2023.07.22@蕎麦太郎カフェ

原島“ど真ん中”宙芳が酒宰するイベント・配信企画＜原島“ど真ん中”宙芳の選曲呑み屋物語＞第7回として板橋編が2024年3月2日（土）、板橋区前野町にあり、昨年3月にオープンした呑み屋「8ブンノ1」に急遽開催。開場は17時から、配信は20時から22時過ぎまでを予定しています（詳細は記事の最後に！）。

＜選曲呑み屋物語＞では、お店のおすすめを味わいながら、仲間とともに杯を交わし合い、とっておきの一曲で物語を繋げる、そんなかけがえのない時間を原島さんのゆかいな仲間たちと共にお届け。前回は昨年7月、奥多摩町氷川で開催。企画で初めて有観客で行いました。本記事では、そんな昨夏の思い出をライターの高久大輝さんが振り返っていきます。

原島“ど真ん中”宙芳が酒宰する＜原島“ど真ん中”宙芳の選曲呑み屋物語＞第6回目が2023年7月22日（土）、奥多摩町氷川にある蕎麦太郎カフェで開催された（有観客、配信有）。

都心から電車に揺られて2時間ほど。奥多摩駅で17時ごろに電車を降りると、多くの若者で賑わう駅前に迎えられる。同行者と「みんな同じイベントに行くのかな？」なんて冗談を交わしながら、駅前の通りを北へ。酒処きみちゃん、居酒屋しんちゃん、飲食処ヤナギコージなど……原島がイベントの直前にシェアした「ど真ん中的奥多摩マップ2023」にも載っていたお店を含む柳小路や、落ち着いた雰囲気のビアカフェVETEREが横目に入り、「少し早く来て2、3杯やれたら良かったな」という後悔も抱きつつ道を進む。

コンクリートが少ないおかげだろうか。夏の日の晴天にも関わらず、都心で感じる顔をしかめたくなるような暑さはなく、気分良く蕎麦太郎カフェへと向かう。多摩川の支流の一つ、日原川に沿って、遡上する形で歩くと、2本の橋、北氷川橋と女夫橋を渡ることになるのだが、橋から見下ろす景色の素晴らしさについ立ち止まってしまう。渓流釣りを楽しむ人、川に浸り涼を取る人、それぞれがそれぞれの奥多摩を楽しんでいる姿も見える。イベント中に川遊びのチャンスを伺おうと心に決め、女夫橋を渡りきると、この日の会場となる蕎麦太郎カフェはすぐそこだ。

氷川国際ます釣場の2階にある蕎麦太郎カフェは駐車場側から階段を降りるとすぐだ。エントランスを通るとすでにMAN（KAMENOKO PRODUCTION）のDJがスタートしている。ゆったりと踊れるグルーヴィーなセットだ。日原川を見下ろす景色に見惚れつつ揺れるオーディエンスはもうだいぶ上機嫌な様子。奥多摩の自然に囲まれながら、日の高いうちから酒と音楽に酔いしれて、身も心も解き放たれていく。

次にDJブースに立った川西卓は、もう夏休み全開のプレイを展開する。どれだけ大人になっても夏休みのあの感覚を思い出せるのはなぜだろう。少しタイムスリップしたかのような、夢見心地な時間。飲み物がラムネからビールに変わったけれど、大人にも夏休みは必要だ。

2人の手練れによって完全に景気のいい雰囲気が出来上がった蕎麦太郎カフェ。日が徐々に傾いてきた頃合いでPUNPEEにDJのバトンが渡る。GAPPERや原島がサイドキックMCとして煽ったり、PUNPEE自身もマイクを握りラップしたりと、フロアの盛り上がりと呼応するように出演者もヒートアップしていく。特にPUNPPEによる“夢のつづき”のリミックスがプレイされた瞬間はこの日のハイライトの一つだろう（ちなみにフライヤーにあった、たっきー a.k.a GAPPERによる乾杯会については、ぬるりと始まり、いつの間にか終了していたので割愛します）。

そしてDJは原島“ど真ん中”宙芳に。とは言っても、Chaos On Paradeや本田Qのライブも組み込まれたセットだ。DJブースにはいつも誰かがいてカオスな状態、フロアも人の熱気でカオスな状態。この日のフライヤーには出演者が呑助と表記されていたが、これはたしかに正しいのかもしれない。とはいえ、蕎麦太郎カフェには長いピークタイムが訪れていたのは間違いない。

Chaos On Paradeのライブでは「奥多摩ステイトオブマインド！」というヒップホップらしい気の利いたシャウトが響き、本田Qは圧倒的な存在感を放つフロウでオーディエンスを驚かせ、フロアからは感嘆の声が漏れる。

ピークタイムが続く中、DJが代わろうというとき、Not For Saleが機材トラブルに見舞われる。が、原島が「PUNPEE！社長のケツ拭いてよ！」とすかさず粋なフォロー。この日の酒賓の原島“ど真ん中”宙芳がこういった場面でパーティーを救う、いや、さらに盛り上げる瞬間を自分はこれまでにもたくさん観てきたし、この日のフロアにいた多くの人もそうだろう。DJやラップのスキルだけでない、呑助だけど呑助なだけではない、原島“ど真ん中”宙芳の魅力を再確認したあと、Not For Saleもトラブルを脱してDJをスタート。このあたりから自分もだいぶ酒が回っていたのだろう、思い出せるのは心地よかった記憶ばかり。川遊びしようと思っていたのをすっかり忘れて楽しんでいた。

奥多摩から新宿への終電は22時半ごろなので、ちらほらと帰り支度を始める人もいたが、それでもフロアには多くの人が残っていた印象だ。結局、音が止まったのは23時半くらいだっただろうか。最高の環境に、お酒と音楽。この日の奥多摩は、まぎれもなく夏の思い出の1ページになった。

正直な話、漠然とした避暑地としての印象しかなく、過去に訪れたことのなかった奥多摩。しかし、このイベントをきっかけに足を運んでみて、その土地のたくさんの魅力に気づくことができた。原島は最後に「また面白いことがやれたらいいな」と話していたので、今回やり残したことはまた次回、しっかり時間に余裕を持ってやろうと心に決めている。