■ とにかく近い! 年始の来日ラッシュに涙を呑む洋楽ファンこそ行くべきフェス

今回、筆者はANAの木曜深夜便で羽田空港から出発、金曜日はユルめに観光し、土曜日はフェス本編、最終日の日曜日も半日ショッピングなどを楽しんでからこれまた深夜便で帰国……月曜日早朝には自宅に帰り、いつも通り仕事に復帰していた。直行便で片道7〜8時間程度なので、眠ってしまえばあっという間だ。

一見強行スケジュールのように見えるかもしれないが、(一般的な社会人であれば)休暇取得は木曜日の1日だけで済むし、現地滞在は実質3日間フルと言っても過言ではない。時差も1時間だけなのでジェットラグだってほとんど感じられないし、何しろ1月〜2月に来日する旬なアーティスト/バンドがまるっとチェックできてしまうのが最大の魅力だ。今年でいえばマック・デマルコ、チェット・フェイカー、ロイヤル・ブラッド、FKAツイッグス、バンクス、そしてセイント・ヴィンセントらが<Laneway Festival>の前後に来日した(する)が、フェスのチケット価格は来日公演2回分で収まってしまうし、その大半が平日19時開演という社会人泣かせな時間設定であることを考えれば、よっぽど好きなアーティスト/バンド以外は<Laneway Festival>1本で充分すぎるほどフォローできてしまう。

上記のように単独のジャパン・ツアーを実行してくれるアクトはまだ良いが、前年の<フジロック>や<サマソニ>に出たけど単独の来日公演は行わないアクト、さらに未だ日本の地を踏んだことさえ無いアーティスト/バンドのライヴが見られるのも嬉しい。筆者にとって今回の初参加の決め手となったのが大注目のSSWコートニー・バーネット(この日のベスト・アクト!)と、スウェーデンの歌姫リッキ・リー(残念ながら出演キャンセル……)、来日公演のチケットを買い逃したFKAといった話題の女性アーティストたちがまとめて見られるからだったのだが、テーム・インパラの元メンバーが参加するサイケ・バンド=Pondや、日本の何十倍もの大合唱で迎えられたリトル・ドラゴンとジャングルも素晴らしかったし、何よりピッチフォークの「年間ベスト・ソング TOP100」で1位に輝いたフューチャー・アイランズの世紀の名曲“Seasons(Waiting On You)”がナマで、このタイミングで聴けたのは間違いなく今年最初のハイライトだろう。もちろん、先日の〈第57回グラミー賞〉で「最優秀オルタナティヴ・ミュージック・アルバム」を受賞したセイント・ヴィンセントことアニー・クラーク嬢(まさかのチャイナドレス姿!)も、堂々たる貫禄&ギター・ソロでフェスの大トリを務め上げていた。

Future Islands -”Seasons(Waiting On You)”

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以上のような洋楽シーンの盛り上がりや“現象”が、日本にはなかなか伝わってこないどころか、年々萎縮してしまっているのも事実。本家オーストラリア篇に訪れていないため大きなことは言えないが、<Laneway Festival>にはアジア圏の音楽フェスの未来、ひいては日本の洋楽フェスの未来、そのヒントが隠されているような気がした。真冬の日本に日焼け顔で帰ってくるのは気まずかったけど、来年も行くぞ!

(text by UK)