text by Michelle Sorry(ex.ミッツィー申し訳)
序章
1996年、単なる地方都市・宇都宮で始まったJ-POP DJ PARTY<(有)申し訳ないと>が2013年12月末に全国10ヶ所で開催された<(有)申し訳ないと>FINAL TOURを持って終了しました。現在クラブシーンでJ-POP DJが幅を利かせてしまっている状況や、もし<(有)申し訳ないと>が無かったら、生まれていない曲や関係したアーティストの成功や失敗にも大きく絡んでしまっているのかも……と考えたら、一度このタイミングで総括するのも悪くないと思いました。
大きなヴィジョンがあるようでなさそうな。緻密なのか大雑把なのか。モテたいのかモテたくないのか。写真を見返しながら記憶を掘り返すと、意外と世間に貢献しているか? と錯覚しそうで怖い今だから言える17年間の歴史と終焉の意図、なぜに男性ヴォーカルDJ&LIVEイベント<The 男子音楽厨房>を始めたのか? そして気がついたら借入金が3000万円を超えてしまったその訳をこの場を借りて連載をしたいと思います。(多分長いよ。)
第1章「(有)申し訳ないとの創成期」
話はミッツィー申し訳が1995年に宇都宮市のアーケード街の地下1階にわずか8.5坪のDJ BAR 「MUSIQ LOUNGE PLANET」を個人で開業するところまでさかのぼります。
高校時代からパーティーの主催やDJの真似事をしていたり、調理師専門学校の時は会員制レストラン&クラブのバイト前に六本木WAVEに行って12inchレコードをチェック、バイト後に毎晩クラブ(自主的に)やディスコ(上司の付き合い)に繰り出す毎日でしたが、卒業後なぜかアンティーク家具屋にて1年間バイト。その後、宇都宮に戻り家業のファンシーショップで20〜27歳の間無休で働くことに。数々のヒット商品を企画するが、全部コンサルタント会社の手柄にされてしまい、収入にはならず。
そして商売柄特有の万引きが多いことに悩み、寝ていても万引きの見張りを夢に見るほど、人生で多感な時期に全ての人を疑うようになってしまい、このままではろくな人間にならないと気付く。そんなときに社長(父親)の癌が発覚し、家業を継ぐか否かの判断を迫られるが、もう万引きの見張りで一生を終えるのはヤダ! 在庫を持たない商売がしたい! と思い独立を考えることに。
「そうだ! CLUBなら好きな音楽は聴き放題だし、多少DJの知識もあるし、調理師免許も持っているし、水商売の経験もある! 開店資金的(無休だから貯金は貯まっていた)にも小箱なら何とかいける! 競合店も少ないし、何より万引きされない!!!」と思いつき、4ヶ月後にオープンしました。
ちょうど日本のクラブシーンが盛り上がる前夜と言いますか、国産クラブミュージックバブルが始まる少し前で、FUTURE TRACKSが放送されたり、ジャンル問わずレコードがバンバン売れまくっている時期で、最初からレギュラーイベント+毎月数回ゲストをブッキングするスタイルが構築でき、まだ売れていないDJやアーティストが瞬く間にブレイクする瞬間が多々あったりして、呼ぶ人呼ぶ人なんでも成功するという凄い時代に立ち上げられたのはラッキーでした。
プラネット入り口
プラネット店内
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プラネット店内
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プラネット地図
8.5坪の店に大沢伸一さん、沖野修也さん、須永辰緒さん、UFOの方々のジャズ勢。ハウス・テクノ勢はそんなでも。翌年にさんピンCAMPがあった以降は、DJ KRUSH+RINO+TWIGYや、MURO+DEV LARGE+OSUMI(急遽欠席)+GORETEXのセットなどありました。
本当なら契約期間3年(リハビリ期間としてはそれくらいでいいと仮定して)で店をたたむ予定でスタートしたのですが、人のつながりも出来、これから面白いことが起きるのにやめるのはどうか?と散歩をしていたら、狙っていた近所のビル3階70坪の空きテナントの隣にあった学習塾が撤退! これは障害だった騒音問題がクリアしたと思い、不動産屋に確認して即契約。閉店どころか移転して業務拡大してしまいました。それが幸運だったのか、不幸の始まりだったのかはまだ旅の途中です。
