2019年6月29日(土)、台湾台北市の台北アリーナにて、今年開催30周年を迎える台湾最大の音楽賞<Golden Melody Awards(略称・GMA/中文名:金曲獎)>の授賞式が開催されます。ノミネートリストは5月15日から公開されており、台湾国内では、現在、「どの作品・アーティストが受賞するのか?」といった予想がアツく繰り広げられています!
ところで、日本のみなさんの中には、「台湾最大の音楽賞!!」と言われても、あまりピンとこない方も多いのでは……?
そこで今回は、<Golden Melody Awards>についての紹介と、日本から特に注目したい部門の情報をお届けしていきます!
<Golden Melody Awards (金曲獎)>とは?
<Golden Melody Awards>とは、1990年より始まった、中華民国(台湾)文化部影視局が主催する、歴史ある音楽賞です。
台湾で昨年1年間に発表されたシングル、アルバム作品をリリースしたアーティスト、携わったクリエイターならびに法人が応募の対象となります。
年々、応募作品点数が増加しているのが特徴で、現地音楽メディアStreet Voiceによれば、今年は2018年を大幅に上回る22,000点を超える作品の応募があり、受賞への競争がますます激化している様子が伺えます。
賞の構成は、「最優秀アルバム賞」「最優秀新人賞」など音楽賞定番の部門から、「最優秀台湾語アルバム賞」「最優秀原住民語アルバム賞」など台湾ならではの部門、そして「最優秀ジャケットデザイン賞」など技術にスポットライトを当てた部門など合計28部門。あらかじめ発表されたノミネートリストの中から、6月29日の授賞式では、栄誉ある受賞者が決定・発表されます。
<Golden Melody Awards>の特徴は、商業的な要素に加え、「音楽性、作品の完成度」も審査の対象となり、優れた作品であればインディー・メジャーあるいは有名・無名を問わず受賞する可能性があるところです。
それでは、注目の賞についてご紹介していきます!
ワールドクラスのアーティストも誕生! 個性的&実力派の若手がノミネート「最優秀新人賞」とは?
まず、注目したいのは、「最優秀新人賞」です。
最優秀新人賞は、ここ数年、インディーズバンドが受賞する機会も増えている部門です。
たとえば、2017年に最優秀新人賞に輝いた「草東沒有派對(No Party For Cao Dong)」は、台北の若者を中心に高い人気を誇るインディーズバンドですが、現在では中華圏を飛び出してワールドツアーを行い、世界へ幅広く受け入れられるバンドに成長しています。受賞翌年の2018年には、日本でのワンマンライブも成功し、<SUMMER SONIC 2018>にも出演しました。
また、2018年受賞の「茄子蛋(EggPlantEgg)」は、中国語の方言の一つである台湾語で歌うインディーズロックバンドです。現在、台湾では、中国語の標準語(北京語)が公用語として話されているため、最近の台湾の若者は台湾語を知らない世代も増えているとか。
そんななか、「もっと母語を愛する人が増えるように!」と願いを込め、台湾語で歌い上げる彼らが栄誉ある賞を受賞する姿を見て、台湾語で歌うバンドが若い世代に増えるというムーブメントを生み出しています。
今年も、「厭世少年」「The Fur.」「美秀集團」などインディーズバンドをはじめとし、女性ソロアーティスト「劉柏辛」や「Karencici」「王艷薇」、男性ソロアーティスト「ØZI」ら7アーティストがノミネート。個性が際立つ若手アーティストがお好きな方は、ぜひ注目したい部門です。
音楽フェスティバル常連組がノミネート! 「最優秀バンド賞」に輝くのは?
