ヘタウマなイラストが味わい深い! VOIVODの『RRROOOAAARRR』

【なぜ?】ヘヴィメタバンドは戦車がお好き。その魅力に迫る! music150409_sensha_4

ヘヴィメタルやハードロックのアルバムジャケットに戦車が登場する場合、それらは戦記小説の表紙絵やミリタリーのプラモデルにおける箱絵のようにリアルで勇ましく描かれる場合が多いのですが、なかには非常にローファイ感に溢れたというか”ヘタウマ”な戦車もあります。そんなヘタウマ戦車によるアルバムジャケットの金字塔といえばコレ! カナダのスラッシュメタルバンド、ヴォイヴォド(VOIVOD)の2ndアルバム『RRROOOAAARRR』です。ファミコンのシューティングゲームに出てくるボスキャラを思わせる極悪な外観のこの戦車。

髑髏! トゲトゲ! 火を噴く機関銃!!

『マッドマックス』『北斗の拳』的な分かりやすい悪のオラオラ感に満ちたこの戦車は、世間一般のヘヴィメタルに対する攻撃的なイメージを見事に具現化したナイスデザイン。そこに独特なタッチが加わることで、絶妙に脱力感が加えられ、何とも言えない味わいが発生しております。ちなみに、収録曲も“Slaughter in a Grave”、“Horror”、“Build Your Weapons”、“To The Death”……といった具合に超攻撃的なタイトルのものばかりなのですが、それが更にイラストの画力との強烈なギャップに。ジャケットのイラストを手掛けているのは、ヴォイヴォドのドラマーであるアウェイ。ヴォイヴォドのバンドロゴやジャケットイラストのデザインは、そのほとんどをアウェイが担当しており、各作品でその特異な作風を楽しむことができます。

本作は、ハードコアパンク寄りのスラッシュメタルからSF的なプログレッシヴ感を取り込みスケールの大きなサウンドへと移行していったヴォイヴォドの初期の傑作であり、奇妙奇天烈プログレスラッシュへと移行を始めた過渡期的な作品。パンキッシュな音が好きな方には、是非とも聴いていただきたい戦車ジャケアルバムです。

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アメリカンなノリの酔っぱらい戦車! WEHRMACHTの『BEERMACHT』

【なぜ?】ヘヴィメタバンドは戦車がお好き。その魅力に迫る! music150409_sensha_5

こちらも独特なイラストのタッチに深みを感じる一枚。アメリカの80年代クロスオーヴァースラッシュ(ハードコアパンクとスラッシュメタルをミックスさせた、とにかく速くて激しいヘヴィメタルのサブジャンル)を象徴するバンドの一つであるヴェアマクト(WEHRMACHT)の2ndアルバム『BEERMACHT』! お酒が大好きで、1st.アルバムの『Shark Attack』では吐瀉音を曲間に挟むなど、その酔いどれっぷりと猥雑で下品なおフザケを武器にトンデモない速度で疾走しまくった彼等らしく、戦車の車体が酒瓶になっているというポップなジョーク感覚に満ちたアイデアが素晴らしいです。ヘヴィメタルバンドの戦車ジャケというと、陰惨なデザインのものも多いのですが、こちらはアメリカのバンドらしくカラッと明るい雰囲気に溢れていますよね。

1stアルバムで見せた猪突猛進なファストメタルをよりハードコアパンクに寄せたような軽くて速いスラッシュサウンド。キッスの“Detroit Rock City”のイントロを丸々パクっていたり(トラックタイトルはズバリ“KISS Tribute”)と世の中を舐め切ったユーモアも健在。ふざけてばかりなのに、どこか憎めないのがこのバンドの素晴らしいところ。何気に、昨年には来日も果たしています。ちなみに、バンド名のヴェアマクト(WEHRMACHT)とはアドルフ・ヒットラー配下の旧ドイツ国防軍のこと。まともな感覚の西洋人なら絶対に付けないであろう単語をバンド名に持ってくるネーミングセンスもジャケットの酒瓶戦車同様にぶっ飛んでます。

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