新型コロナウイルス感染症(COVID-19)が世界的に流行し、ソーシャル・ディスタンシング(他人と物理的に一定の距離を置くこと。日本ではソーシャル・ディスタンスとして知られる)の意識が根付いている中、クラブ・ミュージックの本場であるドイツで、ソーシャル・ディスタンシングを守ったパーティーが開催され、話題となっている。

ドイツのクラブでソーシャル・ディスタンスを守ったパーティーが開催

話題となっているのはドイツのミュンスター市にあるCoconut Beachと呼ばれる会場で開催されたパーティーだ。ソーシャル・ディスタンシングを守るための輪っかが地面にチョークで描かれ、訪れたクラバーはその輪っかの範囲内でのみダンスできる、という時世に合わせた形式で開催された。マスク着用の義務を課されながらも、解放されたように踊るクラバーの様子がSNS上で拡散され、注目を集めている。

またCoconut Beachは2,000人のキャパシティーを誇る大型のクラブではあるものの、現状を鑑み、この日のパーティーは100名限定のパーティーとして開催感染症拡大前の70倍に当たる70ユーロ、日本円にして約8,000円というチケット料金での実施となったそう。ドイツでのクラブのチケット料金としては破格の高値にもかかわらず、発売からわずか15分ほどで完売してしまったという。

さらにDJブースやバーカウンターなどには、アクリル樹脂製のガラスが設置され、DJやスタッフに飛沫が飛ばないようにするなど、感染リスクを低下させるため、衛生管理を徹底しながらパーティーは進行。現状、新型コロナウイルス感染の疑いがある来場者は発生していないそうだ。

このパーティーに参加したDJ、ガード・ヤンソン(Gerd Janson)は、80%も減額したギャラで出演を引き受けたことも明らかになっている。取材に対し、ヤンソンは「このパーティーが普段のパーティーとは全く違った状況であることは僕もよくわかってるつもりだ。パンデミック、君がなんて呼んでも構わないけど、感染症の拡大が始まる前から、その日にちにプレイすることが決まっていた。だから(100人しかいないという)かなり縮小した状態で開催されるってことを聞いたとき、最初はいたずらか何かと思ったんだ。でも何回かやりとりした後に出演することを快諾したよ。これをやってのけることや、Coconut Beachのマネージングを担当するThomas Pieperとスタッフたちを助けることは僕の責務の一部でもあるって思ってる」と、今回のパーティー開催にあたりコメントしている。

日本では緊急事態宣言が解除されたばかりではあるが、観客を動員しての音楽イベントの開催までは時間がかかるかもしれない。Coconut Beachでのパーティーと同じように、衛生管理を徹底した上で生の音楽を堪能できる日が来ることを願うばかりだ。

クラブでソーシャル・ディスタンスを守りながらダンス!?ドイツで斬新なパーティーが開催され、話題に music200526_socialdistancing_main
Photo via United Nations COVID-19 Response(Unsplash)