「20年以上もの間に、都市の風景に対する僕の興味はどんどん大きくなっていった」カール・ハイドはこのように語った。アンダーワールドの華々しいイメージとは打って変わった、モノクロで内省的な世界。“Cut Clouds”のミュージック・ビデオでは、郊外や田舎街に行けば当たり前に存在する風景が、どこまでも淡々と続いてゆく。工場、鉄塔、生い茂る森、高速道路、曇った空。都市での生活や慌ただしい日常の中にいれば、いつの間にかその存在さえ忘れてしまっている、かけがえの無い風景。

カール・ハイドは、1985年にリック・スミスと共にアンダーワールドを結成。スコットランドを舞台に若者の日常を痛快に映し出した96年公開の映画『トレインスポッティング』、そのエンディングに使用された“Born Slippy”によって知名度は一気に高まり、ここ数年も2010年発表のコラボレーション・アルバム『バーキング』や、2011年にはベスト盤『ア・コレクション』、『1992-2012ジ・アンソロジー』を続けてリリース。さらに、昨年行われたロンドン・オリンピックにおいては、開会式の音楽監督を務める等、アンダーワールドとしての着実な歩みを重ねてきた。そんな側面に対して、リック・スミスやジョン・ワーウィッカー等と設立した世界屈指のクリエイティブ集団「トマト」としての世界的な活動はあまりにも有名。元々はカーディフ芸術大学で映像やサウンド・インスタレーションを学んで来たカールは、音楽、映像、写真、絵画、詩など、様々なフィールドを自由に横断することの出来るアーティスト/表現者だということを忘れてはならないだろう。個人としても、2007年に幕張メッセで行われたイベント<オブリヴィオン・ボール>ではアートジャムプロジェクトとして巨大なウォール・ペインティングを行ったり、2010年にはラフォーレ・ミュージアム原宿にて、ソロ・エキシビション<What’s going on in your Head when you’re Dancing?>を大成功させる等、彼の音楽を越えた表現は様々なところにおいて垣間みることが出来る。

そして、ここ数年のアンダーワールドとしてのビッグ・プロジェクトの先に彼が向かった場所は、1人の表現者としての原点だったのかもしれない。キャリアで初となるソロ・アルバム『エッジランド』のタイトルが意味するものは「都市と郊外の交差点」。ブライアン・イーノによる「Pure Scenius」プロジェクトを通して出会ったレオ・アブラハムスとのコラボレートも実現したこの作品は、よりミニマルで内省的であり、どこまでも深く壮大であり、オープニングとなる“The Night Slips us Smiling Underneath it’s Dress”から、ラストを飾る“Sleepless”までを通して、全編が暖かな空気に満ち溢れている。印象的だったのは、“The Boy With The Jigsaw Puzzle Fingers”のミュージック・ビデオのエンディングに現れる美しい夕暮れ、そして遠くから聴こえる波の音。これ程までに風景が見える音楽を、カール・ハイドが生み出したことは驚きであった。

先日、東京と大阪で開催された<SonarSound Tokyo 2013>、<A Taste of Sónar in Osaka>では、本邦初公開となるバンドセットとしてのライブを披露。ageHaの大きなステージには、カール自身によって描かれた和をイメージさせるグラフィック作品が掲げられ、ギターを携えて現れたカールは「Hello,Tokyo!!」という言葉と共にライブをスタート。『エッジランド』からの多くの作品に加えて、アンダーワールドの名曲をもバンドとして再構成するという何とも贅沢なセットは、アンコールの“Out of Darkness”まで一瞬たりとも目が離せない、感動的とも言えるパフォーマンスであった。わずかな間だったとしても、ダンスミュージックから解放されて一番大切な場所に立ち戻ったカール・ハイドは、1人の表現者として、そしてもちろんアンダーワールドとしても、今後さらなるクリエイティビティを発揮していくのだろう。

(text by Yasumasa Okada[DESTINATION MAGAZINE])

Karl Hyde “The Boy With The Jigsaw Puzzle Fingers”

カール・ハイドがタワレコ渋谷店のインストアイベントに登場!

タワーレコード渋谷店にて行われるインストアイベントの詳細が発表されました!! ソナー出演後の4月11日(木)に、音楽ジャーナリストの鹿野淳氏を迎えた公開インタビューを行い、アンダーワールドやカール・ハイドのファンから集めた質問にカール本人が答えるという夢のようなQ&Aセッションも。さらにサイン会を開催されるのだーー!!!

現在、Twitterでカール・ハイドへの質問を大募集中! この機会に聞いてみたい質問をハッシュタグ「#KarlHyde_Q」を付けて今すぐツィートすべし!


Event Information

カール・ハイド『Edgeland』発売記念スペシャルイベント
2013.04.11(木)@渋谷店 B1F
OPEN 20:30/START 21:00/CLOSE 22:00予定

トーク・ショー&サイン会他 *サイン会は抽選の上行います。
出演:カール・ハイド(Underworld / tomato)
司会:鹿野淳(MUSICA)

参加方法:
4月6日(土)、7日(日)に開催される<Sonar Sound Tokyo 2013>イベント会場内のタワーレコード物販ブース、またはご予約者優先でタワーレコード渋谷店・新宿店・池袋店・横浜モアーズ店・秋葉原店にて、4月10日(水)発売<4月8日(月)店鋪限定先行入荷>、カール・ハイド『Edgeland』(DVD付き盤BRC-366X/通常盤BRC-366)のいずれかをご予約(ご購入)の方に、先着で整理番号なしイベント入場券を配布。

注意点:
・商品1点につき入場券1枚、お一人様一度にご予約(ご購入)2枚までとなります。
・対象商品を2点以上ご予約(ご購入)頂いた場合も、整理番号付きイベント入場券は、お一人様2枚までとなります。
・入場券をお持ちの方はイベント当日20:30に1F階段前へ集合し、集合時間以降、お早くお集まり頂いた方からの入場となります。

対象店舗:
渋谷店 ・新宿店 ・池袋店 ・秋葉原店 ・横浜モアーズ店

Release Information

Now on sale!
Artist:KARL HYDE(カール・ハイド)
Title:Edgeland(エッジランド)
Beat Records
BRC-366
¥2,800(tax incl.)

Track List
01. The Night Slips us Smiling Underneath it’s Dress
02. Your Perfume Was The Best Thing
03. Angel Café
04. Cut Clouds
05. The Boy with the Jigsaw Puzzle Fingers
06. Slummin’ It For The Weekend
07. Shoulda Been A Painter
08. Shadow Boy
09. Sleepless
10. Cascading Light *
11. Out of Darkness *
12. Dancing on the Graves of Le Corbusier’s Dreams *
13. Final Ray of the Sun *
14. Slummin’ It For The Weekend *
15. Cut Clouds (Figures remix) *
*=Bonus Track for Japan
デラックス盤はCD(通常盤+4曲追加収録)とDVD(約50 分の映像作品、日本語字幕付)

Now on sale!
Artist:KARL HYDE(カール・ハイド)
Title:Edgeland(エッジランド)
Beat Records
BRC-366
¥2,300(tax incl.)

Track List
01. The Night Slips us Smiling Underneath it’s Dress
02. Your Perfume Was The Best Thing
03. Angel Café
04. Cut Clouds
05. The Boy with the Jigsaw Puzzle Fingers
06. Slummin’ It For The Weekend
07. Shoulda Been A Painter
08. Shadow Boy
09. Sleepless
10. Cascading Light *
11. Out of Darkness *
*=Bonus Track for Japan