2014.11.11(TUE)@HALL SHINSEIKI
Red Bull Music Academy presents Chaos Conductor
ダンスホール新世紀。この会場は映画『Shall Weダンス?』の舞台モデルとなったことでも有名だが、この日は<Red Bull Music Academy Tokyo 2014(以下、RBMA)>のひとつで、BOREDOMSのEYヨ、大友良英、アカデミー参加者達による特別なセッションが行われる。この文言を聞いただけで、両者どのようなパフォーマンスをするのか期待値が上がっていった。
(photo by Yusaku Aoki)
ダンスホールに入るとまず目に入ってきたのは中央に組まれた円状のステージ。その周りにはミラーボールや装飾がキラキラと散りばめられていた。ステージ上にはパソコンが円状に並べられており、15人程のアカデミー参加者達がその前へと座り中央を囲んでいた。
舞台上の中心部へとEYヨが登壇。EYヨの指揮によりアカデミー参加者達ひとりひとりが電子音を鳴らし始めていく。段々とその指揮は複雑になり、電子音はしだいに重低音へと変貌していった。さらにその音量は上がっていき、重低音量の上下によって波状のホワイトノイズが生み出されていく。次第に壁もミシミシと揺れ、はっきりと自分でも感じ取る事が出来る程の轟音へ! EYヨが手を上げて指示を出す度に電子ノイズの波が客席の我々にも押し寄せ、その指示を出す姿がまるで音の宇宙を創造する神のようにも見えた。
EYヨ(photo by Dan Wilton)
やがて轟音もピークを迎えると、EYヨが指揮の手を降ろした。するとアカデミー参加者達の今まで鳴らしていた音は、今までそこに存在しなかったかのようにぴたっと止んだ。EYヨは客席に一礼してステージを後にした。
EYヨ(photo by Dan Wilton)
20分程の転換の後、ステージにはたくさんの楽器が並べられていた。そこには、民族楽器、木琴、和太鼓、ドラム、ボンゴ、ギター、ベース、それらを見ただけで、これから何が行われるのかという未知の経験に胸が高鳴る。壇上に登場した大友良英の指揮により、大友を囲んだ20人以上のアカデミー参加者達が1人ずつ、それぞれの楽器を鳴らしていく。一人一人の様々な楽器によるパターン化されたリズムが重なっていき、やがてミニマリズムなループ音が形成されていく。
大友良英(photo by Dan Wilton)
大友が指揮からギターへと持ちかえると、アカデミー参加者が中央に立ちそれぞれの指揮が繰り広げられた。次第に指揮者の人数は増していき、オーディエンスも見よう見まねで指揮に参加。最終的にはオーディエンスがステージに上がり出し各々がダンスパフォーマンスを披露する場面も。その姿は見ていてとてもカオスだといえるのだが、不思議とどことなく多幸感に包まれるようにも感じた。
(photo by Dan Wilton)
(photo by Yusaku Aoki)
手法や表現は違うがそれぞれの2人の指揮者により、まさに“カオス”(Chaos)へと“導かれた”(Condactor)特別な夜なのであった。
text by Daiki Hayashi
★<Red Bull Music Academy presents Chaos Conductor>
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