そしてこのフェスのトリを飾るのは石橋英子。ステージ上では、ジム・オルーク(G)、須藤俊明(B)、山本達久(Dr)、波多野敦子(Vi)、坂口光央(Key)によるバンド=もう死んだ人たちのセッションが始まっている。『car and freezer』のジャケット写真でも着用していた全身真っ赤な衣装に身を包んだ石橋英子が登場すると、自身もフルートでセッションに参加。本編では英詩で歌われる『car and freezer』の楽曲を中心にセットが進んでいく。各楽器それぞれの音が歌として鳴っているように聞こえ、そこに展開される石橋の伸びやかな歌声には鳥肌が立つほどの感動を覚えた。様々な楽曲がロカペニスの幻想的なVJと相俟って美しい世界観を作り上げている。聴覚だけではなく視覚的にも重点を置いているように感じられた。
石橋英子ともう死んだ人たち
ジム・オルーク
アンコールではメンバー紹介後、サンディ・デニーのカバー曲も披露。石橋英子の持つ声質と楽曲がとても合っており、まだまだ聴いていたいと思えるほど素晴らしいカバーである。
石橋英子
山本達久
石橋英子による呼びかけだからこそ集まった濃厚なラインナップにスペシャルな共演(そしてウミネコカレー)。こんな面白いイベントが六本木の地下で行われるという意外性はもちろん、秘密の場所で自分だけに演奏されているような感覚に陥いる雰囲気に、大きな会場で開催されるお祭りとは異なる、静かな興奮を覚えた。そんな“新感覚”を感じられた<car and freezer festival 2014>の次回の開催を、僕は強く願っている。
須藤俊明
波多野敦子
text by Daiki Hayashi
phpto by kino eigen
Release Information
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