7月6日(土)・7日(日)の二日間にわたって、福井県で初の大型野外音楽フェス<ONE PARK FESTIVAL>が開催された。地元の人々の主導によって企画・運営された同フェスは、今回が記念すべき第一回目となる。会場内でライブと福井県の名産・工芸品・グルメ等が楽しめるのはもちろんのこと、リストバンドさえあれば出入りは自由。「町全体が一つのテーマパークに」とうたい文句にあるように、空き時間には福井の街を散策したり観光することもできる、地元に密着した都市型音楽フェスだ。梅雨の時期ではあったものの両日とも晴天に恵まれ、二日間で一万人もの観客が集まって北陸最大級の夏フェス誕生を盛り上げた。

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恐竜の化石が多数発掘される「恐竜王国」としても知られる福井県。巨大な恐竜のモニュメントが出迎えてくれるJR福井駅から歩くこと5分ほどで、<ONE PARK FESTIVAL>の会場・福井市中央公園が見えてくる。その名前どおり、県庁や市役所などの建物に囲まれた福井市のど真ん中に位置し、昨年8月にリニューアルオープンしたばかり。都市の中央にありながら青々とした芝生が広がる自然豊かな公園は、音楽フェスの開催にうってつけの会場と言えるだろう。

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このフェスの発起人に名を連ねているのが、SOIL & “PIMP” SESSIONSのアジテーターである「社長」。彼も福井県出身であり、出演アーティストのセレクションやオファーに深く携わった。「自分たちの実力とプレイでお客さんを巻き込むことができるグルーヴ感とスキルを持っているアーティスト」を基準に声をかけたというラインナップには、お茶の間レベルの人気バンドから気鋭の若手アーティストまで、音楽好きも唸らせる素晴らしいアーティストが幅広く勢揃い。7月6日(土)の出演者は、青葉市子、WONK、ELLI ARAKAWA、Ovall、CAPTAIN VINYL(DJ NORI+MURO)、クレイジーケンバンド、Cornelius、Gai Sunya、水曜日のカンパネラ、SPECIAL OTHERS、DAN、Blu-Swing、maco maretsの13組。7月7日(日)には、Attractions、ウルフルズ、クラムボン、SIRUP、Sunaga t experience、cero、sauce81(N’gaho Ta’quila/77 Karat Gold)、chelmico、never young beach、FNCY、YonYon、LicaxxとSOIL & “PIMP” Sessionsに加え、オーディションで出演を勝ち取った地元アーティストのhendecagonと水咲加奈が出演を果たした。

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アーティストのライブと並び、音楽フェスに欠かすことのできないフードやお酒、グッズの出店も充実。フードコートには地元の名店が軒を連ね、カレーやラーメンといった人気グルメから越前そばや若狭牛といった地元グルメ、福井産の新鮮なフルーツなどを販売。ビールやカクテルだけでなく数々の地酒を販売するドリンクの豊富さも、米どころ・福井県ならではと言えるだろう。

福井県を拠点に営業する店やデザイナーが多数出店したグッズ販売のマーケットでは、Tシャツや帽子だけでなく、普通の音楽フェスではなかなか見られない個性的な商品も販売。メガネの世界的産地として知られる鯖江産のメガネやサングラスから絵本や絵画までが並ぶ様子は、まるでオシャレな街の物産展のようでもあった。

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また、子連れのファミリーもみんなで楽しめるよう、子供用のキッズ・スペースも設置。トランポリンや滑り台といった大型遊具を楽しむ子がいれば、けん玉などのおもちゃに夢中の子もいて、公演の中央にある噴水ではびしょ濡れではしゃぐ子供たちの姿も。ただ音楽を聴くだけでなく、幅広い客層が十人十色の楽しみ方で福井県の魅力を堪能できるフェスとなっていた。

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Qeticでは、記念すべき第一回目が成功を収めた<ONE PARK FESTIVAL>の魅力を伝えてもらうべく、出演アーティストの中から4組にインタビューを実施。WONKの長塚健斗さん、Ovall、オーディションから出演を勝ち取った地元出身アーティストのhendecagon安丸智也さんと水咲加奈さんに、<ONE PARL FESTIVAL>に出演した感想を聞いた。

INTERVIEW:WONK長塚

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──今回、WONKは<ONE PARK FESTIVAL>第一回目のトップバッターという記念すべき出番でした。実際に出演してみて、いかがでしたか?

