ファストファッションが世界を席巻するなか、そのアンチテーゼとして、スローという価値観を標榜するイタリア発のスマートカジュアルブランド、スローウェア。イタリアに存在する未来の洋服とは? スローウェアジャパン代表の鈴木雄一朗氏に話を伺った。
SLOWEAR(スローウェア)は時代に逆行しているのか?
仕立てや着心地の良さ。あるいはシルエットの美しさ。つまりは技術と経験に裏打ちされたカッコよさ……。この世界に数多存在するファッションブランドは皆、自社製品に対して同じようなアピールをする。しかし株式会社スローウェアジャパン代表の鈴木雄一朗氏は、違う言葉を用意した。
「スローウェアの服は、着るだけで自信や安心感が生まれます。それは、衣食住を含めた日々の暮らしの中で、自らのモチベーションが高まること。さらには、より豊かな生活が送れる幸せにつながります」
なんと斬新な回答だろう。確かに服とは、身につけてこそ仕立てや着心地やシルエットの実際が体感でき、着続けることで鈴木氏が口にしたような、生活の中で芽吹くおだやかな変化を起こすものだ。
だが現代は、ゆっくりとした変化を好まない傾向にあり、それに応じる形で、仮にワンシーズンで捨て去られるようと見映えの良さと低価格で勝負するファストファッションが台頭することになった。
事実、スローウェアはホームページ内で、“消費主義に対抗する長生きするスタイル“を宣言し、かつ大見出しで“イタリアに存在する洋服の未来“と謳い上げている。その強烈な自信はどこから来るのか? すべての答え、つまりスローウェアの知性と感性は、ブランドネームに記された“SLOW”に込められていた。
スローウェアの起源、インコテックス。そしてそのインコテックスのパンツを取り入れたこの夏おすすめのコーディネートは?
Text:田村 十七男
Photos:大石 隼土