〈ニンジャ・チューン〉の現在と未来
いま最も注目すべきレーベルは〈ニンジャ・チューン〉なのである!!
〈ニンジャ・チューン〉と言ったら、あなたならまず何を思い浮かべるだろうか? お馴染みのあのキャラクターやロゴマーク? それともコールド・カットやDJフードといったカットアップ・レジェンドたち? ヘクスタティックによるユニークな映像作品の数々? シネマティック・オーケストラやDJ KENTARO? あるいはヒップホップ好きならサブ・レーベル〈ビッグ・ダダ〉のアンチポップ・コンソーティアム、ルーツ・マヌーヴァ、ワイリーをフェイバリットに挙げるかもしれない。それとも、アモン・トビンの『アイサム』やボノボの素晴らしいチルアウト『ノース・ボーダーズ』であろうか? ともかく〈ニンジャ・チューン〉と言えば、長年にわたり、良質な作品をリリースし続け、いまもなお世界中の音楽ファンたちから愛され続けている名門中の名門レーベルだ。そんな〈ニンジャ・チューン〉が、いまその長い史上においても、最高にヤバい時期に突入しているという事実に、あなたはもうお気づきだっただろうか? もちろん〈ニンジャ・チューン〉は、これまでも数々のエポックな作品を世に送り出してきたわけだが、ここ最近の彼らの動き、リリースはマジでヤバい。今回は、いま間違いなく最高に刺激的で、面白いタームに突入したと思われる〈ニンジャ・チューン〉の現在にフォーカスを当ててみたいと思う。
ドリアン・コンセプト、キング・ミダス・サウンド、そしてマシーンドラムまで……、人気レーベルの主力アーティストが続々と移籍中! なぜいま〈ニンジャ・チューン〉なのか!?
現在の〈ニンジャ・チューン〉は、まるで先鋭的なアーティストたちを惹きつける強力な磁石のようである。ここ最近の〈ニンジャ・チューン〉の勢いは、例えば他レーベルからの移籍組の多さに象徴されている。ドリアン・コンセプト、キング・ミダス・サウンド、マシーンドラム、フォルティDL、ジェシー・ボイキンスIII、レザレット、トドラT、スラガベッド、ローン、スターキー、ゾンビ―、フローティング・ポインツ・アンサンブル、エスクモといった別の人気レーベルの主力級のアーティストたちが次々と〈ニンジャ・チューン〉に移籍しから作品を発表しているのだ。今回のマシーンドラムは〈プラネット・ミュー〉からの移籍となる。ざっと挙げたが、ものすごいラインナップだと思わないか? また集まっているのはアーティストだけではない。フライング・ロータス率いる〈ブレインフィーダー〉を筆頭に、アクトレスの〈ワーク・ディスクス〉、ザ・バグの〈アシッド・ラガ〉、ハードテクノ系の〈テクニカラー〉といった人気レーベルの世界流通をサポートしている。いったいなぜ? どうしていま〈ニンジャ・チューン〉にこんなにもアーティストやレーベルが集まるのか? 〈ニンジャ・チューン〉の日本の窓口となっているビートインク・スタッフに話を聞いたところ、「彼らは、ジョインするアーティストやレーベルに対して、自分たちのコントロール下に置くという考え方ではなく、そのレーベルやアーティストの本来のカラーや持ち味を尊重し、パートナーとしてサポートするという立場を貫いている。だから信頼されているんでしょうね」とのこと。その〈ニンジャ・チューン〉の実直で誠実な姿勢こそ、いま多くのレーベルやアーティストたちにとって、必要とされているものなのだろう。