<ONE PARK FES>の歴史の第一歩が僕らだと知って、緊張しましたけど楽しかったです。朝早かったのに盛り上がってくれて、お客さんの温かさにも助けられましたね。他の出演者のラインナップもヤバくて、このフェスのトップバッターが俺たちでいいのかなって思うくらいですけど、出演できて光栄でした。

──ステージでは、メンバー同士がアドリブで演奏し合う熱い姿が印象的でした。

昔はクールに見せたいというか、どこかカッコつけてた部分もあったんだけど、最近は僕たち自身が楽しんでいる姿を見せないとお客さんも楽しめないだろうという意識に変わってきているんです。だから、ステージでの色んな動きを研究しているところですね。

──福井県の印象は?

WONKは今回が二回目の福井県なんです。前回もSOILさんに呼んでもらって、サポートアクトとしてライブしました。福井と言えば、コシヒカリ、海鮮、ソースカツ丼、地酒……。食のイメージが強いですね。本当に美味しいものが何でもあるというイメージがあります。

──<ONE PARK FESTIVAL>という生まれたばかりのフェスについては、どういう印象ですか?

僕らも色んな地方のフェスに出演経験がありますが、素晴らしいフェスほどフードも地のものをちゃんとアピールしていて、クオリティの高いものを出してくれる印象があります。アーティストへのケアも手厚くて、ケータリングで地元の人が手料理を作ってくれたりするんです。ここもちゃんと地元の名物を作って提供してくれて、地酒もたくさん用意してあって、嬉しいことばかり。例えば、高いお弁当なんて都内でいくらでも食べられるじゃないですか? そうではなくて、こういう土地に来たらここでしか食べられないモノを食べて、ここでしか体験できない体験をしたいんです。その点でも<ONE PARK FESTIVAL>は最高のフェスですね。

──会場の福井市中央公園は、駅から徒歩5分という街のど真ん中にあります。この場所にはどういう感想を持ちましたか?

夏フェスは山の中で開催されるものが大半なので、こんなに街中の屋外で演奏できる機会はそうそうないですね。しかも、都市部にあるのにちゃんと吹き抜けになっていて、演奏する方にとっても気持ちいい場所だと思いました。何より素晴らしいと思ったのは、市が全面的にバックアップしていて、音楽フェスが町おこしの一環にもなっているところ。こういう地元に密着した音楽イベントが全国に増えて、音楽がもっと身近になっていけば嬉しいなと思います。

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──長塚さんはバイクには昔から馴染みがあるそうですね。ハーレーダビッドソンブースでは「ジャンプスタート」で試乗体験もして頂きましたが、実際に跨ってみて、いかがでしたか?

やっぱり良いですよ。トルクの重厚感が全然違う感じがします。こういうアメリカンなスタイルのバイクは国産でもたくさんあると思いますが、バイクの鼓動を全身で感じる感覚は、やはりハーレーダビッドソンが一番だと思います。僕も中型免許は持っているので、数年前まではバイクによく乗っていました。ハーレーはやっぱりバイク乗り皆の憧れというイメージがありますね。僕もいつか大型自動二輪免許を取って、いつかハーレーオーナーになってみたいという気持ちはあります。

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──WONKは7月31日に新しいEP『Moon Dance』をリリースします。どのような作品になっていますか?

これまでの作品と違って、コンセプチュアルなストーリー性のある作品になっています。ただ、僕らが描いている構想はまだ少し先にあって、このEPはストーリーの序章という位置づけですね。この夏にはEPのリリースに伴ったツアーもありますが、そこではホーンセクションなど新しいサポートメンバーを加えた編成で演奏するので、これまでのWONKとはまた違ったパフォーマンスを見せられると思います。

INTERVIEW:Ovall

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──Ovallの皆さんは、福井県初ライブだそうですね。

mabanua 僕は水産大学の学祭で一度だけライブしに来たことがあります。

Shingo Suzuki(以下Suzuki) バンドとしては初めて福井県に来ました。今朝、本番前に着いたので、まだ福井県らしいものと言えば市役所くらいですが(笑)。

