REDLINE TOUR 2013 10DAYS
DAY5@恵比寿リキッドルーム

<REDLINE TOUR 2013 10DAYS>もいよいよ中盤。5日目を迎えた。折しもこの晩は、巨大台風が関東を直撃する前夜。駅から会場へ向かう最中も、激しい雨や風が、“これでも行くの?”と言わんばかりに吹きつけてきた。とはいえ、会場に着いてしまえばこちらのもの。会場の恵比寿リキッドルーム内は、外の荒天なんてどこ吹く風。こちらはこちらで出演した4アーティストが、互いに己の音や歌をぶつけ合う、音楽のストームを吹き荒した。

この10DAYSは、これまで比較的に音楽的趣向の近いアーティストたちが日毎にブッキングされてきた。しかしこの日は、あえて趣きを変えるかのように、<REDLINE>の真意でもある「境界線を超える」が感じられた。この日のカテゴリの流れは、ラウドロック~ギャルバン~エモーショナルギターロック、そしてアイドル。<感情の込った音楽>という共通項以外、あまり接点が見られないアーティストたちの饗宴であった。当然お客さんの層も様々。にも関わらず、多くの人が自分の贔屓のアーティストで盛り上がるだけに留まることなく、終始ライヴを自分たちのスタイルで楽しんでいたのも印象的な1日となった。

この日の1発目はラウドロックバンドANGRY FROG REBIRTH。グロウルでスクリーモな面を受け持つボーカルと、クリアでメロディアスな歌面を担当するボーカル&ギターのツインボーカルを擁した5人組だ。激しさとヘヴィさ、そんな中、美しさを感じさせる瞬間を擁しているところは、彼らの大きな武器と言えよう。

フロアに2ステップの嵐を巻き起こした“2step syndrome”からライヴをスタートさせた彼ら。打って変わりスカダンスの花を咲かせた“Funky”、サビの疾走2ビートが炸裂。場内に巨大なモッシュサークルを生んだ“Break me eyes”等に合わせ、フロアではキッズならではのエンジョイが次々と展開されていく。中でも極めつけは、彼らのライヴでの定番「山手線モッシュ」。この山手線はもちろんあの電車の山手線のこと。大きなサークルを作り、合図と共にウォールオブデスよろしく中心に向かって一斉にモッシュを始める、そのエネルギッシュさと健康的なバイオレンスは、終わった後に爽快さすら感じた。

“そういえばこの5日間、3日目のUNLIMITS以外は野郎ばっかりで、全然女っ気がないな..”なんて思っていたところに、ようやく登場したのがギャルバンFLiPであった。とは言え、このFLiPも可愛いルックスをして、なかなか男前なバンド。ハードなサウンドの中、どこなく歌謡曲的なメロディラインと歌が印象的なグループだ。ドライヴ感のあるサウンドの中、溢れ出す歌謡性にグッときた“ニル・アドミラリ”、4つ打ちのビートと適度な上昇感で会場の高揚感を一気に引き上げた“カザーナ”でフロアを強烈にバウンスさせ、“Raspberry Rhapsody”では、オーディエンスとのコミュニケーションもしっかりと取っていく。

また、間に挟まれたMCでは、彼女たちのほんわかした少女的な部分も露見。再びライヴに入ると、“さっきのMC場面はなかったことに”と言わんばかりの硬派で硬質なロックナンバーを連発し、そのギャップもたまらない。後半に入ると更に加速度と熱量を上げていくかのように、ドライヴ感のある演奏で雨どころか嵐を呼び込んだ”雨の女”、スリリングさと怒涛さ、カッコ良さに加え、セクシーさも入り混じった”カート二アゴ”等で、彼女たちなりの男前っぷりを喰らわせた。

続いて、ircleは「ジャパニーズロックの救世主、ircleです」の一言からライヴを始めた。極めてエモーショナル度の高いギターロックスタイルの演奏と、ぶっきらぼうで歌い放つように歌唱するボーカルが印象的な4人組だ。“呼吸を忘れて”でエモーショナルにライヴを走り出させた彼ら。更に加速をつけてライヴを転がしていった”バタフライ”等、前半から突っ走る。何かにいら立っているかのように、拭っても拭い切れない何かわずらわしいものを必死で引きはがそうとしているかのように歌うボーカル&ギターの河内健悟のボーカリゼーションと歌声も印象的であった彼ら。その辺りが如実に感じられたのは、中盤に歌われた”シャバダハ”であった。同曲はまさに彼が何かわずらわしさを蹴散らすように歌っていたのが今でも頭から離れない。また、”カゲロウと夏”では、ウェットさを含みながら、それを振り払うかのように歌う姿に、いらだちや憤りの中に、しっかりと信じている何かを希望的なものを感じさせた。希望を含め全ての感情を歌に込めて放ち切った彼ら。境界線を超え、最後にはしっかりと自分のテリトリーに持ち込んでいったその佇まいには頼もしさすら感じた。

