昨今のコロナ禍中、おうちにいる時間が増えたという方も多いことだろう。

これほどまで多く、そして唐突におうちにいる時間が増えてしまうと、余暇をどう過ごしたらいいのかわからない。なかには、家でヒマを持て余してしまっている方もいらっしゃるはずだ。

かくいうQetic編集部も、おうちで何をしたらいいんだろう、なんて思いにふけりながらNetflixで配信中の映画やドラマなんかを観ていたところ、こんな考えがふと頭をよぎった。「アーティストの人たちってこの作品を観て、どんなことを考えているんだろう?

ということで、Qeticではこの度、Netflixで現在配信中の映画やドラマ、ドキュメンタリーなどの映像作品の中から、アーティストの方々にひとつの作品を選んでいただき、その作品に対してどんな思いや感情を抱いているのかを赤裸々に語っていただいた。彼らの意見を聞いた上で作品を観れば、きっと思いを共有できるはず!

第3弾なる今回は、5月に5年ぶりのとなる待望のニューアルバム『Digital Church』をリリースしたビートメイカーのLinn Moriが語る『ミスト』。

Linn Mori『ミスト』

この作品はスティーブンキング原作フランクダラボン監督の天才コンビによる傑作です。

SF、ホラー、スプラッターなどにカテゴライズされますが、真髄は人間の本質を描いたヒューマンドラマだと思います。

突如として濃霧に包まれたアメリカの田舎町のホームセンターを舞台に、その霧の中に潜む未確認生物に怯える人々の葛藤がメインテーマとなっています。

追い詰められ、恐怖、不安、苛立ちに苛まれ気が触れた人々が、霧の中の異形の生物より醜く映る描写は圧巻そのものです。

バッドエンドは単なる従来の予定調和への反抗ではなく、「最後の最後まで希望を捨てるな」といった強いメッセージだと解釈できると思います。

先の見えない日々が続きますが、濃霧が晴れる日を信じ、誰かの意見を過信することなく冷静に状況を判断し、ひたすらに前進する他ないのかもしれません。

ミスト (予告編)

Netflix 『ミスト』

INFORMATION

Linn Mori

アーティストの視点から観るNetflixの映画・ドラマ・ドキュメンタリー|Vol.3 Linn Mori『ミスト』 ac200527_netflix_linnmori_01

小学校五年生の時から不登校で引きこもりを経験、アニメ、ゲーム、ネット付けの毎日を送って来たが、中学校に上がってからBump Of Chickenに感銘を受け、ゲーム等を売ったお金でギターを買ったのが音楽制作を行うきっかけだった。高校時代にはバンド活動などを経験。またバンド解散後はAphex Twinなどの影響からエレクトロニカに傾倒する。その後機材に興味を持ちMax/MSPでのジェネレーティブプログラムなども制作。Purefuse73のインタビューをきっかけにHip Hopに興味を持ち「The Notorious B.I.G/Sky Is The Limit」に感銘を受けMPC2000XLやS950、SP1200等の機材を中心にビートメイキングをスタートさせる。

主に制作した楽曲をサウンドクラウドにアップする中、台湾でリリースされたコンピレーションアルバムへの参加や映画作品のサウンドトラックなどを担当。東京で不定期開催されるビートセッションイベント「EN Tokyo」へも参加を行う。
2012年にはサウンドクラウドで出会ったラッパー達をフィーチャーした自身初となるアルバム「Midnight Blue」をリリース。その後、台湾のビートメイカー「Luviia」とのコラボレーションアルバ「Luvlin」を立て続けにリリースする。
2014年にはフランスの気鋭のレーベルCASCADEよりアルバム「SAIL TO THE MOON」を発表。
翌年に葛飾北斎の作品、思想からインスピレーションを得て制作されたアルバム「Invisible Vision」をリリース。
2016年には『RADWIMPS』の『野田洋次郎』のソロプロジェクト『illion』名義のアルバム「P.Y.L」に
リミキサーとして大抜擢されるなど若手アーティストとして注目を集めてきた。
しかし、打ち込み機器を使用したビートメイクに自身の表現の限界を感じ、音楽性を見つめ直し昇華させるために、リリースを休止。音楽理論を一から学び直し、表現の幅を広げるために多種の楽器を習得、その結果今までとは全く違う、新たなる領域の表現が可能となった。
2020年5月には5年ぶりのとなる待望のニューアルバム「Digital Church」をリリース。今後も続けてアルバムのリリースを控えている。

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