達がやっていたんですけど、楽しそうで、やりたいなと思って始めたのが鍵盤触るきっかけですね。やっぱりエレクトーンなので、電子音とかサウンドが入口になっている感じはしますね。
凪月 みんな一緒でちょっとびっくりしたんですけど。僕も親の影響で筋肉少女帯と……。
観音 一緒じゃないだろ(笑)。
凪月 (笑)。Queenと洋楽のハードロック、THE TIMERSとか。親がCDを流していて。それ小学六年生だったんですよ。気になりすぎて「何それ?」って聴いてCD借りて自分の部屋のラジカセみたいなので毎日聴いてて。ラジカセ壊れるまで聴いていたんですよ。
──新潟県の長岡技術科学大学音楽サークルを通じて結成したとのことですが、組むきっかけとなった時のことを教えてください。
観音 忘れました!(笑)
ろんぽー 飲み会があって、そこでコミュニケーションとって好きな音楽とかキャラクターとか聴いた上で「似通った部分あるな〜」とか、「こいつやばそうだな。」とかわかるんですけど。あとは、新潟でダンスミュージックをバンドで行なっている人が全然いなかったので。やってみたら面白いんじゃないのと思って。メジャーとかでも少ないんですよね。なので、3人をより集めたって感じ。
──IN-KYA In Canadaというグループ名はどのように決めたのですか。
ろんぽー インパクトは狙っていました。
観音 インキャって言ったのは俺が言ったんじゃないかな? それを英語表記にしたのはろんぽーさんじゃなかったかな? どうだったっけ?
ろんぽー 覚えているのはありきたりなバンド名は埋もれちゃうので、避けたいなと思いました。
IN-KYA in Canada – Show Me All
──3人の中の昔と今のコミュニケーションって同じですか? 少しずつ変わってきてるなとかありますか?
ろんぽー 昔の方がホビーで……。当時は売れようとして始めたバンドじゃないので、勝手に好き勝手やってたんですけど。全員作曲できるので3人で一つの曲を作るというのは面白いんじゃないかと思って作れる人を集めました。
観音 懐かしいね。どういう音楽にしていこうかって話し合うつもりが、1日目からバリバリ曲作ったり。
──どのように音楽を作っていますか?
観音 バラバラ。今はろんぽーが東京行っちゃったんで、そういった意味では最近では誰かが作ったものを主軸というのが多いですけど。最初の頃は3人の綺麗な三分割されたような楽曲、割とみんなのニュアンスがあるような。
ろんぽー 今は誰かが持ってきて、そこから広げるような。
観音 構成変えたりとかで。
ろんぽー 最初はサビのコード進行しかなかったり。“Tokyo Troposite”とかは最初から割とできていた。
──3人で意見がぶつかるときはありますか? そのときはどうしますか?
ろんぽー ありますね。譲り合い……。今は互いの意見だけではなくてリスナーを意識していますね。
──どのように制作していますか?
ろんぽー 今はオンラインで集まっていますけど。ディスコードを使って、画面配信しながら。
観音 晩飯食いながら(笑)。
ろんぽー 3人で同じ画面みながら「もうちょっとこうして。」とか言いながら制作していますね。
──1曲作るのに制作期間はどのくらいですか?
観音 長いですね。あまり集中力ないので。例外もありますけど。
ろんぽー その時のインスピレーションによるかもしれないですけども。
「うちに籠った作品にしたくないなと。いろんな人に刺さるのが一番いいなと思います。」
──“インスピレーション”は普段から考えていることですか、もしくは急に思い浮かぶものですか?
観音 僕はハーフアンドハーフですね。普段から考えていることが影響することもあります。
凪月 僕も同じですね。
ろんぽー 最近持ち帰りって一人で作業することが多いです。
観音 最近持ち帰りだね〜。
ろんぽー それが作業の停滞につながっている気も……。
──歌詞に関して教えてください。こういう歌詞が好きだなとかありますか?
観音 直接的な言い回しじゃなくて。「咳をしても一人」とかの方が素敵じゃないですか。
ろんぽー 直喩か隠喩かみたいな。
観音 恋愛ソングは書けないんですけど、例えば「好き」っていうのがあったら、それをどう回りくどくリスナーに伝えるかというのは好きですね。
ろんぽー 等身大の歌詞ではない。
観音 もちろん「直接的な言い回しが良い」というひともいると思うんですけどね。
──あまり聴かない音楽のジャンルありますか?
観音 演歌は聴かないでしょ。
凪月 わりと最近ジャンルで隔てることは少なくなった。
観音 雅楽とか聴かない。ファ〜〜〜っていうやつ。
──ジャンル隔てなくなって、他の音楽からも影響受けるようになりましたか?