とここまで書いたが、まるでこの日を総括するように、丸っと全て持って行ってしまったのは、新生アイドル研究会ことBiSであった。機材が全て撤去され、照明以外何もないガランとしたステージを無尽に歌い踊った彼女たち。ロックバンドのライヴとは若干違ったノリが場内に呼び込まれる予想を裏切り、ライヴが始まるや否や、ラウドロックのライヴさながらの光景がフロアに表れる。

ラウドロック、スカパンク、メロディックコア、そしてガバやエレクトロ等に合わせ、女子アイドルならではの歌がリレーション式に歌われ、曲毎にダンスやフリのコンビネーションを魅せた彼女たち。次々と繰り出される曲毎に、フロアのあちこちでモッシュ、クラウドサーフ、肩車、シンガロングが起こる。振り返ると彼女たちは、あの非常階段を始め、歴然のエクストリームミュージックの猛者たちとも対バンしてきたのだ。当然か。サウンドはハードながらも、そこに決してグロウルな声やスクリーモを乗せるわけではなく、歌部はあえて至って女子アイドル声。そのギャップと妙なブレンドのユニークさは、こんなメンツの中で歌われるからこその引き立ちを見せた。

終演後外に出ると、入る時とは比べものにならないほどの激しい雨や風に変わっていた。なのに、どことなく入る時より柔らかく感じたのは、きっと先程までの、各人の放つ激しい音楽性にさらされていたからかもしれない。帰路、そんなことを思った。

(text by池田スカオ和宏[LUCK’A Inc.])

[twocol_one]セットリスト:ANGRY FROG REBIRTH
1.2step syndrome
2.Funky
3.Break me eyes
4.Bright foot
5.Dance in the dark
6.Tonight

セットリスト:FLiP
1.ニル・アドミラリ
2.カミングアウト
3.カザーナ
4.Raspberry Rhapsody
5.雨の女
6.カート二アゴ[/twocol_one]

[twocol_one_last]セットリスト:ircle
1.呼吸を忘れて
2.バタフライ
3.シャバダハ
4.2000
5.カゲロウと夏
6.本当の事

セットリスト:BiS
1.MURA-MURA
2.Hi
3.IDOL
4.BiSimulation
5.Fly
6.PPCC
Encore 「nerve」[/twocol_one_last]

★怒濤の10日間、本日がフィナーレ!

Event Information

REDLINE TOUR 2013 10DAYS
2013.10.11(金)~10.20(日)@恵比寿リキッドルーム
11、15、17、18:OPEN 18:00/START 19:00
12、13、14、16、19、20:OPEN 17:00/START 18:00
特典付き通し券 ¥18,000(各日ともドリンク代別)
前売り ¥2,800(ドリンク代別)
※特典限定グッズ、写真入りラミネートパス
問い合わせ:SMASH(03-3444-6751)

LINE UP:
11(金) SKINDRED/SiM開催終了
12(土) Northern19/EGG BRAIN/GOOD4NOTHING/BLUE ENCOUNT開催終了
13(日) UNLIMITS/HOTSQUALL/Boobie Trap開催終了
14(月・祝) J/JESSE and The BONEZ/MY FIRST STORY開催終了
15(火) ANGRY FROG REBIRTH/BiS/ircle/FLiP開催終了
16(水) ROTTENGRAFFTY/SHANK/NOISE MAKER/FIRE BALL開催終了
17(木) LACCO TOWER/Mop of Head//Galileo Galilei開催終了
18(金) THE CHERRY COKE$/Sawagi/オレスカバンド/HERE開催終了
19(土) RADIOTS/COUNTRY YARD/LOW IQ 01&MASTER LOW/THE STARBEMS開催終了
20(日) WAGDUG FUTURISTIC UNITY/Crossfaith/LOST

企画制作:JAPAN MUSIC SYSTEM / SMASH
協力:Deviluse/takepoint
お問合せ:SMASH(03-3444-6751)