ロード・トゥ・ちどり公園

野外レイヴイベント＜INCUBUS CAMP “RAVE”＞が10月14日（土）に神奈川・川崎のちどり公園で開催される。

同イベントは、その名の通り都内のナイトクラブやDJバーで開催されてきたパーティ＜INCUBUS CAMP＞の野外レイヴエディションであり、本祭である。

このイベントはこれまで、Goldieやµ-Ziq、Fractal Fantasyなど、海外からレジェンド級のアーティストを迎えてきた。かつ、国内のDJクルーやコレクティブにも積極的にフォーカスし、ドメスティックなクラブシーンに様々な文脈をもたらしている。

そのひとつが「レイヴ」だ。スピードガラージや2ステップ、ドラムンベースやジャングル、あるいはテクノやロウハウス…。高速かつアブストラクトなビートの中で入り乱れる4つ打ち。

たとえば、今回＜INCUBUS CAMP “RAVE”＞に出演するクルーのひとつ『FULLHOUSE』は、先日UKから現行レイヴシーンの急先鋒・Nia Archivesを招いてパーティを開催しており、自分たちも彼女に呼応するようなDJをみせていた。

今年で3年目を迎える本イベントは、2022年6月の＜INCUBUS CAMP Vol.1＞に続き野外パーティとしては2度目の開催を迎える。今回も同じく川崎市のちどり公園で開催されるが、その規模はよりアップデートされた。

次のセクションでは、会場へのアクセスについて簡単にまとめている。

近年、様々なイベントが開催される「ちどり公園」。バンドやDJ、様々なアーティストがこの場所でライブを行っている。メカニカルな工業地帯を抜けた先に辿り着くそこは、オルタナティブな雰囲気がありながら、チルアウトにも適している。

川崎駅から市営バスで向かう道中、車窓から見える景色は繁華街から臨海地域のそれに変化。グラデーションを伴って変わる風景も、『INCUBUS CAMP “RAVE”』の楽しみのひとつだろう。

会場アクセスの具体的な道順を示す画像と、バスの発着時刻が分かるリンクを以下に共有する。

川崎駅バス乗り場
川04系統市営埠頭行
川05系統東扇島循環
川07系統東扇島西公園前行
※川崎駅東口バス11番乗り場、12番乗り場、13番乗り場より乗車。JERA川崎火力発電所前にて降車。駐車場がないため、必ず公共交通機関でお越しください。

青々とした木々に囲まれた会場の真ん中には、最高音質を実現する「Void Acoustics」のスピーカーが置かれている。すぐ横には地平線まで続く海が広がっており、疲れたら海を臨むベンチで休むこともできる。

もちろん、自前のタープやイス、レジャーシートなども持ち込み可能だ。音楽以外にもフードやスイーツ、フルーツカクテルなどが用意されているので、それぞれ楽しみ方を見つけてもらいたい。

本稿にあわせて公開された会場のマップが、具体的なイメージをつかむ一助になるはずだ。

当日はイベントのヘッドライナーとして、＜INCUBUS CAMP “RAVE”＞にはUKガラージのアイコン的存在・Conducta、さらにUKファンキーのパイオニア・Roskaが登場する。

それぞれの界隈で“顔役”と言って差し支えない2人は、冒頭で述べた現行レイヴシーンにも共振している。2人についても簡潔に紹介したい。

2019年、全英チャート3位を記録し、ガラージを一気にメインストリームまで押し上げた楽曲がある。それが、AJ TraceyとConductaのコラボトラック“Ladbroke Grove”だ。以降、Conductaは各所でセンセーショナルに取り上げられ、ダンスミュージックの専門誌「Mixmag」や「DJ Mag」などでは表紙に抜擢されている。

そして彼が2019年1月に設立したレーベル〈Kiwi Records〉もまた、今やUKガラージにおける最大拠点と言って差し支えないだろう。Jack Junior、Sharda、Sammy Virjiなど、界隈を代表するDJ／プロデューサーがこのレーベルから次々と音源をリリースしている。

2020年3月にはミックスCD『The Kiwi Sound』を発表し、UKガラージをさらに周知させ、シーンの新鋭プロデューサーをフックアップした。

レーベルが設立される以前は、「UKGがシーンで認知される機会はなかった」という（参考：Conducta is fanning the flames of UK garage）。2023年現在、彼らが起こしたムーブメントは極東にまで届いている。

10年以上にわたり、サウスロンドンのUKファンキーを先導してきたRoska。自身のレーベル〈Roska Kicks & Snares〉からのリリースを中心に、プロデューサーとしてあまたの楽曲を発表してきた。2022年に同レーベルからリリースしたアルバム『Peace』には、FlowdanやSweetie Irieなどのレジェンドも参加している。そればかりか、彼は若いアーティストにフックアップすることにも極めて熱心だ。その中には、日本のラッパー・なかむらみなみとのコラボ曲（“Pree Me”や“Call Mi”）も含まれる。また、セレクターとしても、Rinse FMをはじめ様々なプラットフォームで古今東西の才能を見出してきた。

彼の世界観のもとに紡がれる音楽は、UKガラージ、ダブステップ、ジャングルなど実に多岐にわたり、それはまさしく今回の＜INCUBUS CAMP “RAVE”＞とも共振する。『Peace』に収録されている曲の中に、「Heung-Min Son」と名付けられたものがある。これはトッテナムに所属する韓国代表サッカー選手、ソン・フンミンのことだ。彼は熱心なフットボールファンでもあり、そういった遊び心や情熱を音楽に反映する余裕もある。当日の彼のDJは、その作家性よろしくオープンマインドなセットになるだろう。

＜INCUBUS CAMP＞の開催拠点でもあり、原宿から最先端のカルチャーを発信するミュージックバーの不眠遊戯ライオンがキュレーション。

DJブースとBARが一体となったアイランド型のライオンフロアでは、nasthugやW.A.S.P.などシーン最前線で活躍するプレイヤーから、CYBERHACKSYSTEMやJUN INAGAWAといったアート界でも絶大な支持を誇るDJ、ライオンのフロントマンとしても店を支えるシンガーのKick a ShowのDJセットなど、豪華ラインナップが集結。

さらにライオンBARでは、フレッシュフルーツを使ったカクテルや、山椒やアールグレイを漬け込んだインフュージョンカクテル、AwichのプロデュースするHABUSHといった限定メニューも用意。

当日は原宿の店舗からライオン像も出張するなど、ライオンらしさ溢れる空間となっている。

世界的に活躍するグラフィックデザイナー・GUCCIMAZEがINCUBUS CAMPのために描きおろしてくれた今回のアートワークのステッカーが先着300名に無料配布される。ぜひ、この機会に入手したい。お早めの入場を。

当日は10月もなかば、酷暑も過ぎたあたりだが、恐らくその熱量は真夏にも引けを取らない。秋の肌寒さとは無縁の、愛と狂乱の野外レイヴフェスが川崎で待っている。