ラフォーな僕は若い世代が日本を変えてくれないかと憂いている、取り分け80年代前後の勢いのある世代に。そんなオッサンな僕は『STREET CYPHER 2』と書かれた資料を目にした時、「サイファー」はストリートや路上のカルチャーであり、PC上で繰り広げられる内容に非常に懐疑的だった。ただし実際の『STREET CYPHER 2』を目の当たりにし、非常に「刺激的」かつ希望が見えるものであったのでここにレポートしたい。

「ヒップホップ」という音楽カルチャーは欧米のストリートから生まれたもの。歴史ある音楽をサンプリングして新たなものをクリエイトし、ライムの内容もストリートの視点から生み出される音楽。もちろん日本でも「ヒップホップ」は存在するが、やはり欧米の真似事の域から脱するモノは少ないし、日本の音楽でサンプリングするなんて難しいと思っていた。『STREET CYPHER 2』を見るまでは・・。

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『STREET CYPHER 2』はインタラクティブなインターネットやメディア表現を媒体に、なんとそのタイトルの由来である格闘ゲーム「ストリート・ファイター 2」を見事にサンプリング! サイファー(=MCバトル)するMC達をKinect 技術を活用して動作検知、マスキング合成、CG映像合成を行い、リアルタイムでバーチャルな世界に落とし込む。そして、観客もバトル判定に参加できる「Hoo!」システムも本バトルの大きな特徴。「ヤバい!」と感じたラッパーのターンに、スマホを上下に「Hoo!」と振ると、判定に大きな影響を与えるシステムだ。本当に格闘ゲームにキャラクターとして参戦しているかのようなMCバトル=『STREET CYPHER 2』。

当日の模様は、2.5DによるUstream配信に加えてニコニコ生放送でも中継され、インターネットのユーザーもUst画面から「ラブコール」ボタンをクリックすることでリアルタイムでMCバトルに参加できる。「ラブコール」ボタンも「「Hoo!」システムと同じく、MCバトルの勝敗に大きな影響を与える。

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ライブ→MCバトル第1部→ライブ→MCバトル第2部という、飽きさせない構成もさることながら参加するMC陣も非常にエンターテイメント。童貞ラッパー・dodo a.k.a. doodoo、「戦極MC BATTLE」でお馴染みの八文字アスベスト、ニコ動画などを中心に人気の“ネットラップ”デュオの電波少女、かつて同じグループで活動しバトルし合ったオロカモノポテチとBAN、アラフォーオバサンMC NAOMYなど、そして注目の女子高生ラッパー・daokoやBSスカパー! で放送中の番組『BAZOOKA!!!』での超人気企画「高校生ラップ選手権」で異彩を放ち注目を浴びたGOMESS、など参加MC陣は非常に個性的。

僕が特に面白かったバトルは、右翼MCのshow-k vs 〈術ノ穴〉所属 DOTAMA。両者のスキルが飛び交うナイスなバウトだったが、右翼なのに左サイドに立ち位置を取ってしまったshow-k、そこを突いたDOTAMAが勝利。今回のベストバトルは、若手MC筆頭株のKLOOZと、AAAでの活動外ではその高速MCで名を轟かせるSKY-HI。華とオーラがハンパない両者によるバトルは見応えもバツグン、勝者SKY-HIへの黄色い声は凄かった!

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記念すべき第一回目『STREET CYPHER 2』。世界初であるこのバーチャル・MCバトルに会場の2.5Dはパンパンのソールドアウト! 2.5DでのStream配信の合計視聴者数はなんと5千人超え、ニコニコ生放送での来場者数も6万人を超えた。スゲーーー!!

冒頭で述べたが、この実験的な試みに日本のヒップホップが遂に独自のサンプリング手法を手に入れたことに強い感動を憶えた! 開発を手がけた『アホな走り集』などでお馴染みの映像作家の大月壮さん、アイデアを実現に変えた2.5Dクルー、そしてSPACE SHOWER TVでオンエア中の音楽番組「Black File」などの若きクリエイター達は、もしかしたら日本、そしてコノ国のヒップホップ・シーンを変えてくれるかもしれない。この記念すべき『STREET CYPHER 2』第1弾を終えて、さらに進化した第2弾、第3弾・・、今から非常に楽しみである!

(text by Qetic・ダブルビー)