クーラーが恋しくなった季節、水平線を聴きたくなる。地元である京都nanoから出発した<旅するロックンロールツアー2026>で仙台〜名古屋〜福岡と様々な都市を廻った4人、その魂の現在地を指し示す東京での初ワンマンライブが5月8日(金)に渋谷・WWWで開催された。
去年はアブナイ夏を合言葉にシングル「たまらないね!」、「エンドレスサマー」のリリースに<SUMMER SONIC>や<SWEET LOVE SHOWER>をはじめとした音楽フェスティバルへの出演など、着実にバンドとしての歩みを進めていた水平線。最新EPとなる『希望の匂い』のリリースツアーも兼ねた<旅するロックンロールツアー2026>を見届けようと、夕暮れに染まったスペイン坂を上り、WWWのひんやりとしたフロアへと到着。今日ここには、水平線のライブを観に来た者しかいない。

19時を過ぎると4人が登場、オープニングの「颱」で安東瑞登(Vo./Gt.)が元気よく挨拶すると会場も応える。水平線の爽やかさと土臭さが絶妙に混じり合ったナンバーであり、雄大な光景へと開けていくロックチューン。まさに水平線らしさを凝縮した一曲だ。続いて『希望の匂い』から「フライトレスマン」が始まる。《確かなことなんてなんもないから/勘違いくらいが俺にゃちょうどいいのさ》と歌う田嶋太一(Vo./Gt.)、バンドの未来にも個人の人生にも重ねられる期待に満ちた言葉がバンドサウンドを通して増幅されていく。

「みんなで思い出を作りたい」というMCでの安東の言葉を受け、清涼剤のような「エンドレスサマー」が始まる。ラウドな中にも人懐っこさの残る水平線のエッセンスを詰め込んだ歌であり、田嶋と安東がそれぞれの見せ場でグッと前方に出てギターを弾く姿にはパフォーマンスの成熟が感じられる。

地鳴らしのようなタム回しからコーラスで四つ打ちに変貌する川島無限(Dr.)、そしてそれにピッタリと並走する水野龍之介(Ba.)のプレイが光る「SUPERSTAR’82」から軽快な「selfish」に移る頃には、バンドの朗らかなムードが既にフロアへ充満していた。

中盤に差し掛かると田嶋がアコースティック・ギターに持ち替える「レディーバード」に
バンドのレパートリーの中でもとりわけエンタメ性の高い「Downtown」と、幅のあるステージングで魅せる。横揺れでリズムを取っていた水野が飛び跳ねたり田嶋と共にダック・ウォークをしたり、舞台を大きく使って会場のボルテージを上げると、MCでは「僕より踊れてる人います?」とさらに煽ってみせた。ふたりのギターボーカルのキャラクターの違いといい、ストレートなソングライティングの中に垣間見える個性こそが水平線の真骨頂だ。

『希望の匂い』からパッショネイトな「鋼の太陽」に尻上がりに音が厚みを増していく「Throwback」でテンションを引き上げ、《Let’s Go ロックンロール!》という真っ直ぐなリリックが飛び出す「ロールオーヴァー」に至るころにはWWWは最高潮の盛り上がりに。右手を挙げて喜びを示す者、マイペースに舞台を眺める者。自由な楽しみ方でその音を身体の中で解釈している様が見て取れる。

本編ラストは田嶋にとって重要な意味を持つという「忘年」。決してライトな語り口ではないものの、バラードではなくふくよかなバンドのアンサンブルに乗せて切なる心情を送り届けることに、水平線という物語を生きている4人の気高さが滲んでいた。

さらに白眉だったのはアンコール、新曲の「ロケンロー」だ。田嶋と安東が一つの曲で歌い合うという初の試みを、バンド史上においても稀なハイテンションで繰り出すと観客も歓声を上げる。単に時間を積み重ねるのではなく、彼らは旅に出るたびに成長をしているのだ。

その後に披露した「トーチソング」は旅を見送り、行く末に想いを馳せるナンバー。バンドと観客、その構図を飛び越えるだけの太い物語を紡ぎながら水平線は進む。大阪での単独公演を経て終幕した<旅するロックンロールツアー2026>、今年の夏もアツくなりそうだ。
Text by 風間一慶
Photo by Rintaro Miyawaki
PROFILE
水平線

【MEMBERS】 (左から)
タジマタイチ
・田嶋太一 (Gt. / Vo.)
カワシマムゲン
・川島無限 (Dr. / Cho.)
ミズノリュウノスケ
・水野龍之介 (Ba. / Cho.)
アンドウミズト
・安東瑞登 (Gt. / Vo.)
京都の4人組ロックバンド、水平線。
田嶋(Vo./Gt.)と安東(Vo./Gt.)のダブルボーカル兼ソングライティングにより、UKオルタナティブやフォークポップスなど、多彩な影響を感じる楽曲を生み出している。
2025年7月にリリースした「たまらないね!」はドラマ「晩酌の流儀4~夏編~」のOPに起用され、同年8月にはSUMMER SONICやSWEET LOVE SHOWERに出演。
2026年2月に5曲入りの EP『希望の匂い』をリリースした。
4月にはEP収録曲「三日月」がカンテレ・フジテレビ系全国ネットの番組「土曜はナニする⁉」のエンディングテーマに起用された。
【SOCIALS】
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EVENT INFORMATION

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5/23(土) 東京 SHIMOKITAZAWA SOUND CRUISING
6/6(土) 名古屋 SAKAE SP-RING
8/29(土) 大阪 RUSH BALL
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