年、国内における音楽フェスブースは留まることを知らない。次から次へと新しいパーティーが生まれ、「今年はどこのフェスに行く?」という言葉はあいさつのように日常化されている。日本人の“お祭り好きDNA”はこういった形でも証明されているわけだが、そもそもフェスティバルとはどのように誕生し、どのような人間が手掛けているのか、そういった根本的なことに着目する人が一体どれぐらいいるのだろうか。フェスにはそれぞれの“色”があるが、オーディエンスである私たちは出演アーティストや雰囲気以外でその“色”を選択したことがあるのだろうか。

そんなフェスの中でも特に異彩を放っているのが、5月5日(土)に開催予定の<Rainbow Disco Club 2013(以下、RDC)>だ。今年は、晴海客船ターミナル、WOMB、SECOといった3会場で行うことを発表。また各会場ごとにコンセプトを持ち、音、空間演出など全く違う世界観を表現し、さらには時間軸をずらして、全ての会場に足を運ぶことが出来るサーキット形式となっている。ここまで徹底するには、昨年、一昨年とまさかの2年連続開催中止という不運に見舞われながらも今年の開催を決意したオーガナイザーである3人の男の熱い思いがあった。

<RDC>とはアートワークやデコレーションを担当するCarlos Gibbs、ブッキングやマーケティング担当のLaurent Novatin、そして、企画・運営の全体を見るMasahiro Tsuchiyaの3人によって成り立っている。<RDC>のイメージを表現する写真ビジュアルにはロゴやメッセージが刻まれた円形が必ず存在するが、“結束”という意味合いを持つこの円形はこの3人のことを表しているのではないだろうか。パーティーという1つの共通点から必然的に出会った3人によって生まれた<RDC>というフィルターを通すことによって、時代性を持つ音楽、アート、人に一体どんな結束感が生まれるのか? 今年の開催を待つばかりである。

特別入手! 波瀾万丈な歴史を振り返る<RDC>年表

~今年の開催発表に至るまでに起きた数々のドラマティックな出来事と出会うべくして出会った3人の軌跡を辿る~

2004年 Carlos Gibbsが東京に移住
Carlosはサンフランシスコで〈Deep House Project〉というレーベルを運営しながら、世界中を旅して回り、そこで出会った人たちにREDBOX(赤い箱)を持たせて写真を撮る活動を続けるのち、東京へ移り住む。

2006年 Laurent Novatinが東京に移住

2007年 Carlos GibbsとLaurent Novatinが東京で出会い、「REDBOX PROJECT」をスタート。
学生時代からDJをやっていたLaurentとCarlosはパーティーを通じ知り合い、当時の東京クラブシーンにおいて、かなり前衛的かつ独創的な手法でアートとダンスミュージックの融合を表現する「REDBOX PROJECT」を開始した。そして、瞬く間に東京のクラブシーンで注目を集めるようになる。一方、同じ頃、東京生まれのMasahiro Tsuchiyaはパーティーで遊び続ける傍ら、仲間達と<RAFT TOKYO>をスタートさせる。

Carlos、Laurent、Masaの3人は“パーティー”という1つの共通点の中で必然的に出会う。

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2009年 <RDC>の原点となる晴海客船ターミナルでのパーティーを発案。
3人で始める新しいプロジェクトの場所として、イメージにぴったりはまる場所が晴海客船ターミナルだった。当時、ハウスやテクノが中心となっていたシーンの中でよりディスコサウンドを意識した、様々なアートを盛り込んだ実験的な野外パーティーをこの場所で開催しようと決意する。

そんな時、まるで奇跡のような信じられないビッグニュースが彼らの耳に届く。
あのディスコ界の伝説的人物DJ HARVEYが8年ぶりに来日するという。

2010年5月 第1回<RDC>を晴海客船ターミナルにて開催
DJ HARVEYをメインアクトとした第1回目は予想を遥かに超える4000人という動員数を誇り、一気にトップフェスへの階段を登り始めた。後にResident Advisorが選ぶ「World Top Festival in May」の第5位にランクインすることとなる。

2010年12月 Tabloidにてカウントダウンパーティー開催
新聞社の工場跡をリノベーションした一風変わったイベントスペースTabloidでパーティーを開催し、また新たな一面を見せた。

順風満帆かのように思えた翌年の2011年、彼らにはDJ HARVEYの来日より想像を遥かに絶する出来事が待っていたのだ。

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2011年 東日本大震災の影響により開催を断念。
3.11に起きた東日本大震災により、この年のフェスティバルのほとんどが自粛となった。

2012年5月 暴風雨などの悪天候により、開催中止
Jamie Jonesをはじめ、“Beyond Time and Space”をコンセプトとした選ばれし国内外のアーティストを前にまさかの2年連続開催中止を余儀なくされたが、中止を知ったWomb、Seco、WWW、elevenが驚くべき早さでアーティストと<RDC>難民となったオーディエンスの受入れを承諾し、急遽4会場にて振替公演を実施。

そして、2013年 晴海客船ターミナル、WOMB、SECOの3会場にて開催を決定。

(text by Kana Miyazawa)

★次ページでは、<RDC>をモット楽しむために!
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