新プラネット入り口
店のスタートの話はこれくらいとして、1年後の1996年某日そのPLANETでHOUSE、TECHNO、HIPHOP、FREE SOULなどの各々レギュラーイベントを持つレジデンスDJ達が何かのきっかけで日本語ナイトをやろうと話が出ました。自分もUK HARD HOUSEのDJだったのですが、DUB MASTER XさんのJ-POP REMIXレコードが流行っており、それを多用し過ぎたため他のDJからUKじゃない! と批判され、行き場を探していた時でした。
初期メンバー、ミッツィー申し訳とアルセニヲ申し訳
右からスージー、アルセニヲ、ジャイアン、ウディは後のVJウディ申し訳
最初は7人位でJ-POP、歌謡曲、アニソン(当時はTVソング)、そして角松敏生しか掛けないDJ角松など、ちょっとオフザケ感も入ってましたが、みんな上手いDJだったのでMIXに関してはキッチリ繋ぐことに執念を燃やしていました。その時のイベント名が何だったのかは覚えていませんが2、3回目にはオフザケ感と懐メロ、アニソンは無くし、名前も「申し訳ないと」と名付け、基本メンバーを5人(ミッツィー申し訳、アルセニヲ申し訳、ジャイアン申し訳、スージー申し訳、あと架空の1名)と設定、コンセプト「普通のJ-POPをきちんとMIXしてクラブマナーで鳴らす」ことも自然と決まり、リスタートしました。それが17年続く事はつゆ知らずに。
あと良く聞かれるのが<申し訳ないと>名前の由来ですが、その時代は洋楽のクラブミュージック花盛りですので、J-POPをCDで掛けることは日本中のクラブでご法度でした。2丁目のアイナイさん界隈とか、たまに和物イベントとかがあるくらいで、真剣にJ-POP DJ MIXをやっているイベントはあまり無かったと思います。
大体、店に理解してもらうのが無理な話で、今と違って貸してくれるところも無かったはずです。そんなクラブの封建的な考えとそれに寄り添う一部DJの甘えに対するカウンターカルチャー(嫌がらせ)を本気で考え、当時いとうせいこうさんの提唱? していた謙虚な姿勢で戦う「礼儀正しいパンク」を貫く意味で「申し訳ないと」に決めました。またはRHYMESTERのMummy-D氏が原宿のHIPHOP居酒屋・竜宮のシャッターを壊した弁償イベント<かたじけないと>にインスパイアされた話でもいいですよ。(続く!)
次回予告:第2章は成長期「申し訳ないとが(有)申し訳ないとに?」
あの某大物ラッパーや、世界的過激なパフォーマー、NEW WAVE+説教のVO.などが申し訳に参加!?
<DJ Michelle Sorry(ex.ミッツィー申し訳)プロフィール>
1998年〜2013年までJ-POP DJ EVENT<(有)申し訳ないと>を主催、そして(有)申し訳代表取締役。世界最高峰の法人型 KING OF J-POP DJ集団「申し訳ナイタズ」を結成し、宇多丸申し訳Jr.(ライムスター)、ギュウゾウ申し訳Jr.(電撃ネットワーク)、GEE申し訳Jr.(GTS)、掟ポルシェ申し訳Jr.(ロマンポルシェ)、サイプレス上野申し訳Jr.、MACKA-CHIN申し訳Jr.(NITROMICROPHONE UNDERGROUND)、刑申し訳baby’s、MAMEMONTA申し訳EGG、TEL-YEE申し訳EGGなど率いて、武道館や<SUMMER SONIC>など数々の大型イベントに出演し、J-POP DJ界の一時代を築いたはず。
作品
『ORANGE RANGE・掟破りの申し訳MEGAMIX』、『UPPER’S FLAVA~Remixes Of Watanabe Hit Tune〜』などのPRODUCEを手掛け、『渡辺プロダクション設立50周年MIX CD』、『TBS RADIO ライムスター宇多丸のウィークエンド・シャッフル』公認MIX CD、映画『モテキ』のオフィシャルMIX CD『モテキ的音楽のススメ MTK PARTY MIX盤』、アイドリング!!!と申し訳ないとの初コラボ・ミックス音源“申し訳ないとPresents IDOLING !!! LIVE DJ MIX !!!”がiTunes限定で配信スタート&シングル“さくらサンキュー”の初回限定盤AとBのCDには“申し訳ないとPresents IDOLING!!! MEGAMIX!!! -Digest-”の収録などがあります。
