プロデューサーとシンガーソングライターの2つの顔
ソンは南ロンドン出身で、最近明らかにされた本名はクリストファー・テイラー。現在はオーストリアのウィーンを拠点に移し、活動している。その存在が浮上したのは2012年リリースのEP『ザ・ホイール』。プレフューズ73のスコット・ヘレンばりのカッコいいヴォーカル・チョップを駆使した繊細なサウンド・テクスチャーとその美しいファルセット・ボイスは一気に英米のメディアの注意を引き付け、その後もプロデュース/リミックス・ワークへ精力的に取り組んできた。彼が関わったアーティストはバンクスを始め、ディスクロージャーやライ、クワブスと昨今の「エレクトロニカ+R&B」なトレンドの立役者と呼ぶに相応しい誰もが羨む面々たち。筆者自身もバンクスのリミックス・ワークで彼を初めて知ったし、同じように彼を知った人は多いのではないだろうか? ところが海外メディアでの発言を見るとソン自身は自らをシンガーソングライターと明確に定義付けている点が興味深い。これは上述のフルームやサンファにも共通していて、ラップトップ・ベースの自己完結型のトラック・メイカーと歌い手としての自分は当たり前に同居しているのだろう。そして皆その自信も納得の素晴らしい歌声の持ち主だ。
Banks – “Before I Ever Met You (SOHN Remix)”