「オーマイゴッド信じられない! こんなに遠出した事なんて無かったよ!」と、一発聴けば覚えられる激キャッチーなフレーズで一躍スターダムへと駆け上がったUK出身バンド=カイザー・チーフス(以下、カイチー)。その“Oh My God”も収録されたデビュー・アルバム『エンプロイメント』をリリースしてから早9年。英国の最重要バンドの1つとなった彼らが3年ぶりの5thアルバム『エデュケーション、エデュケーション、エデュケーション&ウォー』と共に帰ってきました!
UKロック特有の哀愁漂うサウンドをベースに、絶妙なタイミングでピコるシンセサイザー音、思わず一緒に合いの手を入れたくなるかけ声、耳にすぐ馴染むメロディー……そんなカイチー印は新作でもモチロン健在。それだけでなく今までの作品よりも音色に奥行きがあり、アルバムを通して浮かんでくる情景のスケールが大きくなっています。また、フロントマン=リッキー・ウィルソン(以下、リッキー)のヴォーカルの音域が広がっているのが印象的。この一皮剥けたサウンド……カイチー、そしてリッキーの身に何が起こったのでしょうか?
・バンド活動の危機
4枚のアルバムがプラチナレコードを獲得、一連のトップテン入りシングルに、3つのブリット・アワード受賞。極めつけには2012年<ロンドンオリンピック>の閉会式でのパフォーマンス、と輝かしい経歴の持ち主の彼ら。順風満帆に見えた活動の矢先、実は活動危機に陥っていたのです! 2012年後半、バンドの立ち上げのコアメンバー(&イケメン枠を担っていた)ニック・ホジソンが脱退し、そこからカイチーのバンド解散説が浮上……。
・逆境をバネに大復活
でもこの衝撃的な事件があった事で、「今までのやり方で作品をリリースしても必ずある程度は売れるだろう、ライブを企画したら何もしなくても人が入るだろう」というような、人気バンドだからこそ浸れるようなぬるま湯状態から抜け出すことができたそう。こうして気持ちを新たに切り替えたカイチーは新メンバーであるヴィジェイ・ミストリーを迎え、入魂込めて新作を創りあげたのでした。その背景を知ると、新曲“Coming Home”など、カイチーの過去・現在・未来について触れられているよう感じてきます。
・フロントマン、リッキーの変化
また、ニックの脱退はリッキーにも変化が訪れました。ライブ中にベストのボタンが弾け飛びそうだったちょいポチャ体系、ふっくらな輪郭がトレードマークであったリッキーが痩せたのです……! 自分の望むような人気を得られないことでストレスを感じ、暴飲暴食を繰り返していたリッキー。ニックが脱退した時、そんなだらけきった食生活を過ごしていた自身が情けなく思ってダイエットに励んだとか。こうしてホッソリとした新生リッキーとなり、ニックがおらずともカイチーのイケメン枠は安泰に!
・オーディション番組「The Voice」への出演
「バンドのこと、新作のことをもっと多くの人たちに知って欲しい」という想いから、UKの大人気オーディション番組「The Voice」シーズン3に出演中のリッキー。ライブ中のオモシロMCなど、元々カイチーファンの間では親しみやすいキャラクターで人気者の彼がお茶の間を沸かせないワケはありません。ということで、出演してから人気は赤丸急上昇中なのです!
Exclusive Coach Performance – The Voice UK 2014 – BBC One
・リッキーの新たな才能が開花?
「The Voice」ではトム・ジョーンズ、カイリー・ミノーグ、ウィル・アイ・アムという錚々たるメンバーと共演しているリッキー。今回の出演が(おそらく)きっかけとなり、カイリー・ミノーグの新作がリリースされたタイミングで、Facebook動画コンテンツでカイリーへのスペシャルインタビューが実現。カイリーが登場時に見せた顔のほころびから、番組を通して2人がすっかり仲良くなった様子がわかります。2006年にはイギリスの人気コメディ番組「Never Mind The Buzzcocks」のゲストホストを務めた経験もあるリッキー。元々司会業に向いていた彼がさらにメディア露出することも増えるかも?
・今後のカイチー
リッキーが「The Voice」に出演しているのは全てバンドのため。番組のファイナルは7月頃だけど、リリース後すぐにライブの予定がギッシリと詰まっています。4月9日からドイツ〜オーストリア〜アメリカ〜本国イギリス、と過密スケジュールでありながら、7月20日以降はまだブッキングが未定。新作でさらにブレイクした彼らが日本に戻ってきてくれる日も近いかもしれません! それまでは新生カイチーの最新アルバム『エデュケーション、エデュケーション、エデュケーション&ウォー』を聴き込み「The Voice」でのリッキーの活躍っぷりを見守っていきましょう!
(text by Qetic・ヤーマネ)
Kaiser Chiefs -“Coming Home”
Release Information
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