今から2年前、リヨ(ヴォーカル&ギター)、ベントラーカオル(キーボード)、ニシヒラユミコ(ベース)、アバシリ(ドラム)の4人からなるクウチュウ戦は、耳馴染みの良いコンパクトなポップソングが全盛のインディーズシーンの中で、堂々と長尺のプログレを披露していました。リアリティより美しさに重点を置いた立ち振る舞いも、カジュアルがデフォルト化していた時代においては明らかに異端。しかし、プログレという大仰なコンセプトを支える完璧な演奏技術と、人々の温かい記憶に接続するメロディセンスを備えた彼らは、ポップフィールドでも早々に注目を集めることに。確固たるレーベルも決まり、一気にポップマナーに振り切れた『コンパクト』をリリースすると、『Sukoshi Fushigi』、そして8月にリリースされた新作『超能力セレナーデ』でもその路線をキープ、わずか2年でガラッとバンドの印象を変えてみせたのです。その音を聴く限り、リファレンスがあちこちに散らばっているバンドであることは間違いないので、具体的にそれが何であるか、各々に「ルーツとなるプレイリスト」を挙げてもらいながら伺いました。
Interview:クウチュウ戦
リヨ“プログレの毒っぽい要素を引き継きながら、
もっと色んな人に聴いてもらえる音楽に“
——まず、クウチュウ戦は「プログレをやろう」ということで結成されたんですか?(※ドラマーのアバシリは2014年の春にバンドに参加)
リヨ:プログレに影響を受けたバンドは多いけれど、プログレをやっているバンドはいなんじゃないかと思って。『プログレ』をリリースした頃(13年)は長けりゃいいと思っていました。とにかく客を引かせてやろうと。ただ、今のレーベルで初めて出した『コンパクト』(15年)以降、思いつきで足し算をすることはしなくなって、Aメロ、Bメロ、サビの構成で4分以内というのを強く意識するようになりました。ラジオでかけづらいとか色々と文句も言われるし(笑)。
ベントラーカオル:僕の中では『プログレ』と『コンパクト』はセットになっていて、バンドの音楽をすべて説明しているという意識はありました。ただ、『プログレ』は廃盤になっているので、実質的にはそれも機能していないけど(笑)。
——それはあくまで自然な変化だったのか、オーディエンスのほうを見ようと決めた結果なのか、どちらでしょう?
リヨ:うーん、両方ですね。もうプログレに飽きていたんですよ。自分たちの音楽がただのモノマネになるのは嫌だったから、プログレの毒っぽい要素を引き継きながら、もっと色んな人に聴いてもらえる音楽にしようと。そもそも、僕はプログレをaikoとかと同じようにポップなものとして聴いていたんです。
——『超能力セレナーデ』はオーソドックスなポップソングの形がもっとも強く意識された作品になっていると思います。私は、かつて国内外の音楽の影響を積極的に受けて作られた「90年代のJ-POP」を思い浮かべていました
リヨ:具体的に考えたことはなかったんですけど、単純に好きなものが出ているんでしょうね。昔からポンキッキーズとかミスチルとかサザンとか好きだったから。
——これまでの作品から、録音などのテクニカルな部分では何を変えようと思いましたか?
ベントラーカオル:今までミックスをやってくれていた人に録音から関わってもらったことで、終始あうんの呼吸で進めることができましたね。スタジオがアップグレードされて、テクニカルな部分でやれることも大幅に増えたし。
リヨ:確かに、今までみたいにミックスでガラッと変わることはなかった。ただ、あらかじめ楽曲のアレンジを固めることはしなかったです。何も決めずに録っているからこそビューティフルミステイクは起きるんです。たとえば“インドのタクシー”なんかは、スタジオでデモの打ち込み音源をまんま生かすことに決めたし。
——“インドのタクシー”はリヨさんがインドに滞在していた時の実体験をそのまま綴っていますが、構成、リリックともにシャレが利いていて、実にクウチュウ戦らしい楽曲ですよね。一方で、「フルート」のようなオーソドックスなラブソングを書いたことには驚きました。突っぱねているようで痛々しいリリック含め、これは名曲だなと。
リヨ:これは実体験と突拍子もない妄想が混ざっている曲ですね。好きな娘が持っているフルートを荒川に投げちゃうっていう。クイーンの“You’re My Best Friend”的なイメージがあったかな。
ベントラーカオル:でも、実際に録る時はたまみたいにしようという話にもなったよね(笑)。
クウチュウ戦のルーツがわかるプレイリスト公開!
RELEASE INFORMATION
超能力セレナーデ
2016.08.03
クウチュウ戦
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詳細はこちら
EVENT INFORMATION
クウチュウ戦presents「クウヂュウの戦~ikusa~Vol.2」
2016年9月10日(土)
OPEN 18:00/START 18:30
六本木Varit.
ADV ¥2,500
クウチュウ戦、曽我部恵一、haikarahakuti
TOKYO CALLING
2016年9月18日(日)
OPEN 18:00/START 18:30
新宿LOFT、LOFT bar、Motion、Marble、MARZ、HOLIDAY、RUIDO K4、ACB、SAMURAI、club SCIENCE
1日券(9月17日、9月18日):¥4,000+1D(¥600)/1日券(9月19日)¥4,500+1D(¥600)/3日通し券:¥11,000+3D(¥1,800)
FM802 MINAMI WHEEL 2016
2016年10月8日(土)・9日(日)・10日(祝・月)
OPEN 18:00/START 18:30
大阪・ミナミエリア ライブハウス20ヶ所以上
各1日券:¥3,500/3日通し券:¥8,000
超能力セレナーデツアー
2016年10月19日(水)
OPEN 18:30/START 19:00
the voodoo lounge(福岡)
ADV ¥2,800/DOOR ¥3,300(+1ドリンク)
2016年10月21日(金)
OPEN 18:30/START 19:00
CONPASS(大阪)
ADV ¥2,800/DOOR ¥3,300(+1ドリンク)
2016年10月22日(土)
OPEN 17:30/START 18:00
CLUB ROCK’N’ROLL(名古屋)
ADV ¥2,800/DOOR ¥3,300(+1ドリンク)
2016年10月27日(木)
OPEN 18:30/START 19:00
LIVE HOUSE enn 3rd(仙台)
ADV ¥2,800/DOOR ¥3,300(+1ドリンク)
2016年11月3日(木)
OPEN 17:30/START 18:00
Star lounge(東京)
ADV ¥2,800/DOOR ¥3,300(+1ドリンク)
詳細はこちら
オフィシャルサイト
photo by Mayuko Yamaguchi