パーソナルな一面も垣間見える新作『ハート&ザ・マーシレス』
さて、待望の新作『ハート&ザ・マーシレス』のことも忘れてはならない。日本でのブレイクにやや時間差があったせいか、4年ぶりのアルバムだという事実にも驚いてしまうが、より生々しくダイナミックなサウンドに進化/深化を遂げていてニヤリとさせられる。B級映画っぽいカルトなアートワークも最高だ。
『ハート&ザ・マーシレス』ジャケット
レコーディングは地元ウィルトシャー州アイフォードの<The Distillery Studios>で行われ、デビュー作以来となるセルフ・プロデュース。制作自体は2014年の6月から始まっていたそうだが、その合間にジャパン・ツアーなども挟んでいたため、かつてなく長期的なプロセスを踏んだアルバムとなった。しかし、ツアーずくめだった4年間の経験がダイレクトに反映されてか、「ライヴ感」にあふれた強靭なグルーヴが全編で渦を巻く。実際、彼らも「ライヴでやること」を強く意識してソングライティングに取り組んでいたらしく、十八番のサンプリングやループは控えめにして生演奏を重視。ツアーのサポート・キーボーディストでもあるトビー・マクラーレン(レッド・ビブ)らの参加も功を奏し、まさに「向かうところ敵なし」なヘヴィーの現在地をしっかりと刻み込んでいて頼もしい。
▶ The Heavy – Since You Been Gone
とはいえ本作は、単なるゴキゲンなパーティー・アルバムではない。スワビーはこの4年の間に結婚、離婚、そして再婚を経験して壮絶な日々を送っていたそうだし、メンバーのダニエル・テイラーにとっても私生活で悲惨な出来事があったようで、『ハート&ザ・マーシレス(=痛みと無慈悲)』と題されたタイトルには「たとえ打ちのめされても立ち上がる!」という強いメッセージが秘められている。そんなバックグラウンドを知った上で各曲の歌詞と向き合えば、人間味あふれるヘヴィーの新たな一面を発見できるだろう。
▶ The Heavy – What Happened To The Love?
次ページ:苗場で迎え撃つ準備はOK? ヘヴィーの真骨頂は「ライヴ」にあり!