JINTANA & EMERALDSが結成10周年で初のワンマンライブをBlue Note東京で開催。この度、まるでエキゾな海外旅行をするような夢見心地なライブのレポートが到着!

2022.01.14(FRI)
BLUE NOTE TOKYO
JINTANA & EMERALDS

1月14日、BLUE NOTE TOKYOにて、横浜のレーベルPan Pacific Playa発のネオ・ドゥーワップバンドJINTANA & EMERALDによる初のワンマンライブが開催された。1stアルバム『DESTINY』がミュージックマガジン誌の2014年ベストアルバムJ-POP/歌謡曲部門1位に選ばれるなど大いに話題になった彼ら。そこから7年のブランクの末、昨年ついに2ndアルバム『エメラルドシティ・ガイド』をリリース。架空のリゾート都市エメラルドシティへの旅をテーマにしたこのアルバムも、シングル曲“Love Again feat. Los Retros”がクレイジーケンバンドによる本牧レコード大将に選ばれるなど話題になり、ついに満を持してリリースパーティがブルーノート東京で行われた。

コロナ対策により席は減らされつつも、1stステージは大盛況、2ndステージもソールドアウトとなり大いに期待感が高まる中、ブルーノートの階段を降りると、そこはすでに架空の街、エメラルドシティに訪れたような気分にさせられる装飾で彩られていた。

JINTANA & EMERALDSがBLUE NOTE TOKYOで初ワンマンライブを披露!VIDEOTAPEMUSIC、加藤ユウによる色彩にも彩られたエメラルドの夢 music220119-jintana-and-emeralds-17

ステージの右には、植物の中からエメラルドの光が漏れる、オブジェともいえるスチールギタースタンドが設置。これはアルテ・ラグーナ国際美術賞(イタリア・ベネチア)なども受賞し国内外で活躍するアーティストYU KATO(加藤ユウ)NEST DESIGN STUDIOにより制作され、南洋の花々の中で光るエメラルドが浮遊し回転するという不思議なものであった。このスタンドは、カットされたエメラルドをイメージし、三角形だけで構成されたもので、その上にスチールギターも三角形に配置された神秘的な造形に。さらにステージにはYU KATO(加藤ユウ)による花の造形も添えられ、ステージ全体が、ビーチサイドのエキゾチックな都市のライブショーのような様相を見せていた。そして、JINTANAによる甘美に歪んだスチールギターソロが始まると、スクリーンには、物語を始めるように、テロップが現れた。

“究極のチルアウトを求めて、人々はその街に想いを馳せる

永遠に鳴り響くドゥーワップと、太陽と海が煌めく街並み

いま1950年代から独自に進化した街への旅が始まる”

JINTANA & EMERALDSがBLUE NOTE TOKYOで初ワンマンライブを披露!VIDEOTAPEMUSIC、加藤ユウによる色彩にも彩られたエメラルドの夢 music220119-jintana-and-emeralds-1

そのテロップが終わり、会場は船が出航するかのような高揚感に飲み込まれていくと、エメラルド色のドレスに身を包んだ、TOI EMERALDS a.k.a. 一十三十一、CAO EMERALDS a.k.a. カミカオル、HIKARI EMERALDS a.k.a. ひかりがステージに登場。そしてTOI EMERALDSが「恋人への想いを風にのせて届けたい」と願う“Oh! Southern Wind”が始まる。まるでヴィンテージな映画の世界に迷い込んだような没入感に浸っていると、1stからの代表曲“HONEY”のスウィートな声に魅了される。3曲目では、新メンバーHIKARI EMERALDSによる“太陽のせい”。エモーショナルな歌声が、今回ミキシングを担当したDUB MASTER Xによるダビーで浮遊感溢れる音響演出により、夢の中のような雰囲気となって会場に響き渡っていく。

JINTANA & EMERALDSがBLUE NOTE TOKYOで初ワンマンライブを披露!VIDEOTAPEMUSIC、加藤ユウによる色彩にも彩られたエメラルドの夢 music220119-jintana-and-emeralds-16-1

