80年代にザ・スミスで活躍し、ソロ転向後も全ての文系ロック・ファンのアイドルであり続けてきたモリッシー。日本では12年に約10年ぶりの来日ツアーが行われ、多くのファンが各地に集結。東京公演では愛情余って「モリオ~!!」と叫んだ観客に何のことか分かっていない彼が「どうしたの?」と反応して笑いが起こり、「密かに付けていたニックネームが、ほ、本人の耳に……?!」と話題になった。そして2014年は、ザ・スミスのデビュー作30周年、ソロ作の再発、新作のリリースまで予定される怒濤のモリオ・イヤー。そこで今回は、元相棒のジョニー・マーいわく“世界と対峙して、自分の為に自分の事を歌う”愛すべき男――モリッシーの魅力を最近の発言でプレイバックしてみよう。題して、『モリオ、かく語りき』!

“残念ながらぼくはホモセクシュアルじゃない。厳密に言うと、ヒューマセクシュアルだ。”-13年10月19日、ファンサイト「True To You」に寄せて

「自分のどのレコードよりも売れた」らしい13年の自叙伝で明かした恋愛経験を弁明。続きは「ぼくは人間に惹かれるんだよ。とはいえ、滅多にあることじゃないんだけど」。

“およそ4500万羽もの七面鳥がおぞましい虐待を受けている。そしてオバマ大統領はにこやかに笑います。なにがおかしいんだろう?” -13年11月26日、ファンサイト「True To You」に寄せて

「Thankskilling(殺戮への感謝)」と題して感謝祭用の七面鳥を殺すことへの恩赦を認めるオバマ政権に文句。権力と反動物愛護という2つのNG要素が揃い、怒り狂うモリオ……!

“イギリスは一体いつからこんな間抜けだらけの国になってしまったんだろう。僕たちにとってのマヤ・アンジェロウ、ジェイムズ・ボールドウィン、アレン・ギンズバーグはどこに行ってしまったんだろう。” -13年11月16日、ファンサイト「True To You」に寄せて

政治観について批判された親友ラッセル・ブランドを擁護。でもいつだって今を憂いてしまう基本姿勢こそが、モリオ特有のロマンティシズムを生む?!

“ザ・ビートルズの曲のうち4曲は凄いと思う。ひとつのバンドが4曲の素晴らしい曲をもたらしたら、僕からすれば十分なことだ。で、僕が彼らから影響を受けているかって? 何も” -14年2月27日、米「Billboard」

若干褒めているものの、何てったって彼はビートルズよりニューヨーク・ドールズがお好き。ファンクラブを主宰したこともあって、04年の再結成にも関わっていた。

“パン屑だらけのソファーで死ぬくらいだったらステージで死にたいよ。” -2013年7月、チリ「ラ・テルセーラ」

体調不良でライヴを休止していた頃の話をしていて飛び出した名言。死ぬなっ、死ぬなモリオ……!

そんな彼の人間性により触れられるのは、何と言っても観客と密にコミュニケーションを取るライヴ。今回、WOWOWの『洋楽年鑑』では、13年の3月2日にLAのハリウッド・ハイスクールで行われたプレミア・ライヴを放送予定! わずか1000人限定となった会場の親密さを伝える臨場感溢れるカメラワーク、多種多様な層のファン、ザ・スミスの曲も含む納得の選曲……どこを切っても見どころ満載の映像だ。とはいえ最も目を引くのは、MC中にマイクを渡されて「あなたが辛い時期を救ってくれた」、「生きていてくれてありがとう」と熱烈に愛を語るファンの姿。世界を敵に回しても彼らとの絆は大事にし、ひとりひとりと深く繋がっていく――そんなモリッシーの魅力が、観客の表情からビシビシ伝わってくるのだ。ボズ・ブーラーを含むパワフル極まりないバンドも盤石で、アンコールではたまらなくなった人々が次々にステージへ! “At Last I Am Born”の歌詞カードを掲げていた9歳の男の子をステージに上げ、彼を抱えて熱唱するラストも間違いなく必見だ。新作がリリースされれば、日本でもきっと同じような光景が見られるはず。この機会にぜひチェックして、一足早く再来日に思いをはせてみては?!

(text by Jin Sugiyama)

Program Information

WOWOW「洋楽年鑑」モリッシー<ライブ・イン・ロサンゼルス 2013>
2014.03.16(日)18:00〜[初回]
2014.04.17(木)19:00〜[再放送]

放送チャンネル:WOWOWライブ

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