――最初の構想では、写真家の野本ヒロヒトさんのビジュアル・イメージでやりたかったそうですね。でも、今回のセカンド・アルバム『羅生門』では、ミュージック・ビデオでりんご飴マンとのコラボレーションなんかもあって、段々、そのシリアスなイメージが崩壊・・・してきてますよね?(笑)
コムアイ 確かに、ファースト・アルバムの頃は、かなり野本さんのビジュアルを意識していました。Kenmochiさんの音楽の感じと、野本さんの退廃的な風景から物語が浮き上がるようなイメージが合うと思ったんです。けど、ファーストを録り終えた時には、それに飽きてしまったんですよね。だから、セカンドの制作を始める時に、それまでの「よくわかんないけどいい」みたいな表現はやめようと決めたんです。
Kenmochi シンプルに言えば「シュールで、カッコいい」っていうのに頼らない様にしようと。直球で「バカだなぁ」っていうのがやりたかった。セカンドからは振り切ったエンタメになっていると思ってます。音も派手になって、イントロもキャッチーだし、最後のサビも意図的に盛り上がれる様な歌詞にして。
コムアイ 本当にただの悪ノリですよねぇ。セカンドの『羅生門』は・・・。
――コムアイさんは、今、学生をやりながらアーティストもやっているわけですけど、実際にステージの上で歌うっていう職業をやってみて、どのような実感があるか伺いたいんですけど。
コムアイ 20歳過ぎて、まさか人前で歌を歌う様になるとは思ってもみなかったです。水曜日のカンパネラを始める前までは、大学の間は普通にインターンとか留学とかして、面白いことにいっぱい関わって、大人になったら楽しい仕事に就く・・・それだけだと思ってたんですけどね。
――なるほど。
コムアイ でも、今までやってきたことも、自分ですごくやりたくってやり始めたわけじゃなかったなあ。毎回、誰か誘ってくれる人がいて、それにノコノコついていって、それでサルサを踊り、畑に行き、船に乗り、先の報告会へ行き、って感じだったんです。私はそういう誘いにはなるべく乗っかった方が、自分一人で行きたい方向に頑張って行くよりも、流されて、遠くにいけると思っているんです。そうやって生きていく方が、結局、死んだ時に後悔しないんじゃないかと思っているんですよね。
Dir.F シャケが川を上って頂上に辿り着くわけじゃなくて、コムアイの場合は、川から流されて海に下って、変な島とかに辿り着いちゃう。そこが面白いと思うんですよ(笑)。
コムアイ シャケ、海に出たら死ぬんじゃない?(笑)あ、でも、シャケって海に出ると違う魚になるんだったかも・・・。
――(笑)。流れ流されて、独自の進化を遂げていく感じですよね。ライブに関しては、楽しめていますか?
コムアイ 普通のライブっていうよりは、ショーのようになってきたらしいです。お客さんを「黙っててくれるかなぁ?」とか「ちょっと、うるさい」とか言って責めるので、ドSなんて言われてるんですけどね(笑)。お菓子を投げたりもします。今回のアルバム『羅生門』の中の“マリーアントワネット”って曲ではブルボンのお菓子の名前がたくさん出て来るので、アルフォートとかホワイト・ロリータをバンバン投げます。歌とMCをやってるんではなくて、始まった瞬間から終わる瞬間まで私の時間として楽しんで欲しいです。
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