UKのプロデューサー/DJであるアンドリュー・ウェザオール(Andrew Weatherall)が、肺血栓塞栓症により2月17日(月)に逝去したことが発表され、彼の突然の訃報に世界中から追悼のメッセージが送られた。Qeticではそんな彼が残した功績を、彼の遺した楽曲とともに辿っていきたい。

Andrew Weatherallの携わった作品を紹介

Primal Scream – Loaded (Official Video)

彼が生み出した名作の中の一つに、原曲の雰囲気を良い意味で崩してしまった、プライマル・スクリーム(Primal Scream)のリミックス曲である“Loaded”が挙げられる。軽快なパーカッションとメロディ、ルーズなベースラインに気持ちは和らぎ、お酒を片手にゆったりと聴きたい曲だ。

Happy Mondays – Hallelujah (club mix)

こちらは1980年代後半にイギリスで発生したレイヴムーブメントを象徴するバンド・ハッピー・マンデーズ(Happy Mondays)の代表曲“Hallelujah”のクラブ・リミックス。ポール・オーケンフォールド(Paul Oakenfold)と共に手掛けており、当時のレイヴシーンを思わせる図太いキックとピアノのグルーヴが最高に気持ち良い。

Sabres of Paradise: Wilmot

Two Lone Swordsmen – Glide By Shooting

1992年に結成されたセイバーズ・オブ・パラダイス(Sabres of Paradise)や、1996年に始動した電子音楽デュオ・トゥー・ローン・スウォーズメン(Two Lone Swordsmen)で制作されたダークでアンダーグラウンドな曲の数々も紹介しておきたい。ダンスミュージックの新たなシーンを作っていった彼の曲によって、当時の多くの人々が静かに踊り狂っていた光景が目に浮かぶ。

The Asphodells – A Love From Outer Space

そしてテクノユニット・The Asphodells(ジ・アスフォデルス)では、アンドリューが共同で運営していた“全ての音楽がBPM122を超えないクラブイベント”<A Love From Outer Space>でプレイするためのトラックが制作された。パーティー名でもある“A Love From Outer Space”という曲は、ニューウェーブやUKロックにも通ずるルーディな音の展開と、ドラムマシーンによるタイトなビートが混ざり合い、聴いてるだけで無意識にも身体が揺れ始めてくる。

New Order – Restless (Andrew Weatherall Remix)

2015年にはニュー・オーダー(New Order)のオフィシャルリミックスも手掛けている。ボーカルに乗せられたリバーブと、高音でグルーヴィーなシンセサイザーの音を聴けば、近未来のクラブに迷い込んだかのような気分に。

Andrew Weatherall – Unknown Plunderer

そして、今週末2月21日(金)にリリースが予定されているアンドリューのEPより“Unknown Plunderer”が公開されている。コズミックな電子音と身体の芯まで響くベースライン、徐々に迫ってくるアンディ・ベル(Andrew Bell)のギターの渋さに思わず心が打たれる。

これほどの名曲たちを生み出したアンドリュー・ウェザオール。彼の音楽は、これからも世界中でまだまだ鳴り響くことだろう。

追悼Andrew Wetherall|30年間に渡りロックとダンスミュージックを繋いできた彼の功績を振り返る music200219_ripandrew_main
Photo by John Barrett