関口 あとは駅前の恐竜くらいだね(笑)。

Suzuki Ovallでライブをするとなると、大阪とか大きな都市になってしまいがちなので、こういうフェスができて福井のような場所でライブする機会が増えるのは嬉しいです。また、これがきっかけになって福井に戻ってこられるようになれば良いな、と思いますね。

──実際に<ONE PARK FESTIVAL>でのステージを終えた感想を教えてください。

mabanua お客さんが良かったですね。うちらの音楽は割とインディな方だと思うんで、そういう音楽に慣れていない人も多いかなと思っていたんです。でも、ここのお客さんは、分かりやすい音楽じゃないと集まってくれない、という感じではなく、サウンドチェックをしている時から自然とたくさん集まって聴いてくれて、雰囲気が良かったですね。

関口 中には、イントロを弾き始めた瞬間に「この曲だ!」って反応してくれる人もいたりして、「僕らの音楽を聴いててくれたんだな」って嬉しくなりました。

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──会場の福井市中央公園は、駅から徒歩5分という街のど真ん中にあります。この場所にはどういう感想を持ちましたか?

mabanua ビックリしたよね。駅で送迎の車に乗って、てっきり20・30分はかかると思っていたらすぐに「着きました!」って(笑)。

Suzuki 色んな人が来たいと思ったら気軽に来れるのは良いですよね。小さいお子さんを連れた家族もたくさんいましたし、幅広い層が楽しめるフェスなんじゃないかと思いました。

mabanua 最初のフェス体験にも良いですよね。いきなり山の中に行くとなるとハードルが高いけど、ここだったら、ちょっと観に行きたいと思ったらすぐ来れて帰れる。気軽に来てもらって、野外で音楽を聴くのが楽しいって思ってもらえれば、それが一番いい。

──Ovallは今年2月に“Stargazer”を配信して、ニュー・アルバムの制作を進めているそうですね。アルバムの制作はどのような状況ですか?

Suzuki レコーディングはもう後半にさしかかっています。バンドの演奏はほぼ録っていて、あとはボーカルなどを組み上げて終盤に向けて制作を進めていこうという段階ですね。この夏、もう1曲シングルをリリース予定です!

関口 活動を再開してからリリースした『In TRANSIT』は2012年に出したミニアルバムに手を加えた形だったので、ちゃんとしたアルバムを作るのは2013年以来になります。

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──6年振りのアルバム制作で、何か変化はありましたか?

mabanua Ovallは変わらずにOvallだなって思ってくれる人もいるだろうし、結構変わったなって思う人もいそう。だから、どっちもあるんじゃないかな。聴く人によって印象が違うアルバムになっているような気がします。

関口 変わっている気はしますけど、その中にもOvallっぽいって思ってもらえる要素はたくさんあると思います。でも、まだ誰にも聴かせていないから、どう受け入れられるかは未知数ですね。

mabanua 例えば今回ブース展示もしているハーレーダビッドソン等の名だたるメーカーにも長い歴史があって、変わっていく部分はたくさんあるけど、その中にも変わらない芯があるじゃないですか。今はキーを捻ってエンジンをかけないとか、色々とアップデートは加えられているけど、基本的な形状や信念みたいなものは変わらない。歴史に裏打ちされたものは残しつつも常に更新していかなければ続いていかない。

──<ONE PARK FESTIVAL>もこれから毎年恒例にしていきたいと考えているようなので、そういった歴史の積み重ねとアップデートは大事になってきますね。

mabanua 僕たちも瞬間的にドカンと爆発するよりは、継続することが大事なんだという考えで活動を続けているんです。フェスの運営は大変だとは思うけど、<ONE PARK FESTIVAL>もぜひ継続していってもらいたいですね。

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INTERVIEW:hendecagon安丸智也

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──オーディションで勝ち取った<ONE PARK FESTIVAL>への出演。とても素晴らしい熱演でしたね。

いやぁ、かなり緊張してまして、いつもの力は出せなかったですね。オーディション・ライブの時の方が出来は良かったんじゃないかな(笑)。でも、こんなに広い会場で演奏できて、とても気持ち良かったです。

──地元の福井県でこれほど大きい規模のフェスが開催されると最初に聞いた時は、どう思いましたか?