活動
TBS RADIO「ライムスター宇多丸のウィークエンド・シャッフル」の名物DJ MIXコーナー「DISCO954」もレギュラー出演中。そして16年間続けた「申し訳ないと」は2013年末で幕を下ろし、2014年からDJ Michelle Sorryと改名。JAPANESE OFFICE SOUL MUSICと男性ヴォーカル曲を独自にカテゴライズした新基軸を提案し、2014年2月19日ユニバーサルミュージックより業界初の男性ヴォーカルオンリーJ-POP MIX CD『The男子音楽厨房〜TOKYO PREMIUM J-POP DJ MIX 〜Mixed byミッツィー申し訳 a.k.a DJ Michelle Sorry』をリリース。と同時にただただOLに向けたDJ&LIVEイベント<The男子音楽厨房>をスタートさせる。
<(有)申し訳ないと>イレギュラーメンバー
小西康陽申し訳Jr.、m.c.A・T 申し訳BABY’S、西寺郷太申し訳Jr.(NONA REEVES)、綾小路翔申し訳Jr.(氣志團)、RYOJI申し訳Jr.(ケツメイシ)、AKAKAGE申し訳Jr.(伊藤陽一郎)、ACID TOMMY申し訳Jr.(福富幸宏)、tofubeats申し訳EGG、オカダダ申し訳WEST、杉作J太郎申し訳BABY’S、ケツメイシ申し訳BABY’Sなど。
<(有)申し訳ないと>過去招聘アーティスト
Perfume、鈴木亜美、倖田來未、DJ KAORI、嶋野百恵、CRAZY KEN、NONA REEVES、ケツメイシ、アルファ、FOH、Soffe、MCU、LITTLE、VERBAL率いるMIC BANDITZ、KOHEI JAPAN、K DUB SHINE、DJ CELORY、DJ HAZIME、TARO SOUL、Romancrew、シーモネーター&DJ TAKI−SHIT、D.L.、クボタタケシ、BOO、イルリメ、RYOZZY-JEFF(RIP SLYME)、SMOKIN’ IN THE BOYS ROOM、オノマトペ大臣、move、Coba-U、DUB MASTER X、松井寛、大貫憲章、電撃ネットワーク、ロマンポルシェ。、漁港、森三中、三瓶、猫ひろし、田代まさし、エスパー伊東、鉄拳、パパイヤ鈴木とおやじダンサーズ、BON-BON BLANCO、Tomato n’ Pine、アイドリング!!!、9nine、バニラビーンズ、hy4_4yh、東京女子流、アップアップガールズ(仮)、LinQ、小桃音まい、Theポッシボー、lyrical school、Especia、いずこねこ、バンドじゃないもん!、ベイビーレイズ、Prizmmy☆、南波志帆、Coba-Uなどなど。
『 The 男子音楽厨房~TOKYO PREMIUM J-POP DJ MIX~ Mixed byミッツィー申し訳 a.k.a DJ Michelle Sorry』(勝地涼メイキング映像入)
Event Information
The 男子音楽厨房リリースツアー
2014.04.26(土)@沖縄・那覇熱血社交場
西寺郷太トーク&アコースティックライブ
2014.04.27(日)@那覇桜坂・喫茶カラーズ
アワイロランデブー feat.『The男子音楽厨房』&『ヤバ歌謡』W-RELEASE PARTY
2014.05.04(日・祝前)@仙台Music Dining ark
GO OUT JAMBOREE 14
2014.04.12(土)@富士宮市ふもとっぱらキャンプ場
The 男子音楽厨房リリースツアー
2014年4月4日(金)@福岡Kieth Flack
Release Information
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