7月25日(金)、26日(土)、27日(日)の3日間にわたり開催された<FUJI ROCK FESTIVAL’25>(以下、フジロック)。Qeticでは、<フジロック>現地にて、出演したアーティストのインタビューを実施。今回は、25日のRED MARQUEEに出演したパフューム・ジーニアス(PERFUME GENIUS)のインタビューをライブフォトとともにお届けする。
マイク・ハドレアスによるソロプロジェクトとして2010年にデビューアルバム『Learning』を発表して以来、アート・ポップやロック、エレクトロニカなど多彩な要素を取り入れ、儚くも力強い歌声と大胆なステージングで世界を魅了してきたパフューム・ジーニアス。今年3月にリリースされた最新作『Glory』を携え、実に11年ぶりとなる来日を果たしたマイク・ハドレアスに、最新作への想い、フジロックへのイメージ、そして人生を導く座右の銘を聞いた。
──音と動きが一体になったステージはまさにアートだと思うのですが、ライブにおける演出の構想はどのように始まるのでしょうか?
(演出の構成は) 時にすごくシリアスで、心の奥深くから湧き上がってくるものもあれば、ただの冗談みたいな、楽しい感じのものもあって、ふと目に入ったものから浮かんできたアイデアから生まれることもあります。ただ、毎回のライブで自分が探検できるようなちょっとした世界を作れたらいいなと思っていて。毎回違うものにしたいなと思っていますが、すごくうまくいく時もあれば、逆にひどい時もある。瞬間ごとに良かったり悪かったりするけど、そういうリスクも楽しみたいと思っています。

──日本のオーディエンスの印象と、フジロックのイメージを聞かせてください。
日本でライブをするのは13年ぶりなんです。正直、今はもう何を期待すればいいのか分からないって感じですね。でも、とにかくみんなと音楽を分かち合えるのが楽しみです。前回来たときから何枚もアルバムを出してきたし、ようやく日本の皆さんと共有できるのが嬉しいです。ここは本当に美しい場所ですね。暑いけど、それでもやっぱり素晴らしい。みんなが涼しく過ごせるといいなって思うし、ずっと聴きたいと思ってくれていた曲たちを、今日はちゃんと届けられたらいいなと思っています。
──最新作『Glory』ではより抽象的で身体的なアプローチを感じました。制作プロセスでも変化がありましたか?
このアルバムは、すごく“今”を反映した作品だと思っています。自分自身、まだプロセスの途中にいて、答えが出ていないことも多くて。たくさんの問いがあって、混乱もあるし、探っている最中なんですよね。でも、長年やってきた中で、そういう状態こそが何かに辿りつくための方法になり得るのだと学んできました。言葉にしづらい感覚を、なんとか表現しようとすること。それは詩で表すこともできるし、身体的な表現でもできるし、あるいは夢のような形でもできる。特に、どうしてもストレートに言葉では説明しきれないようなことほど、そういうやり方が必要なんだと思います。

──日本の文化や習慣で、自分の国でも取り入れてほしいと思うことは何ですか?
まちがいなく、エスカレーターで立つ側と歩く側がちゃんと分かれているところですね。特にアメリカの混雑しているエリアでは、ああいう効率の良さが全然ないです。都市部ではスピードが大事だから、少しでも足止めされると本当にイライラするんです(笑)
──あなたの座右の銘(一番好きな言葉)は?その理由も教えてください。
座右の銘っていうほどじゃないかもしれないけど……。「人は壊れない」ということを信じています。どんなに大変なことがあっても、人って回復できる。もちろん、その渦中にいるときは、もう立ち直れないって感じることもあるし、自分が完全に壊れたように思えることもある。でもそこには、奇跡みたいな回復の力がいつもあると思っています。回復した先は、前と同じじゃないかもしれない。前より悪いかもしれないし、逆に良くなることもある。でも確実に、“何かが変わる”んです。だから、自分が完全に終わってしまうなんてことは、ないんだって思っています。
2025.07.25(FRI)PERFUME GENIUS
@RED MARQUEE









Photo by Kazuma Kobayashi
Film & InterviewPhoto by Itaru Sawada
INFORMATION

Glory
Perfume Genius
RELEASE: 2025.03.28
LABELS: Matador
国内盤CDトラックリスト
01. It’s a Mirror
02. No Front Teeth feat. Aldous Harding
03. Clean Heart
04. Me & Angel
05. Left For Tomorrow
06. Full On
07. Capezio
08. Dion
09. In a Row
10. Hanging Out
11. Glory
FUJI ROCK FESTIVAL’25
7月25日(金)26日(土)27日(日)
新潟県 湯沢町 苗場スキー場