オーディションがあるという話を聞いた時には、すでにCorneliusやクレイジーケンバンドの出演が発表されていたんです。だから、こういう有名どころが出演するフェスが福井の街のど真ん中で開催されるんだっていう驚きはかなり大きかったですね。

──オーディションに受かる自信はありましたか?

いやぁ、全然です(笑)。僕らのバンドはライブもそんなにやってなくて、このオーディションがあるって聞いてじゃあ一本録ってみるかって軽い気持ちで応募しました。録音もiPhoneのボイスレコーダーで録っただけ。しかも、オーディションの選考ライブの日はメンバーが一人都合が悪くて、出られないって分かった状態で応募したんです。受かる気なんてさらさらなかったんで、受かって驚きました。

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──ステージでのパフォーマンスだけでなく、地元民の目線から第一回目の<ONE PARK FESTIVAL>に参加した感想を教えてください。

地元に住んでいる身からすると、こんな場所でフェスをやってくれるのは本当にありがたいです。交通費がかからないという点もありがたいですし、こんな豪華なラインナップが地元で見られるとなると、音楽好きとしてもテンションが上がりますね。ぜひまた来年も開催してもらいたいです。

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INTERVIEW:水咲加奈

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──まずは<ONE PARK FESTIVAL>のステージでパフォーマンスしての感想を教えてください。

緊張しましたね。いつも見に来て下さる方もちらほらいらっしゃったんですけど、その方たちには「緊張してたね」って言われました。私の音楽は分かりやすく盛り上がるような音楽ではないですが、お客さんがすごく集中して見てくれて、ちゃんと聴いてくれているのが伝わって嬉しかったです。

──オーディションでは当初の予定にはなかった審査員特別賞を受賞して出演が決まったそうですね。

オーディションへの参加を決めた時は、ダンス・ミュージック寄りのフェスなので受からないだろうなと思っていたんです。オーディション・ライブの時は自分の中で120点の演奏が出来たのですが、それでも難しいのかなって考えていました。Hendecagon、カッコ良かったし、悔しいけど仕方ないなって(笑)。でも、審査員の方たちがすごく長い時間をかけて審査してくださって、その結果特別賞をいただけて嬉しかったです。

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──他の出演アーティストで特に印象に残ったライブはありましたか?

オーディション・ライブの時に、審査してくれた方がyahyelのGai Sunyaさんだったんです。今回、初めてライブを見させてもらったんですが、とてもカッコよくて素晴らしかったです。

──福井県在住の水咲さんから見て、福井県の良いところはどこだと思いますか?

実際に住んでいる私からすると、福井の良いところは何もないところかもしれません。一年だけ名古屋に住んでいたことがあるんですが、その時に「何もないのがいいんだな」って実感しました。観光名所もありますけど、駅前をふらっと歩いて「変わったお店あるな」って入ってみたりだとか、そういう感覚が楽しいんじゃないかなって思います。せかせか観光するんじゃなくて、のんびりと福井県を楽しんでほしいですね。

──最後に、地元福井で初開催の<ONE PARK FESTIVAL>に参加した感想を教えてください。

ここまで大規模な音楽フェスに参加すること自体が初めてだったのですが、すごく良い雰囲気で素晴らしいと思いました。来年も再来年も、ずっと続いてほしいです。

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<ONE PARK FESTIVAL>の模様はハーレーダビッドソン ジャパンの公式ウェブマガジン「FREEDOM MAGAZINE」でも取り上げられているので、こちらも熟読されたし!

Text by 青山 晃大
Photos by 大石 隼土

ONE PARK FESTIVAL

2019年7月6日(土)、7日(日)

福井市中央公園


LINEUP:7月6日(土)


青葉市子、WONK、ELLI ARAKAWA、Ovall、Gai Sunya from yahyel、
クレイジーケンバンド、Captain Vinyl、Cornelius、水曜日のカンパネラ、
SPECIAL OTHERS、D.A.N.、Blu-Swing、maco marets

LINEUP:

7月7日(日)



Attractions、ウルフルズ、クラムボン、SIRUP、Sunaga t experience、Cero、SOIL&”PIMP”SESSIONS、Sauce81、never young beach、FNCY、Hendecagon、
水咲加奈、YonYon、Licaxxx



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