そして、CAO EMERALDSによる“Emerald Lovers”では、懐かしさがこみ上げるオールディーズ調のメロディに酔いしれる。続く“DESTINY”ではKashifのトークボックスに会場が湧いた。南條レオの生ドラムでよりグルーヴィに進化した“Summer Begins”のあと、ボーカル三人は椅子に座り、アコースティックパートへ。ボーカルとギター・ベースだけの研ぎ澄まされた構成で披露された“Moon”“Let it be me”は、歌のハーモニーの美しさがより際立って会場を魅了した。

JINTANA & EMERALDSがBLUE NOTE TOKYOで初ワンマンライブを披露!VIDEOTAPEMUSIC、加藤ユウによる色彩にも彩られたエメラルドの夢 music220119-jintana-and-emeralds-12-1

ここでスペシャルゲストのsauce81が登場。ソウルフルに歌い上げる彼の美声と、TOI EMERALDSの声のデュエット。ギターKashif、ドラム南條レオの熱い演奏がグルーブし、会場の興奮は最高潮へ。続く“Mirage”では、JINTANAのスチールギターが煌めく。JINTANAは今回のライブに向け、戦中・戦後に活躍したスチールギタリスト、バッキー白片に所縁のあるハワイアンミュージックバー「バッキー」で研鑽を積んだとのことで、魅惑的な音色が冴え渡っていた。そして、La’sのカバー“There She Goes”、サックスの浦野紘彰を迎えた“Emerald Glass”、ラストのダンサンブルな“18 karat days”で会場が熱を帯びたまま本編が終了。

JINTANA & EMERALDSがBLUE NOTE TOKYOで初ワンマンライブを披露!VIDEOTAPEMUSIC、加藤ユウによる色彩にも彩られたエメラルドの夢 music220119-jintana-and-emeralds-3

アンコールは、HIKARI EMERALDSによる“RUNAWAY”とCAO EMERALDSによる“Drip Trip”のメドレー。ひかり a.k.a. HIKARI EMERALDSは、今回のステージが初参加となる新メンバー。MimeやTokimeki Recordsなどで活躍する注目のシンガーだ。彼女の歌う“RUNAWAY”は、その歌詞で歌われている、迫り来る爆破から銀色に輝くハーレーに乗った男女がビーチサイド・ハイウェイを逃げていくストーリーが眼に浮かぶような迫力に満ちていて、会場はその世界観に心打たれた。

JINTANA & EMERALDSがBLUE NOTE TOKYOで初ワンマンライブを披露!VIDEOTAPEMUSIC、加藤ユウによる色彩にも彩られたエメラルドの夢 music220119-jintana-and-emeralds-15

そして、メドレーで続く“Drip Trip”では、CAO EMERALDSの歌声と、Kashifの怒涛のギターソロが観客を魅了。

最後の曲は、愛奴のカバー“二人の夏”。三人の歌声に加え、再登場したsauce81が美しいハーモニーを重ねる中、サックスの浦野紘彰の波のような穏やかなメロディーが鳴り響き、客席はエメラルドのビーチサイドのような多幸感に包まれながらフィナーレへ。

ドリーミーでスイートでエメラルドなボーカルにメロディとリズム。それらを時にダビーに、時に幻想的に響かせるDUB MASTER Xのミキシング。そして終始会場を包み込んだVIDEOTAPEMUSICの光と風と夢のような映像と、YU KATO(加藤ユウ)+NEST DESIGN STUDIOによる幻想的な舞台装置。

ブルーノートの仄暗くラグジュアリーな階段を降り、案内された席に着いてからライブが終わるまで終始、架空の街"エメラルドシティ"にあるライブハウスを訪れたような、本当に夢の中でライブを観ているような感覚だった。何よりも、Hikari Emeraldsの参加と南條レオの生ドラムのサポートによりライブバンドとして進化を遂げた、新生JINTANA & EMERALDSの音楽とパフォーマンスをライブで直接観れたことの嬉しさとライブ後の幸福感は、何物にも変え難い貴重で素敵な体験だった。

