ハウス・レジェンドも参加。約6年ぶりのオリジナル作には新機軸もぎっしり。
約6年ぶりのオリジナル作品となる今作では、自分の自宅スタジオ、ゲスト参加したデニス・ジョーンズの自宅、マンチェスター・スクール・オブ・サウンド・レコーディングで作業を敢行。ゲスト・ヴォーカリストとして、同郷のハンブル・ソウルから作品をリリースしているデニス・ジョーンズ、Kyoto Jazz Massiveらとの共演経験もあるヴァネッサ・フリーマン、ダンス・クラシックとして名高い“Tears”、“I’ll Be Your Friend”などでお馴染みのハウス・レジェンド=ロバート・オーウェンスが参加。4曲に参加したデニス・ジョーンズはヴォーカル以外にも様々なマテリアルを提供している他、“He Don’t”で貫録の歌声を聴かせるロバート・オーウェンスは、彼がラリー・ハードらと組んだフィンガーズ・インクの『アナザー・サイド』がミスター・スクラフのオールタイム・フェイヴァリットのひとつとあって、5作目にして待望の共演となった。
Mr Scruff“Render Me(feat. Denis Jones) ”-Official video
また、プレイヤーとしてはフィル・フランス(B:ザ・シネマティック・オーケストラ)、カイディ・テイタム(Key)、マシュー・ハルソール(Tp)が参加。これまでの特徴だったソウル/ファンクのレコードからのサンプリングに代わって彼らや自身で演奏した音をサンプリングし、深みを持った曲が急増。また、ダブステップ風味(それっぽいだけでダブステップではないことが重要)のシンセ・ベースが印象的な“Friendly Bacteria”やトランペットが哀愁を誘う“Feel Free”など、5作目にしてまだまだ新機軸を見せている。これにはキャリアを重ねたことや3年前に娘が誕生したことなど、前作以降に訪れた環境の変化も影響したそうだ。
とはいえ、本作にぎっしり詰まったユーモアたっぷりのブレイクビーツには、「ちょっとだけ時代遅れのもの、調子はずれのものが好き」と公言する従来の彼らしさも全開。自ら手掛けたアートワークのイメージそのまま、全編を通してうにょうにょとバクテリアが拡散するように、ジャンル不問のプレイフルなムードが作品を浸食していく。奇遇にも今年は、主宰するクラブ・ナイト<Keep It Unreal>が15周年を迎えるメモリアル・イヤー(このイベントには過去にルーツ・マヌーヴァ、イジャット・ボーイズ、アンドリュー・ウェザオールら錚々たるゲストも出演)。往年の〈ニンジャ・チューン〉・ファンはもちろんのこと、この機会に新しいファンも、ミスター・スクラフの愉快な世界観を体験してみては? ……と思っていたら、なんと<フジロック・フェスティバル’14>への出演が決定! どんな仕様のステージになるかはまだ分からないものの、本国では最近もバックスクリーンに手書き風のメッセージや自前の愛らしいキャラクターが登場してホーンを吹いたり踊ったりと、パーティー・ピープルにはたまらないエンターテイメント性満載のセットを披露している。加えて、今回は『フレンドリー・バクテリア』の楽曲も大量投下してくれるはず。これは<フジ>でのライヴも要チェックでしょう!
(text by Jin Sugiyama)
Event Information
FUJI ROCK FESTIVAL’14
2014.07.25(金)、26(土)、27(日)@新潟県 湯沢町 苗場スキー場
※ミスター・スクラフは27日(日)に出演
Release Information
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