凪月 そうですね。無意識につまみ食い。好きなのものだけ聴いてるんだけど、好きの幅が広くなってきました。昔は厨二病だった時は洋楽のロック以外はクソだと思っていたけど、最近は邦楽のヒットチャートとかも聴くようになって売れる音楽ってどうなんだろうと思うようになった。自分の中の好きの幅が広がってきた。
──同世代とか近しい年齢のアーティストで気になる人はいますか?
観音 大宮レコーズですね。すごいんですよ。ライブ中に手品するんすよ! Youtubeのライブで声出して笑わせられたのは大宮レコーズだけですね。それに、トラックがかっこいいんですよ。コメディアン的な要素が大きいかと思えば。ちゃんと自分達の音楽を持っているので、どこ切り取っても勉強になるなと思いますね。
大宮レコーズ – 埼京線
ろんぽー 同世代だとパソコン音楽クラブは好きですね。あとはどんぐりず。俺らのやりたいことをやられてしまっている……。年齢は3つ下くらい。比べちゃうとやばいですね。あとは長岡から同じ時期に組んだアバヨズという。新潟と東京でライブしていて音楽の活動はIN-KYAと似たような感じで。音楽もいいし。勝手に俺らがライバル視しています。向こうからしたら……。
観音 なんとも思っていないけどね笑
ろんぽー いっぱいいますね。SoundCloudとかすごいなぁって思う人多いですね。僕らは凡人だなと思ってしまいますね。挫折ではないけどインパクト喰らいました。作曲できる人はあまり周りにいないと思っていたら、10代で新しい音楽シーンを作っている人がいて、インターネットは広いし深いなと思いました笑。一人で曲を作っていても、限界あるなと思って。3人なら3人で詰め込める方がいいなとそれも結成の理由の一つかな。
凪月 僕は個人で作曲をやったりしていて。Twitterのフォロワーとかで作曲家志望で若手のすごい人たちがいて、互いに影響しあっています。
──IN-KYAの聴きどころはどんなところですか。
ろんぽー シンセの音と生音の融合を聴いてほしい。サウンドをゴリ押しで。最近はそこに歌詞も含んできたかなと。シンセの音作りは凝ろうと思っています。シンセは情景が思い浮かぶことができる楽器なので、“Tokyo Troposite”は一番最初にシンセの音が鳴るんですよ、そのサイレンみたいな音で都会的な音を出したりとか。
──IN-KYAリスナーから曲の感想とか聞きますか? ギャップを感じたとこととかありますか?
ろんぽー 周りの声をきくと、意外と好きだって言ってくれる曲がバラけていて。3人で作るからそうなるのかな。想像していなかったという意味ではギャップありますね。
観音 いい意味で古いって言われますね。80年代を感じるっていうのは意識してつくっていなかったですけど。新しいものもあるけど、古い。
──自分達の音楽をどう聴いて欲しいとかありますか?
観音 新しいものという感覚で聴いてくれたら嬉しいなと思います。
凪月 ポップミュージックで一番大事だと思うのは、普遍性であると思っていて。ジャンルとかはあるじゃないですか、そういう外側に関わらず、本質的な部分で、年齢性別問わずにマルチに刺さる、音楽というものにすらとどまらず、芸術全般に通じるものになってほしい。
観音 すごい壮大な……(笑)。
凪月 うちに籠った作品にしたくないなと。いろんな人に刺さるのが一番いいなと思います。
IN-KYA in Canada – Tokyo Troposite
PROFILE
IN-KYA In Canada
シンセ/ボーカルの観音、シンセベースのろんぽー、ギターの凪月で3人組ダンスミュージックバンドで新潟県の⻑岡技術科学大学音楽サークルで2018年に結成。メンバー全員が作詞作曲を行えるため、作り出される音楽は3人それぞれの音楽性が入り交ざり、ハウス・ディスコ・エレクトロニックを基調としたダンスミュージックにハイトーンなボーカルが加わり独特かつポップで癖のあるグルーヴ感を生み出す。2020年9月に発表したデビュー作『Show Me All』はまったく無名ながらもSpotify公式プレイリストに多数選ばれるなど、その楽曲の完成度に定評あり。現在は新潟-東京間で活動を行っている。
RELEASE INFORMATION
TROPOSITE
2021年7月17日(土)
IN-KYA In Canada
1 – Tokyo Troposite
2 – Music Is Yours
3 – Need More Caffeine
4 – Unicode
5 – Feel it in my body
6 – 東奔西走
7 – Tune 808
8 – Reconstruct
9 – Show Me All
10 – Park Studio 1-E
11 – Cityscape
12 – Thick Fog
13 – Fender Girl