海外ツアーで培った自信と、大観衆を魅了する説得力がカッコよすぎ!
その後も白熱のステージは続いていくが、曲を追うごとにバラエティ豊かな音楽性が顔を覗かせるように。四つ打ち一辺倒のJ-ROCKはノーサンキューな筆者も、“C.h.a.o.s.m.y.t.h.”のようなバラード調から、ダンス・チューンの“Mighty Long Fall”まで、緩急をドラマティックに操るONE OK ROCK流アリーナ・ロックは大歓迎だ。アコースティックなアレンジが施されたヴァネッサ・カールトン“A Thousand Miles”のカヴァーや、アコギ一本で歌いあげる“Heartache”もじんわり沁みる。懐の深いエンターテインメント性にも舌を巻きつつ、何より特筆すべきは、大観衆を前にしても怯まないメンバー四人の堂々たる佇まいだ。その自信を支えているのは、途中のMCでも語っているように海外へ渡って豊富なツアー経験を積んできたからに他ならず、その立派な努力を「ちょっと自販機へジュースを買い物に行くようなもの」(Taka)なんてサラッと言ってのけるのも頼もしいじゃないか。
洋楽ファンが全国から多数集まる<サマーソニック>でも、X-JAPANがステージに立てば客席の誰もがジャンプするし、B’zが出てくれば「ウルトラ・ソーウル、ホゥッ!」と叫んでしまうものだが、リスナー個々人の趣味嗜好を超越した圧倒的な説得力がONE OK ROCKのステージにも宿っているように思う。先述したような海外での人気は、英語と日本語を自在に織り交ぜるTakaのヴォーカルによる部分も大きそうだが、それ以上に、言葉の壁を軽く吹っ飛ばすオーラと包容力が映像越しにも伝わってくるだろう。俯瞰と煽り、ステージにオーディエンスと絶妙にアングルを使い分けるカメラワークも秀逸で、バンド側に負けない熱意で映像化に取り組んだであろうスタッフ陣の意気込みもそこから伝わってくる。躍動するメンバーの一挙一動から、ギターやベースの弦を弾く手元まで満遍なく映されるなかで、会場中に咲いた観客の笑顔こそがライヴの充実ぶりを何より物語っている。
気づいたらアンコールも含めた全22曲、スタジアムの夜空に花火が舞うラストの大団円まですっかり見入ってしまった。いやー、素晴らしい! これまでスルーしていたことを猛省しつつ、このDVDがONE OK ROCK初体験になったのはラッキーだったのかもと思える出来映えだ。5月からはジャパン・ツアーもスタートする彼らだが、このライヴ映像は入門編から予習/復習に至るまで重宝するはず。お世辞抜きで最高なので、洋楽ライターの筆者も全力でオススメします!