シーンドラムを古くから知るファンには今の快進撃は驚きだろう。古くはマイアミの良質エレクトロニカ・レーベル〈Merck〉の看板アーティストとしてエレクトロニカ黎明期に、オウテカのグリッジさとプレフューズ73のカットアップを融合したサウンドが、いわゆるIDM好きに好まれる玄人肌の存在。エレクトロン社のシーケンサー機材と同名であるマシーンドラムがメインとしてのプロジェクト名義ではあるが、別名義も数多く(シンドローン等)、最近では<タイコクラブ2013>に出演したジミー・エドガーとのユニット、ジェッツはクラブ好きであれば知るものも多いだろう。

オーバーグラウンド活動も軽々と

また近年では女性ラッパー、アジーリア・バンクスのプロデューサーとしても話題となり、彼がプロデュースしたシングル“Luxury”は世界的ヒットを記録(YouTube再生回数は250万回越え!)、またアジーリア・バンクスがエンジェル・ヘイズとツイッターでビーフを繰り広げていた際にもアジーリアはマシーンドラムがプロデュースの“No Problems”で反撃し話題となり、その知名度を一気に高めていた。

再評価にして最高評価を更新してゆくマシーンドラム

大きな称賛を集めた『ルーム(s)』以来となる最新アルバム『ヴェイパー・シティー』は〈ニンジャ・チューン〉移籍作。古きを知るファンにとっては驚きの移籍だろう。冒頭曲“Gunshotta”や、DJシャドウによるリミックスも話題となった先行シングル“Eyesdontlie”を筆頭にシーンを席巻しはじめた、ポスト・ダブステップ~ジューク以降の「ジャングル再燃」というトレンドを見事に捉えながら、彼らしいポップとドープを絶妙な加減でブレンドしたインディ・ダンス・クラシックを大量に搭載した快心作である! しかも<エレクトラグライド2013>への出演も決定! そんなノボリ調子のマシーンドラムを引っこ抜いた〈ニンジャ・チューン〉。ここではそんな〈ニンジャ・チューン〉の現在と明るい未来についても考察したい。

(text by Qetic・ダブルビー)

Machinedrum “Eyesdontlie” (Official Music Video)

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