現在、台湾では音楽フェスティバルブーム。年間を通してさまざまな音楽フェスが開催されており、国内アーティストのほか、海外アーティストも出演するなど、国際的な交流も年々活発になっています。
今回の「最優秀バンド賞」には、音楽フェスティバルへの常連と言えるバンドが、7組ノミネートされています。
「CHTHONIC 閃靈」は、1996年に結成された、台湾を代表するブラックメタルバンドです。
台湾国内における活動のほか、これまでに日本の女性歌手 元ちとせとのコラボ楽曲を発表したり、今年2月には日本ツアーを行ったりなどの活躍も目覚ましく、大型フェスでたびたび大トリを飾るベテランバンドです。
メインボーカル・Freddyは、国会議員とバンド活動を兼務。そんな彼らが政治的なメッセージも込めたアルバム『Battlefields Of Asura』(中文名:政治)がノミネートされました。
「Sunset Roller Coaster(落日飛車)」は、シティポップ・サイケデリックロックをベースとしたバンドです。2011年の結成以来、演奏技術力の高さや音楽性が海外でも評価され、海外の音楽フェスティバルにも出演。今年5月にはタイのGym & Swimとのコラボ楽曲「Don’t Leave Me Behind」を発表するなど、国境を問わない活動で大きな存在感を放ちます。
今回、ノミネートされたアルバム『CASSA NOVA 半熟王子』は、日本ではBig romantic recordsからリリースされています。
「Tizzy Bac」は、1999年より活動する3ピースポップロックバンドです。2018年1月にベーシストの許哲毓が癌でこの世を去り、深い悲しみに包まれながらも、陳惠婷(メインボーカル・キーボード)、林前源(ドラム)の2人で活動を継続。同年10月に許哲毓も含めた3人の名義で『知人 Him』をリリースし、今回のノミネートに至りました。
その他、バンド部門にノミネートされたのは、「南瓜妮歌迷俱樂部」「血肉果汁機」「旺福」「美秀集團」など、現地で高い人気を誇るバンドばかり。最優秀バンド賞に輝くのはどのアーティストか、要注目です。
7部門ノミネートの猛者も! 安室奈美恵さんと縁のあるJolin Tsai&香港のポップシンガーSandy Lam
<Golden Melody Awards>のもう一つの特長は、優れた作品であれば、何部門でもノミネートならびに受賞の可能性があることです。
今年は、ジョリン・ツァイ(Jolin Tsai)(蔡依林)の作品『Ugly Beauty』が、ベスト歌曲賞、最優秀中国語アルバム賞、ベストミュージックビデオ賞をはじめとした7部門にノミネートされています。
ジョリン・ツァイは1980年生まれ、台湾台北市出身の女性ソロシンガーです。2018年9月に沖縄で行われた安室奈美恵さんの引退セレモニーへ唯一海外アーティストとして出演。安室さんの引退へ花を添えました。
また、香港のポップスシンガー、サンディー・ラム(Sandy Lam)(林憶蓮)の『0』も最優秀アルバム賞、ベスト歌曲賞、最優秀作詞家賞など、7部門にノミネート。
「香港の歌手なのに、台湾の音楽賞にノミネートされるのが可能なの?」と思う方もいるかもしれません。実は、<Golden Melody Awards>は、台湾でリリースされたもので、なおかつ一定の条件を満たした作品であれば、ノミネートの対象となる音楽賞なのです。
日本のバンド「東京中央線」の作品も3部門へノミネート!
<Golden Melody Awards>は、台湾国内でリリースされた作品であれば、アーティストの国籍を問わず応募資格があることをご紹介しました。そこで今年注目したいのは、日本のインストゥルメンタルバンド「東京中央線」の作品が、なんと3部門へノミネートされていることです。
「東京中央線」は、2014年より活動している、大竹研(ギター)、早川徹(ベース)、福島紀明(ドラム)の3人によるギタートリオです。結成以来、台湾の音楽祭にもたびたび出演したり、台湾のアーティストと共演したりなどの活動を通し、現地音楽シーンとの結びつきを深めてきました。
そして、2018年に台湾のサックスプレーヤー 謝明諺氏を迎えてリリースしたアルバム『Lines & Stains』により、「演奏部門 最優秀アルバム賞」「演奏部門 最優秀アルバムプロデューサー賞」「演奏部門 最優秀作曲家賞」の3部門へノミネート。年々、距離の縮まる台湾と日本の音楽シーンを象徴するニュースに、目が離せませんね!
当日の模様は、ぜひオンライン視聴を! 視聴方法はコチラ。
いかがでしょうか。2019年の<Golden Melody Awards>はインディーズ、メジャー、そして国境の垣根なくノミネートされ、中華圏で幅広く注目される音楽賞です。
レッドカーペットならびに授賞式の様子は、6月29日(土)日本時間午後6時(台湾時間午後5時)から、Youtube Live配信にて、リアルタイム視聴が可能です。
年々盛り上がりを見せる<Golden Melody Awards>にご興味のある皆さん、ぜひ今年はYoutubeから授賞式の様子をご覧になってはいかがでしょうか?
Text by 中村めぐみ
INFORMATION
Golden Melody Awards
2019.06.29(土)
日本時間 18:00(台湾時間 17:00)から、Youtube Live配信にて、リアルタイム視聴が可能
<Golden Melody Awards>のYoutube Live Streaming URLをお知らせ! Taiwan BeatsのTwitterはこちら!
Golden Melody Awardsの視聴方法はコチラ
(1)Taiwan Beats JPアカウントをフォロー
(2)29日に配信が始まりましたら、Twitter上で配信URLをお知らせします!
(3)配信URLをクリックして視聴開始!
(パソコン、スマートフォン各種からアクセス可能です)
※昨年の授賞式の様子はこちらからご覧いただけます。
<Golden Melody Awards>のノミネートアーティストをまとめてチェック!