加えて、ジェゴグには、2つの異なるグループが合い並んで位置し、片方が演奏を始めた後からもう一方がその演奏に乱入して異なるメロディやリズムをぶつけ、相手の演奏をわざと壊すように仕掛けていく“ムバルン(対決するの意)”と呼ばれるバトル形式の演奏スタイルがあり、これもまた近年に人気が高いMCバトルなどにも通じるスリリングな側面を持っているとも言えるだろう。また竹製の音階打楽器にアンサンブルそのものも、マリンバやスティ―ル・ドラムの楽団にも似た汎グローバルな側面もあり、あらゆる角度からその楽しみは尽きることがない。
ジェゴグツアー:音の格闘技
90年代初頭からコンスタントに来日公演を行い、坂本龍一、坂東玉三郎、東條秀樹などをはじめとする様々な音楽家たちともジャンルを越えて共演を重ねてきた彼らは、日本におけるワールド・ミュージック隆盛の立役者のひとつと呼べる存在。
昨年には日本を代表する和太鼓グループである鼓童が佐渡島で開催し続ける<アース・セレブレーション2015>にスアール・アグンのハーフチームが招かれて出演し、その後には鼓童がバリ島に赴いての共演ライブを初めて実現させたことも話題となっていたが、今年は数年ぶりにスアール・アグンの本格的な来日ツアーが実現することとなった。現地のバリ島から巨大なジェゴグを船で2~3週間かけて輸送し、総勢20名以上のメンバーが2セットに分かれてムバルンも再現する迫力のステージはもちろんのこと、若いメンバーが新たに加わって伝統を守りつつも世代交代がしっかりと進んだアンサンブルにも注目したいところ。
また、日本においても近年にアジア圏の音楽に対する関心が着実に高まり、芸術家の川村亘平斎が率いる「TAIKUH JIKANG 滞空時間」のような新感覚のガムラン・グループも台頭してきている中での登場とあって、スアール・アグンが奏でるサウンドは過去とはまた違った驚きや豊かさを帯びて日本各地の聴き手を揺るがすことになるだろう。今またフレッシュな耳と感覚で“再発見”したい東南アジアが世界に誇る“バンブー・マジック・オーケストラ”。伝統と現代性が交錯する唯一無二の音世界を、この機会に体感してほしい。
EVENT INFORMATION
24名の巨竹オーケストラ スアール・アグン 来日公演2016 ~祝祭の音楽 ジェゴグ・大地の響き~
9/22(木/祝)福島・いわき芸術文化交流館アリオス
9/24(土)岐阜・サラマンカホール
9/25(日)愛知・豊田市コンサートホール
9/27(火)宮城・えずこホール 仙南芸術文化センター
9/29(木)福井県立音楽堂 ハーモニーホールふくい
10/1(土)静岡音楽館AOI
10/2(日)東京・めぐろパーシモンホール
総合info:プランクトン 03-3498-2881
PRODUCT INFORMATION
バリ/スアール・アグンのジェゴッグ
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