最後に舞台装置を作ったYU KATO(加藤ユウ)のコメントを紹介したい。

“声をかけていただきバンドのコンセプトなどを読んでいるときに、”エメラルドシティー”と、カットされたエメラルドの絵が印象に残りました。また、三角形を1単位としてどんな形状でも作り出せると、建築の学生時代にバックミンスター・フラーに関して学んでいたときに聞いたことを思い出して、今回はエメラルド×フラーで、三角形をモチーフに造形しようとすぐに決めました。
 
最初は三角形を繋いで自由に造形していたのですが、ステージでのコンパクトさ、終わった後の収納のしやすさ、組み立てやすさなどあれこれ構造を考えた結果、1本のワイヤーをパイプにうまく通して引っ張るだけで、三角形で構成された正八面体が造形でき、固定具を緩めて解体すれば、12本のパイプに戻って収納もコンパクト!というところに辿り着けたことが、地味ですがとても嬉しいです笑
なんとスティールギターもちょうど3本で、三角に配置することができました。
 
そのあと、本番3日前にたまたま買った素材が光をあてると綺麗で、これは光らせたいなと、こちらも同じく三角形で正八面体を作り、緑色をつけてライトをあてました。そうなるともう、ラピュタの飛行石にしか見えなくて笑、これは絶対に浮かべて回したい!と思い、昔メディアアートを学んでいた頃に使っていたモーターなどを引っ張り出して回してみました。すると、緑にゆらめく光が、スティールギターの音と相まって妖艶な雰囲気を生み出しました。その怪しげな雰囲気をより際立たせたく、今度は周りに植物が欲しくなりました。
スティールギターのルーツはハワイと聞いていたので、南国風の植物を急いで集めて、本番当日に飛行石の周りにざっと配置して、残った花もその場でマイクスタンドをお借りして舞台の反対側に飾らせていただきました。
 
今回、このようにJINTANA & EMERALDSさんのコンセプトやスティールギターからどんどんイメージが膨らみ、楽しみながら制作することができました。
 
声をかけてくださり自由に楽しく制作させてくださったJINTANAさん、そして一緒に楽しく制作してくださったNEST DESIGN STUDIOさんをはじめ、ブルーノートのみなさん、バンドのみなさん、来てくださった方々に感謝です。ありがとうございました。”

Text by マイケル響(文章協力:アンクル・ペコス)
Photo by 五十嵐一晴

2022.01.14(FRI)
BLUE NOTE TOKYO
JINTANA & EMERALDS

セットリスト

Oh! Southern Wind
Honey
太陽のせい
Emerald Lovers
Destiny
Summer Begins
Moon(acostic)
Let it be me(acostic)
Love Again
Mirage
There She Goes
Emerald Glass
18 Karat Days
Runaway
Drip Trip
二人の夏

出演者+スタッフ

Members
TOI EMERALDS a.k.a. 一十三十一(ヴォーカル)
CAO EMERALDS a.k.a. カミカオル(ヴォーカル)
HIKARI EMERALDS a.k.a. ひかり(ヴォーカル)
KASHIF EMERALDS a.k.a. KASHIF(ギター)
JINTANA EMERALDS a.k.a. JINTANA(スティールギター)

Guests
sauce81(ヴォーカル)
VIDEOTAPEMUSIC(VJ)
鶴岡龍(DJ)※1stのみ
永井博(DJ)※2ndのみ
DUB MASTER X(ダブミックス)
南條レオ(ドラムス)
浦野紘彰(サックス)

Staff
YU KATO+NEST DESIGN STUDIO (舞台美術)

JINTANA & EMERALDS – Love Again feat. Los Retros(Official Music Video)

JINTANA & EMERALDS – Honey

JINTANA & EMERALDS – Oh! Southern Wind(Official Music Video)

JINTANA & EMERALDS