そして、ルベンさんの言う通り、文句無しの堂々たるデビュー作となったこの『モーン』。幕開けを飾る“Your Brain Is Made Of Candy”ではこの作品の世界観を予期させるかのように不穏な歌声が耳に残り、続く“Misery Factory”では「どこで覚えたんだ!?」と言いたくなるようなカッティングリフを刻みながら《私たちは立ち上がらなければいけない。目をくらまされた人々のために》と力強く歌う。また、“You Don’t Know Me”のような普遍的な男女のこじれを綴った歌った曲では、男なら思わずお腹がキューッとなってしまうぐらいアグレッシブな1曲となっている。更に恐らく元カレの名前であろう”Jack“という曲の《私のことをベイビーって呼んだから私はファックユーって応えたんだわ》と英語が第一言語じゃない彼女たちだからこそ成せる安易(良い意味で)なラインも最高だ。パンクの攻撃的な精神をなぞりつつもどこまでもピュア−−そんな言葉がこの作品にふさわしいだろう。

MOURN – “You don’t know me”

また、余談だがメンバーのほとんどが現在も両親と暮らし、これまでに地元以外でライブを行ったことがない彼女たちはレーベルメイトであるバンド・DIIVのフロント・マンが「カート・コバーンに似ているから会いたい」と語ることからも妙に彼女たちの魅力が伝わってくる。

曲を作り始めてから2年足らずでこの完成度。かのアークティック・モンキーズがそうだったように年齢が若いバンドだからこそ今後の成長が非常に楽しみだ。そして、上述した大型フェスティバルを含め3月よりワールド・ツアーを敢行する彼女たち。筆者が住むNYでもライブが行われるのでしかと目に焼き付けてきたいと思う!

MOURN – “Otitis”

(text by Taisuke Yamada)

★今回日本のデビューアルバムは2月18日 (水)より〈Tugboat Records〉より発売! レーベルオーナー小山田氏曰く、2月20日(金)の時点で既にストックが品切れで追加プレス中だとか。これは日本でも大ブレイクの予感!?

Release Information

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