2022年7月にニュー・アルバム『World Wide Pop』をリリースしたことも記憶に新しい、マルチカルチュラル・ポップ・コレクティヴ、Superorganismスーパーオーガニズム)が、2023年1月に全国5カ所を廻るジャパン・ツアーを行う。
唯一無二のポップネスと多幸感、胸がひりつくようなメランコリーが爆発する、唯一無二のライヴ体験を是非この機会に体験してほしい。

2022年下半期から海外のアーティストの来日が徐々に復活してきている。円安をはじめとした、ビジネス的に非常にシビアな状況の中で、それでもわざわざ日本に来てくれるアーティストたち(そして、かれらを招聘するプロモーター、レーベル、ヴェニューの方々)には、一人の洋楽ファンとして、心の底から「ありがとう」と叫びたい……のだが、ガラパゴス的にコロナ禍な我が国・日本においては、それもなかなか難しいのが現状だ(と、言いつつ、最近のライヴ現場では歓声OKという場面も増えてきてはいるようだ。しかし、誰が歓声に“許可が要る”なんて未来を想像しただろう。軽い絶望を覚える)。

そんな中、2023年1月にSuperorganismが、東京・大阪・名古屋・広島・福岡の全国5カ所を廻るジャパン・ツアーを開催する。2018年の1stアルバム『Superorganism』の狂躁から4年(Frank OceanやVampire Weekend・Ezra Koenigらの名前が出てくる当時の“騒動”に関しては是非検索してみてください)、2022年7月にリリースされた待望の2ndアルバム『World Wide Pop』は、PavementのStephen Malkmusや星野源、CHAIなど、世界各国の「友人たち」をフィーチャリングした、Superorganismがバンド名に冠する「超個体」という名に相応しい、バンドとしてのフォルムを自由自在に変容させながら、ヒリヒリとした自我同一性の揺らぎとマニック・ディプレッションを宇宙規模のストーリー・テリングで描き出す意欲作だった。

SuperorganismWorld Wide Pop

プロパーなバンド・セットとしては4年ぶりの初ライヴとなった<FUJI ROCK FESTIVAL ’22>では、ホワイト・ステージに出演。前回出演した際は、ヴォーカルのOronoのステージ上でのパンキッシュで反抗的なパフォーマンスが話題を呼んだものの、今回はそういった要素はなし(もちろん内に秘めたものがあることは感じられたが。その表出の仕方がより、洗練されたとでも言おうか)! アルバムと前後してメンバーの構成に変更があったことから、Oronoがヴォーカルの他にアコースティック・ギターやサックスを担当、Tucanがドラムからラップ・トップに配置換え、Soulがキーボードを弾くなど、かれらにとってのバンド・サウンドの新しい形を模索しつつ、楽曲やアルバムの世界観をメンバー全員で強かに立ち上げ、大文字の「ロックスター」的なクールで風格のあるライヴを繰り広げていた。

Superorganismの「今」を体感しよう!2023年1月、来日公演に向けて music221224-superorganism-1
Superorganismの「今」を体感しよう!2023年1月、来日公演に向けて music221224-superorganism-2
Superorganismの「今」を体感しよう!2023年1月、来日公演に向けて music221224-superorganism-3
Superorganismの「今」を体感しよう!2023年1月、来日公演に向けて music221224-superorganism-5

“Black Hole Baby”や“Teenager”、“Flying”、“Don’t Let the Colony Collapse”などニュー・アルバムに収録されている楽曲は実際に生で多くのオーディエンスと一緒に聴くと、その曲の持つ強烈なエモーションを、はっきりと体感できた。それはまるで、身体全体がかれらの宇宙に飲み込まれて、悩みも痛みも喜びもすべてが音と人熱の中に融解していくような、自分自身が無になっていく感覚──セット・リストの最後に演奏されたかれらの代表曲である“Something For Your M.I.N.D.”では、ステージの上にオーディエンスをあげ、演者と聴者をごちゃ混ぜにしていたが、まさにそのパフォーマンスが意味するような体験──優れたポップ・ミュージックには往々にして、そんな我を忘れさせ、昂りと一体感の中に陶酔させる、危険で蠱惑的な「魔法」があるものだが、ワールド・ツアーを経て、<FUJI ROCK>時点よりもはるかにパワーアップし、バンドとして錬磨された状態に仕上がったかれらは、より力強いパフォーマンスで、ジャパン・ツアーを訪れるオーディエンスに「魔法」をかけてくれるだろう。

Something For Your M.I.N.D. LIVE at フジロック22

SUPERORGANISM – Flying(FUJI ROCK 22)

東京でのライヴには海外での活躍も目覚ましい盟友・CHAIがサポート・アクトとして出演することも決定。ステージ上でのコラボレーションが行われるのかどうかは未だ定かではないものの、“Teenager”など共演曲は多数あるだけにその可能性も大いに期待できる。ポップ・ミュージックの最前線をひた走るかれらの共演が観られるのは今の所、世界でも日本だけだ。1月12日からは代官山TSUTAYAでスペシャル・ポップ・アップ・イベントも行われる。Superorganismのマーチは毎回売り切れることも多いので、お求めの方はこの機会に是非ゲットすることをお勧めする。

何よりも、存在していることが奇跡のようなバンドであるSuperorganismのライヴを生で体感できるのは、人生の中でもそう何回もあることではない。まして、至極当たり前のことだが、今のSuperorganismのライヴを観られるのは「今」だけなのだ。日常を抜け出して、ブラックホールを通って、暗黒の宇宙の彼方まで──新しい年の始まりをSuperorganismと祝い、憂い、踊り、共に笑おう。

Superorganismの「今」を体感しよう!2023年1月、来日公演に向けて music221224-superorganism-4

Text by 小田部 仁
Photo by Kazuma Kobayashi

INFORMATION

Superorganismの「今」を体感しよう!2023年1月、来日公演に向けて music221224-superorganism

SUPERORGANISM WORLD WIDE POP TOUR

2023.01.13(金)東京 ZEPP DiverCity
OPEN 18:00/START 19:00
前売:¥7,000(1F:スタンディング・2F:立ち見)/¥7,500(2F:指定席)※ドリンク代別
(問)SMASH:03-3444-6751

2023.01.15(日)大阪 NAMBA HATCH
OPEN 17:00/START 18:00
前売:¥7,000(1F:スタンディング)/¥7,500(2F:指定席)※ドリンク代別
(問)SMASH WEST:06-6535-5569

2023.01.16(月)名古屋 DIAMOND HALL
OPEN 18:00/START 19:00
前売:¥7,000(スタンディング)※ドリンク代別
(問)JAIL HOUSE:052-936-6041

2023.01.17(火)広島 HIROSHIMA CLUB QUATTRO
OPEN 18:00/START 19:00
前売:¥7,000(スタンディング)※ドリンク代別
(問)クラブクアトロ:082-542-2280

2023.01.18(水)福岡 DRUM LOGOS
OPEN 18:00/START 19:00
前売:¥7,000(スタンディング)※ドリンク代別
(問)BEA:092-712-4221

Superorganism Special Pop-up Shop@Daikanayama Tsutaya

期間:2023年1月12日(木)~
場所:代官山 蔦屋書店 1号館2階