ひとつのシーンを築き上げたバンドの解散は、イコールで新時代の幕開けを意味する。
昨今の邦楽はとても魅力的に進化しているが、その背景には他国の音楽文化の醸成が絡んでいることがほとんどだ。そこで今回は、洋楽無縁のJ-ROCKマニアの人でも馴染み深い、エモーショナル・ハードコア(通称:エモコア)にフォーカスをあて、様々な理由で解散してしまったバンドのプレイリストを作成した。
今こそ復活してほしい!解散&活動休止中バンド6選
Welcome To The Black Parade/My Chemical Romance
ロックバンド・マイ・ケミカル・ロマンス(My Chemical Romance)が誕生したのは、2001年のこと。フロントマン/ボーカルのジェラルド(・ウェイ)が通勤途中に9.11(アメリカ同時多発テロ事件)の現場を目撃し、当時アニメーターだった彼の人生に大きく与えたことがきっかけになった。結論から話すと、解散の理由はバンドが燃え尽きたこと、彼らの音楽がショー・ビジネスと化したことにあるそう(公式サイト参考)。
ニュアンスは違えども、大成したアーティストの「才能の枯渇」はよくある話で(中には死を選ぶロックスターもいる)、潔く解散を選んだのは、オーディエンスを悲しませないための最善であったように思う。人生観が変わる出来事に遭遇し、音楽表現の道を選んだだけに、その感受性は常人には量れない何かがあるのだろう。ジェラルドはきっと、自身の内側と向き合い続け、アートとして楽曲を発表してきたはずだ。
彼らが世界から注目を浴びるきっかけとなったのは、3rdアルバム『The Black Parade』をリリースしてからのこと。なかでも同作に収録された「Welcome To The Black Parade」は名曲中の名曲だ。日本でもCMソングとして採用されているため、どこかで聞いたことのあるメロディかもしれない。
現在、バンドメンバーはそれぞれの道で音楽活動をしている。それだけに、突如解散して5年が経った今でも「ある日突然復活するのではないか……。」と考えてしまう。
Don’t Look Back In Anger/Oasis
ビートルズ(The Beatles)、ローリング・ストーンズ(The Rolling Stones)に同じく、音楽に全く興味がない人でも一度は聴いたことがあるであろう、UKロックの代表的バンド・オアシス(Oasis)。
私事だが、先日10代の後輩から「オアシスってどんなバンドですか?」と尋ねられたことに衝撃を受けた。現代っ子にとってのオアシスは、「名前は聞いた事ある程度の認識」であり、聴くきっかけがないのだとか。……というわけで、本稿では「活動再開してほしい」というよりも、一夜限りでもいいから復活ライブをしてほしい、という願いを込めて紹介したい。
《僕の魂は消えてしまうけど、思い出を怒りで塗りつぶさないでと君は言うんだ》
上記の歌詞は、オアシスの名曲「Don’t Look Back In Anger(訳:怒りとともに振り返ってはいけない)」の歌詞の一部にあるもの。同曲は1996年に発表され、瞬く間に大ヒットを飾った楽曲だ。スケールが大きく様々な解釈ができることから、2017年にマンチェスターで発生した自爆テロ事件においても現地の人々に勇気を与えることになったそう。
Goosebumps! The amazing moment Manchester crowd joins in with woman singing Oasis – Don't Look Back in Anger after minutes silence pic.twitter.com/Cw4mOq8yde
— Josh Halliday (@JoshHalliday) 2017年5月25日
(cap)追悼の場で、一人の女性が「Don’t Look Back In Anger」を歌いはじめ……
この件に関して、歌詞を書いたノエル(・ギャラガー)は「歌詞に特別な意味はない」と話していたそう。だが、これこそがオアシスが音楽史に残るバンドと化した理由だと思う。誰でも歌えるようなメロディに意味深な歌詞が乗っかった、麻薬のような音楽ばかりだからだ。
Your World Is Over/Joshua
4人組ロックバンド・ジョシュア(Joshua)。初期ウィーザー(Weezer)を彷彿とさせる、ハードコアを根底に持ち、叙情と情熱を激しく訴えるような楽曲を得意とするバンドだ。言い方を変えれば、元来の意の「エモ・バンド」である。なかでも1999年に発表されたデビューアルバム『Whole New Theory』は、J・ロビンズがプロデュースを務め、その当時他バンドとは一線を画したメロディセンスで注目を集めている。
今でこそ、環境面で荒削りな部分が目立つものの、90年代エモ・シーンの魅力がふんだんに詰まっている一枚となっている。個人的にジョシュア最高峰のアルバムだと思うので、ぜひ聴いてみてほしい。
人気絶頂の2002年、惜しまれつつも解散を発表した。