2013.05.05(Sun)
RDC2013@晴海客船ターミナル
これほどまでに開催を望まれたパーティーが過去にあっただろうか。震災、悪天候とまさかの2年連続中止を余儀なくされた<Rainbow Disco Club>は、そんな人々の願いが届いたのか、太陽と真っ青な空に祝福され、メイン会場である晴海客船ターミナルからスタートを切った。
過去に数々のパーティーが行われてきた晴海客船ターミナルだが、今回の<Rainbow Disco Club 2013(以下、RDC2013)>は東京湾に面したコンクリート広場に1ステージ、エントランス奥の芝生にフードエリア、ステージと同じ敷地内の反対側に協賛ブースとバーエリアの3エリアのみで構成され、思っていたよりこじんまりとコンパクトな印象を受けたが、デイイベントだけでは終わらせないという印象を強くつけるものでもあった。
心地良い初夏の風が吹く中、野外パーティーの醍醐味の1つでもあるフェスフードを堪能しながら、会場内をぐるっと一回りした後、ステージへ向かった時にはすでにKuniyukiのライブが始まっていた。ラップトップによるセットだったが、独自のスピリチュアルなサウンドを入れつつも、デイタイムを意識したダンサブルで力強いグルーヴは初夏のフロアーにぴったりハマるすばらしいものだった。
続いて、筆者が個人的に最も楽しみにしていたDJ NATUREである。パーカッションの軽快なビート、ソウルフルでパワフルなサウンド、ディスコやハウスを自由自在に操り、いろんな要素をどこまでも黒く、深く、オリジナルのグルーヴに塗りつぶしていく。そのグルーヴに染められながら踊りまくり、あっという間に時は過ぎていった。
気付けば、Kevin Yostによる少し前とは全く違うストイックなプレイが始まっていた。インテリジェンスで少し冷酷ささえ感じるミニマリストのように思えたが、後半にかけてのすばらしいプレイによって、今回何よりも感動させられた美し過ぎるロケーションのクライマックスへ向かう序章だったと分かった。
日が落ちてゆくにつれ、ブルーからグレー、グレーからダークグレーへとグラデーションされてゆく空と七色の光を放つステージ、ノイズが走るモーショングラフィックを映し出さす円球と会場を囲む円球たち。レインボーブリッジを含む、近隣の象徴たに、Kevin Yostの奏でるサウンドが見事なまでにシンクロし、完全なる美しい幻想の世界が出来上がった。
波打つ海もこどもの日のために掲げられたであろうこいのぼりさえもこの日のために仕組まれたインスタレーションなのではないかと錯覚するほど完璧に計算しつくされた圧巻の風景が目の前に広がった。
オーガナイザーである3人が晴海客船ターミナルに運命を感じた意味がようやく理解することが出来た。
この日、晴海客船ターミナルでトリを務めるDIXONがプレイする頃には完全な真っ暗闇に覆われ、そこから光る七色のコントラストの中、ただひたすら音に身を任せた。ポップでキャッチーなハウストラックが目立ったが、成功を祝うハッピーチューンだったのかもしれない。DIXONによるラストトラックが終わると共に盛大な拍手と歓声が沸き起こり、夜の部を担当するSECOとWOMBへとバトンが渡された。ここからまたディープな第二幕がスタートしたのだ。
残念ながら見ることが出来なかったが、この日のオープニングアクトを飾った SiSi、他にもCOTTAM、DJ SPRINKLESが出演していた。誰もが知ってるビッグネームを看板に背負うこ
となく、この絶景と<RDC>に100%溶け込めるアーティストでなければいけなかったのだろう。そんな揺るぎない思いを充分過ぎるほど分かりながら、<RDC2013>はGWのトリを飾るに相応しいフェスとなった。
text by Kana Miyazawa