ポスト・クラシカルのトップランナー、マックス・リヒター(Max Richter)が15年ぶりに来日し、3月7日(木)にTRUNK(HOTEL)でメディア関係者を集めたショーケースを行った。
9日(土)には来日公演も
マックス・リヒターはクラシックにさまざまなジャンルの音楽を取り込み、聴きやすい楽曲を作曲する「ポスト・クラシカル」の名付け親でカリスマ作曲家として知られている。映画やテレビのサウンドトラックも数多く手がけ、2016年の映画『メッセージ』に使用された「オン・ザ・ネイチャー・オブ・デイライト」は公開時、日本でもiTunesクラシックチャートで1位を獲得している。
また、「眠っている間に聴く音楽」として作曲された「Sleep」は、録音史上最長の1曲8時間24分21秒と驚きの長編として話題に。2016年にはベルリンのクラブにて深夜0時から翌朝8時までの8時間、観客がベッドに寝ながら聴き、途中で寝てしまっても構わないというスタイルのライブで披露している。昨年には、ニューヨークや音楽フェス<SXSW(サウス・バイ・サウスウエスト)>、そして初の野外での「Sleep」公演となったロサンゼルスのミュージックセンターなどでコンサートを行い話題をさらった。
そんな彼の来日は実に15年ぶりとなる。会場となったTRUNK(HOTEL)には、100名を超えるメディア関係者が集まった。18時30分からスタートしたショーケースの1曲目は今回の来日を記念して、今年2月に初めて国内盤化されたアルバム『ブルー・ノートブック』より「ブルー・ノートブック」。マックスのピアノソロがスタートすると、客席は静寂に包まれた。
その静寂に寄り添うように、アメリカン・コンテンポラリー・ミュージック・アンサンブルが演奏に加わり、2曲目に移行。ヴァイオリン2本、ヴィオラ、チェロ2本という編成の弦楽五重奏を従えて演奏されたのは、マックスの代表曲の1曲「オン・ザ・ネイチャー・オブ・デイライト」だ。シンプルでありながら印象的な低音の響きに会場は一気にマックスワールドに引き込まれた。
そして「ウラディーミルのブルース」、ロンドン地下鉄テロ犠牲者への追悼の想いが込められた『インフラ』より「インフラ4」と続き、5曲目で演奏されたのは『SLEEP』から「ドリーム3」。眠りの中にいるような心地よさが会場を包みこんだかと思いきや、一転、威厳と強い魂を感じさせるメロディーが印象的な「インフラ5」と続き、ラストは、また印象を変え、数々の賞に輝いた英国ロイヤル・バレエ団の話題作『ウルフ・ワークス』のために制作されたバレエ音楽「庭で」。観客の心の深い部分に訴える、まるで短編映画のような30分のステージとなった。
ショーケース後のトークセッションでマックスは「音楽は自分にとって会話と同じ。会話する以上、相手に理解してほしい。だから私はできるだけシンプルに音楽を作るように心がけています。ここ数年でクラシック音楽は間口が広がりバラエティが増えた。今、クラシック音楽にとっては非常に面白い時代だと思います」とコメント。およそ1時間のショーケースを締めくくった。
今週末3月9日(土)には、<すみだ平和祈念音楽祭2019>でパフォーマンスを行うマックス。「ブルー・ノートブック」、「インフラ」を演奏する予定だ。「インフラ」はアジア初演となるため見逃せない公演となりそう。
また、マックス・リヒターが音楽を手掛け、オリジナル・サウンドトラックも発売中の映画『ふたりの女王
メアリーとエリザベス』は3月15日(金)よりTOHOシネマズ シャンテ、Bunkamuraル・シネマほか全国ロードショーが決定している。
彼の至高の音楽を味わったことのない方はぜひこの機会に体感してみてほしい。
RELEASE INFORMATION
ふたりの女王 メアリーとエリザベス オリジナル・サウンドトラック
2019年2月20日(水)
¥2,700(tax incl.)
マックス・リヒター
SHM-CD仕様
EVENT INFORMATION
すみだ平和祈念音楽祭2019
2019年3月9日(土)
OPEN 17:30/START 18:00
すみだトリフォニーホール 大ホール
LINE UP:マックス・リヒター(ピアノ、エレクトロニクス)、アメリカン・コンテンポラリー・ミュージック・アンサンブル
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