——収録された曲についても聞かせてください。
トニー 曲の中には、長い間残っていかないものもあるわけだけど、でも、曲の中には、まれにどんな時代でもまったく新しく響き続けるような曲があると思うんだよね。
ガガ 永遠にね。
トニー それが僕と彼女が今回目指したもので、永遠に不滅な曲をね。今から、30年、40年経っても、まだ人気のある曲を選んだつもりなんだ。
ガガ タイムレスな曲をね。だからこのアルバムが究極の“ポップ・アルバム”であるというのも真実だと思うのよね。私たちはこのアルバムを、ピュアなジャズ・アルバムだと思ってアプローチしたわけだけど、その最高峰を創ることを目指していたの。私達は、スタンダードを歌っているけど、それらの曲をどんな天才的な女性と男性が書き上げたのかを改めて考えてみれば、どうしたって失敗する理由がないと思うのよ。だから、偉大な人達を追いかければいいと思うの。私は本当にラッキーだったと思うわ。その偉大な人のひとりが私の隣に座っているわけだからね(笑)。
トニー どの曲も、まるで古びた曲に聴こえなかったということ。永遠に続く曲ばかりだったということだね。それは世界的にも通じるものだと思うしね。それは、世界中のどんな国に行っても同じだと思うんだ。世界中の人達が、とりわけ、日本の人達が絶対にすごく良く知ってくれているような曲なんだよね。
Tony Bennett&Lady Gaga -“The Lady is a Tramp”
——レコーディング中のエピソードも教えてください。
ガガ 私にとっては、彼が私の真の友達でいてくれたということ。私にとって、このレコーディング期間中で最も思い出に残っていることと言ったらそれなのよね。彼の友情。若きアーティストとして私をサポートしてくれたことね。
——お互いの印象はいかがですか?
トニー とにかく彼女について言えることは彼女が「IT FACTOR」を持っているということ。彼女はそれをどうやってやり遂げればいいのか分かっているんだよね。
ガガ 私は、トニーをタイムレスなアーティストだと思っているわ。しかも、彼は、音楽を通して人に何かを教える力があって、それによって世界を変えた人なのよね。さらに、彼は本当に不動の人なの。ヒット曲を狙ったりせず、すべての人を尊重して曲を書いてきたことを尊敬するわ。それから、自分で可能な限り最高の音楽を創るために絶対に諦めないということについても。彼は実際それを今までのキャリアを通してずっとやってきたの。それって容易なことではないわ。人によっては、『こんな曲を創ろう』なんて気軽に言う人もいるんだけど、実際私にも、『こういう音楽をやるべきだ』なんて忠告をする人がいるんだけど、彼はそういう風に音楽を創らないのよね。彼は、自分の心に耳を傾ける人だし、彼の家族や、彼と一緒にやってきたミュージシャン達の意見に耳を傾ける人なの。彼はそういう意味では本当に強い人だと思うわ。トニーがどういう人かと聞かれたらそう答えるわ。彼はそうやって世界を変えたと思うの。今日この学校でやったこと(※)だってそうでしょ。彼は、パフォーミング・アーツの教育方法を変えたと思うのよね。それって本当の意味で人々の人生を変えたと言えることでしょ。
(※この日2人は、トニー自ら設立した「Frank Sinatra School of the Arts」というアート学校にてガガとサプライズ登場をしてパフォーマンス&トーク・ショーを行った)
——曲のセレクションについて教えてください。
トニー 選曲するのは簡単だったんだ。僕らが基準にしたのは、ヒット曲ではなくて、永遠に生き残る曲だったからね。そうすると、自然に最高のクオリティの曲が選ばれる。それは、オーディエンスをごまかさないということにつながる。2週間とか1ヶ月ばかり人気が出て、その後忘れ去られてしまうような曲を選んだわけじゃない。僕らがここで選んだのは、永遠に生き残る曲だったんだよね。
ガガ 私達はすごくたくさんの曲を一緒に歌ったのよ。すごくたくさん歌った中から、最高の曲だけを選んだの。