2009年から長野県松本市で開催されている野外音楽フェスティバル<りんご音楽祭>。今年も9月23日(土)24日(日)の2日間、松本市蟻ヶ崎のアルプス公園を会場に180組以上のアーティストによる、盛大なお祭が開かれます。
なかでも注目すべきは、今年初の試みであるトークライブ。音楽フェスでは異色の「喋り」を披露する「いなごステージ」をプロデュースする金原みわさん&よいまつりさんに、開催に先駆けてトークステージ設置の経緯や「いなごステージ」の見どころ、<りんご音楽祭>の楽しみ方など、じっくりお話を伺いました。
Interview:金原みわ&よいまつり
——今回は、おふたりがプロデュースされる<りんご音楽祭>で初設置となるトークブース「いなごステージ」について伺いたいのですが、その前にまず、自己紹介と“なれそめ”を教えてください。
よいまつり 昨年の初め頃から一人で音楽活動を始めて、その前から古い銭湯が好きでよく巡っていたんですけど、そのうちトークイベントに呼んでいただけるようになって。なので、かんたんに言うとアーティストなんですけど、このところ趣味でやっていたことが役立ってきたっていう感じです(笑)。
金原みわ(以下、金原) 私は「珍スポトラベラー」っていうふざけた肩書きで活動をしているんですけど、主に珍しい場所・人・モノを巡って記事を書いたりトークイベントで発表したりしていて。その活動が本格的になって、これまでに本を2冊出させていただきました。自分のラジオ番組も持っているんですけど、そのオープニングテーマはよいまつりちゃんに歌ってもらっていて。まつりちゃんとは、彼女が活動を始めた頃から仲良くさせてもらっています。
よいまつり 劇団でお芝居をやっていた時期があるんですけど、そのとき共通の友達がみわさんを誘って芝居を観に来てくれて。私、もともとみわさんのことは知っていて、それをキッカケにTwitterで連絡をとって、そこからみわさんがメインでやっていらっしゃるイベントに出させてもらったりするようになりました。
——どちらも関西にお住まいで、SNSにも度々お互いのお名前が出てきますよね。そして今回、<りんご音楽祭>の「いなごステージ」をおふたりで取り仕切るとのことですが、どういった経緯が?
よいまつり 昨年の<りんご音楽祭>のオーディションに通ってライブに出演させていただいたのをキッカケに制作側ともお話をするようになって。
金原 主催のDJスリーパー(古川陽介)さんとは、まつりちゃんを通じて知り合ったんですけど、各々の活動を見ているうちに「なにか一緒におもしろいことが出来たらいいね」っていう話になりまして。
よいまつり スリーパーさんはすごく直感で動く人で。大阪に来たとき、みわさんのイベントに連れていったらすごくおもしろがってくれて、すぐ「なにか出来ないかな?」って。でも、スリーパーさんにしてみれば、トークイベントがどういうものなのか出演している私たちほどはしっかり掴めていなかったみたいで。それで「ふたりに任せるから、企画を組んでみて」ということで、今回のかたちになりました。
——今回は、よいまつりさんと金原さんを含む19名の出演者が各々のテーマでトークを繰り広げるとのことですが、ラインナップを決めるうえでなにか基準的なものはありましたか?
金原 基準というほどのものではないですけど、<りんご音楽祭>との相性の良さ、みたいなところは意識しました。みなさん共演したりトークを聴いたことがある方たちばかりなんですけど、それぞれ専門性があるので得意分野を充分に語っていただこうと思っています。
よいまつり たとえば、掟ポルシェさん、佐伯誠之助さん、クリトリック・リスさんのライブステージにも出演される3名は、それぞれ人生について語ってくださるんですけど、おおよそ人が出来るような活動ではないお三方だし、みなさん独特のノウハウをお持ちなので、どんなお話が聴けるのか私たちも楽しみです。
金原 いろんな荒波を越えていらっしゃった方ばかりですからね(笑)。人生トークと併せて来場者から募ったお悩みを読み上げて、一緒に解決策を模索していこうという趣旨にしたいと思っています。それとは別に、トークステージの合間に出演者以外の来場者の方にゲリラ的に出ていただく「チャレンジタイム」というのも設けられるらしくて。そこでもおもしろいことが起きそうです。
——なにが起こるかは、開けてのお楽しみですね。今回、いろんな肩書きの方々がさまざまな、それもかなりディープなお話をされるみたいですが、おふたりがそれぞれ個人的に注目していらっしゃる方はいらっしゃいますか?
よいまつり 私は、「事故物件住みます芸人」の松原タニシさんとSOCORE FACTORY店長かさごさんの怪談ですね。松原タニシさんは普段一人でも怪談話をされる方なんですけど、今回はかさごさんとの対談形式で。かさごさんは普段音楽の方が専門なんですけど、一年に一回怪談イベントをやっていらっしゃって。対談だとチャチャが入るのが面白いんですよね。バリバリの関西弁で「お〜それは怖いな」とか(笑)。怪談専門のタニシさんはもちろん、かさごさんもお話自体はちゃんとしっかり怖いので、夕涼みの時間帯に聴いて、背筋に冷えを感じながら帰ってほしいです。
金原 怪談にチャチャ、それは新しい(笑)。私は、ルポライターの村田らむさん。村田さんの得意分野はホームレスやゴミ屋敷、樹海といった少しドキッとするようなものなんですけど、そういう場所にたくさん潜入取材をされている方なので、思わず立ち止まって聴きたくなるような、今まで知らなかった世界のお話を聴かせてくれるんじゃないかと楽しみにしています。